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暇神様は今日も京都で暇してる  作者: いけがみいるか
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『銃撃戦……(?)』

タケシはことの発端である特撮アニメのことをスッカリ忘れ、ゲーム内にある建物の影に身を潜めていた。


今やっているゲームは戦場を舞台としたガンアクション系のゲームだ。


四人対戦が可能で、プレイヤーは多種多様な武器の中から好きなものを選ぶことができ、その武器を駆使してライバルを倒せ。といったコンセプトのゲームだ。確かにこれなら勝敗を決めるのにはもってこいだった。


「はぁ、はぁ……。くそっ!全員強すぎだろ……!」


タケシはコントローラーを持つ手を汗で濡らしながら、さっきまで行われていた銃撃戦を思い出していた。


スズメはガトリングガンでところ構わず乱射してくるわ、リューはスナイパーライフルで何処からともなく遠距離射撃をぶっぱなしてくるわ、トラはリボルバー式の二丁拳銃だが、動きが速すぎてこちらの攻撃が当たらないわで散々だった。


タケシはなんとか神回避で事なきを得てきたが、相手の技量と武器のレベルが高すぎる。


それに比べてタケシの武器は──


「何で俺だけ弓なんだよ!?性能が段違いじゃねえか!悪い意味で!!」


もはや銃ですらなく、ただの木製の弓と矢だった。ガンアクションとかのたまっておきながら弓矢とかどういうことだよ!?


とは言っても、武器は全員ランダムで決めたので誰を呪うことも出来ず、己の運の無さとこんな武器を作った製作陣を呪うことしか出来ない。


矢も残り少ない。勝てるイメージが全く浮かばない。ていうか、どうやったって勝てるわけねえだろこんちくしょおおおっ!!


タケシは半ばやけくそで特攻を開始した。



「あ~もう!リューの奴。遠くからネチネチネチネチ狙ってきて………」


リューの遠距離狙撃を躱し続けるスズメは、恐らくニヤニヤしながらこちらの動きを警戒しているリューの姿を想像し、愚痴を漏らす。


計算高いリューとは相性の悪いスズメだが、ここで早めに仕留めておかないと、後々一番厄介になるはずだと考え、意を決してリューがいると思われるビルに向かって走り出した。



「スズメちゃんが近付いてきたなぁ~。そろそろ場所移動しよっかな。……それにしても、あとの二人、まあタケシはどうでもいいけど、トラちゃんの姿が見えないのが恐いなぁ」


スナイパーライフルの弾を排出しながら、リューはトラの姿を探した。しかし隠密行動が得意なトラを探すのは至難の技であり、簡単には見付けらなかった。


それに何よりこちらに近付いて来ているスズメも放置することは出来ない。やはりここは一時撤退して体勢を整えるべきだと思い、すぐさま移動を開始した。



「(………やっと、見つけた)」


リューがいるビルの屋上を見下ろすことの出来る隣のビルの部屋に隠れながら、トラはリューの様子を監視していた。


どうやらリューは場所を移動するようだ。今ここで仕留めたいところだが、トラの持つ武器ではここから弾を命中させることは不可能だった。トラはすぐに意識を切り替え、スピードを生かしてビルの階段を大急ぎで下っていった。



リンは画面の中であちこち動き回るキャラクター達を見ながら八ツ橋を頬張っていた。


リンもゲームは好きでよくやっているのだが、こういったアクション系のゲームより、育成ゲームの方が好きなので、今四人がどんな状況なのかはよくわからない。


ただ一つわかるのは全員が同じ場所に集まりつつある、ということだけだった。



「………みっけ」


「うへぁ!トラちゃん!?しまった待ち伏せかぁ!」


「うおおおっ!お前らまとめて倒してやる!」


「弓なんかに負けるわけないでしょうが!」


四人は同じ場所に同じタイミングで現れた。


ガチャガチャと、一斉にコントローラーを動かす音が激しくなり、全員が瞬時に悟った。ここで勝敗が決まる、と。


「(やばいやばいっ!スナイパーのぼくに近接は絶対にやばい!)」


その中、遠距離型のリューは危機に立たされていた。しかもよりにもよって近接最強のトラが相手となったらもはや絶望的だ。

仮にトラをなんとか退けてもスズメに乱射されればそこで終わりだ。


そこでリューは隣に座るトラの耳にふっ、と息を吹きかけた。


「うぴゃっ!?」


突然のリアルへの干渉に驚いたトラは悲鳴を上げ、リューと逆の位置に座るスズメの方に飛び退いた。


「うわっわっ!?」

「ちょっ、何だ!?──ってあだっ!」


急に飛び付かれたスズメはバランスを崩し、さらにその隣に座るタケシにもぶつかり、三人揃って倒れ込んだ。


「チャ~ンス!」


その間にリューは全員にヘッドショットを撃ち込んだ。画面にはリューの勝利が表示された。


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