『五人目の神様』
「また……負けた、ですって?嘘でしょ……?」
「なんかごめんねぇ~。ぼくが強すぎるせいでスズメちゃん全然楽しくないよねぇ~?今度からはちゃんと手加減してあ・げ・る♪」
「くうううぅぅぅぅっ!!」
「おっ?昼休みか?」
「違うわよ!!」
「………それ、吉○新喜劇。関西人にしか、伝わらない」
「夫婦漫才みたいで面白~い。ジョーカーばっかり引くピエロなスズメちゃんにはぴったり~」
「あぁああああっっ!!トランプはやめええっっっ!!!」
リューのいじりに堪えかねたスズメは持っていたトランプを宙にぶちまけた。
まあ、全員トランプには飽きてきていたのでそのこと自体には何も問題はない。が、だ。トランプは部屋中に散らばり、他にも携帯ゲームや菓子袋やペットボトルがあちこちに散乱している。この散らかりようをあいつが見たらどうなるか。
でも、まだ帰ってくるには少し時間があ──
「ただいま帰りました~」
──りませんでしたぁ~。見事にフラグ回収してしまいましたぁ~。
「皆さん、お菓子買ってきまし、た──って………。な、なにやってるんですかあああああっ!!」
六畳しかない神空の中に、両手に大きな袋を持った彼女、麒麟の化身、リンの声が響き渡った。
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「全く。確かに私はここをみんなの集まる場所にすることには賛成しましたけど、散らかしていいとは言ってませんよね?ここは、本来、私の、神空なんですよ?!」
「「「「すいませんでした」」」」
俺達四人は正座をしながらリンのお説教をくらっていた。
こんな状況で説明するのもアレなのだが、彼女は麒麟。あだ名はリン。性格は至って真面目で誠実。しかし怒るとスズメより怖い。あと金髪巨乳。そしてこの平安京神空の主でもある。
そもそも俺達はそれぞれ違う場所に自分達の神空を持っている。
俺は北のとある山に。スズメは南のとある池に。リューは東のとある川に。トラは西のとある道に。
しかし、別に絶対にそこにいなければならないわけではなく、こうやって他の神空にも遊びに来ることは出来る。
それに、一人でポツンと自分の神空にいるのも暇すぎるということで、よく他の誰かの神空に遊びに行ったりしていた。しかし、全員が全員他の神の場所に行こうとして、行き違いになったりすることがよくあったので、それぞれの神空から一番近いリンの神空をメインに集まろうということに決まったのだった。
「だいたいですね。って、聞いてるんですかタケシさん! 」
「は、はいっ!すいません聞いてませんでした!」
「正直で大変よろしいです。正直に言ったので、千トンハンマーの刑で許してあげます」
「俺は一体何を許されたんだよ!?もし嘘ついてたらこれ以上の何が起きたんだよ!?ていうか、千トンとか単純でアホみたいなハンマーが……って、あっ、ちょっ、待って!刑の執行が早すぎ──っっ!!!」
──感想。千トンは重すぎる。しかも一発だけじゃないなんて聞いてない。死ぬかと思った。まあ、こんなので神様は死なないけど。