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暇神様は今日も京都で暇してる  作者: いけがみいるか
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『定着したあだ名は変えられない』

「いや。ちょっとばかり皆さんに説明をですね」

「皆さんって誰よ?」

「こちらをご覧の人間の方達──」

「ごめん。誰かこの粗大神(そだいがみ)捨ててきて。壊れてるみたい」

「誰が粗大神だ!粗大ゴミみたいに言うんじゃない!!」


改めて紹介させてもらうと、この圧倒的ツンツン娘が朱雀。赤い髪をツインテールにして、背中には小さな羽が生えている。そして残念な胸板。文字通り板みたい──


「なんかわからないけど、あたし、あんたを殺すわ」

「そんな曖昧な感じで俺を殺しにかかるなよ!!まずは落ち着けスズメ!」


性格は見ての通りだ。負けず嫌いで怒りやすい。

ちなみにスズメ、というのはこいつのあだ名だ。俺達は全員あだ名で呼びあっているのである。


「そうそう。そんなに怒ってると皺が増えるよ?そんなことより、その怒るエネルギーを少しでも胸の方に回したら?」

「増えないわよ!あと、なに?喧嘩売ってんの!?言い値で買うわよリュー!!」


怒り狂うスズメに更に油をそそぐ青龍。あだ名はリュー。お調子者のトラブルメイカーであり、ことあるごとにスズメをおちょくっている。青く長い髪に大きな瞳。そして二本の角が特徴だ。


「………うるさい。敗者、はやくトランプ」

「うっ!ご、ごめんトラ。こうなったら次のゲームであんたをボコってやるわ!」

「やれるものならやってみてよププッ」


早くトランプの続きがしたいと催促した白虎、トラは普段無口で口数が少ないチビッコだ。頭には虎耳を生やし、白い髪を短くまとめ、白黒の尻尾が生えている。


普段この三人と、あと今はいないもう一人とで、よくこの神空に集まり、暇を弄びながら、駄弁ったり遊んだりしている。


そのことから、自分達のことを『暇神(ひまじん)』と呼ぶようになっていた。


さて、ここらで紹介は終わりにしようか。えっ?俺のあだ名………?いや、聞かない方が身のためだ。なんせ俺のあだ名はそれはもう恐ろしい呪いがかけられて──


「なにやってんのよタケシ。配り終えたわよ。さっさと準備しなさい」

「そだよタケシ。サクッとスズメちゃんをシメてやるんだからさ」

「………たけし、急ぐ」

「そのタケシってのどうにかなりませんかねぇ!?」


おそらくもうお気付きだろうが、俺達のあだ名には法則性がある。


朱雀、青龍、白虎、玄武。この二字から後ろの文字を抜き取ってそれぞれスズメ、リュー、トラ、そして──タケシとなっているのである。


「なによ今更。この呼び方になってからもう結構経つじゃない」

「そうだけどさ!なんか、こう。なんかアレじゃん!」

「なはは。なんとなくわかる気がするけどね~。変える気はしないけど」

「………たけし、別に、変な名前じゃない」

「それも確かにそうなんだけどさぁ~」


それでもやはり、全国のタケシさんやタケシファンの人には申し訳ないが、少なくても神っぽくないあだ名なのがあまり気に入っていなかったりする。


「いい加減諦めなさいよ。ていうか、もうタケシで慣れちゃったからあたしも変えるつもりないわよ?」

「………(こくっ)」


多数決で三対一の結果、タケシ継続が言い渡された。多数決なんて嫌いだ。いつも俺が少数になるから。

理不尽な思いを抱きつつ、俺は配られたカードを手に取った。


余談だが、俺の特徴は見てわかる通り、この黒髪と背中の甲羅(取り外し可)だ。よろしく。

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