光線
掲載日:2026/09/06
冷たい暗闇の中でしか息ができなかった頃の記憶。
届くはずのない光を待ちわびて、ただ独り、夜の底に沈んでいた時の言葉です
光線を感じた。はっきりと。
光線は明らかにやたしに照準を合わせた。わたしのらこれでもかというくらい見開かれた目に向けて。
光線は殺傷兵器ではなさそうだった。
光線はわたしを安心させた。
あなたの視線はレーザー光線。
でも、焼き尽くされるのは、わたしの絶望ではなく
あなたへの逃げ場のない想いそのものだった。
逃れられない光の中で
わたしは静かに焦げてゆく。
愛されていると錯覚したまま。
すべてを忘れ得ぬままに。
あなた━━。
あなたの光線ならいつでも浴びたい。
解説・後書き
視線という名の光に射抜かれ、逃げ場を失った感情を描いた作品です。
救いであるはずの光が、自らを焼き焦がす静かな暴力へと変わる恐ろしさ。相手の何気ない視線に囚われ、絶望ではなく「恋心そのもの」を焼き尽くされていく過程には、甘美で残酷な依存が滲んでいます。
最後の「錯覚したまま」という一言が、温かい光の正体を冷たく暴き出します。偽りの愛だと知りながらも、その光の中で焦げていくことを選ぶ愚かしさと愛おしさが、静かな余韻を残します。




