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自作小説倶楽部 第6冊/2013年上半期(第31-36集)  作者: 自作小説倶楽部
第33集(2013年3月)/「蛙」&「蜜蜂」
27/63

02 紫 草 著  蜜蜂 『ねがい』

注意・この物語はフィクションです。登場する人物・事柄は全て架空のものです。

ぶんぶんぶん

蜂が飛ぶ

お池の周りに野薔薇が咲いたよ


朝露きらきら

野薔薇が揺れるよ

ぶんぶんぶん

蜂が飛ぶ

                                  作詞 村野四郎



  巣箱に群がる蜜蜂を、毎朝眺めている人間。

 何が面白いというのだろう。


  吾は、ただただ蜜を運ぶ。

 人間の言葉を借りると、働き蜂だったか。

 面白いから、そやつの頭近くをぐるりと一周してみた。

 払う素振りも見せず、吾の羽音に耳を澄ましているようにも見える。


  この薔薇園は、この人間の道楽とやらだそうだ。

 見事な薔薇は植えられたものではなく、野生の薔薇を覆うように他の花と区別された。

 誰に聞かせているのか。

 この人間は、いろいろなことを話している。


  巣箱におられる女王蜂という名の、姉妹。

 吾は花の蜜を集め、そして運ぶ。

 間もなく終える生涯の、ほんの少しの戯れ。


  この人間は、明日も巣箱を覘くだろうか。

 これまで毎朝、やってきたように。

 さすれば、吾はそなたを忘れず仲間に教えてやろう。

 この人間は仲間を傷つけることはない。

 いつまでも、この巣箱を大切に守ってくれるだろう、と。


  働き蜂…

 間もなく終えるこの命の、その果てにそなたの顔を見ていたい――。


【了】 

著 作:紫 草 

Copyright © murasakisou,All rights reserved.


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