『カラーリングされてたらこういう話になる』
「ふぅ。やっと綺麗になりましたね」
リンは満足げに掃除し終えた部屋を見渡した。俺達は掃除する際に退けていた卓袱台を部屋の中央に設置し直して、リンが淹れたお茶を飲み、やっと一息ついた。
「さてと。じゃ次なにする?」
リューはリンがさっき持ってきたお菓子の袋を開けながら聞いてきた。
「そうだな~。って、そろそろ特撮始まる時間じゃん!リン、テレビ出してっ」
「えぇ~。もう。仕方ないですねぇ」
そう言うとリンは、部屋の片隅に手をかざす。
すると、卓袱台しかなかった殺風景な部屋にいきなりテレビが現れた。
俺達は全員、神空内でなら、この世に存在する生命以外の全てを自由に創造することが出来る。にも関わらずリンの部屋が狭く、ほとんど物がないのは、ただ本人にあまり欲がないためである。ちなみに、自分の神空以外ではこの能力は使えなかったりする。
「あっぶね~。ギリギリセーフ」
「ふ~ん。戦隊モノねぇ。そういやぼくたちにも色が付いてるよね」
何の気なしにリューがボソッと口に出した言葉をリンが拾う。
「ですね。私の別名は黄龍。つまり黄色ってついてますし」
「それにちゃんと五人いるものね」
「………わたしたちも、戦隊みたい。じゃあ、リーダーって、誰?」
その一言が、後にあの惨劇を生むとは、誰も考えもしなかった……。