ピントがずれる
掲載日:2026/04/14
度数の合ってない眼鏡を掛けて
淀んだ世界に文句言う人間
ピントのズレる焦燥を
他人のせいだと決めつける
曇って見えるのはレンズにかかる
吐き出した溜息のせいなのに
ぼやけた空の色にまで
大声で愚痴を零した
歪んだ輪郭のまま
「これが本当の世界なのだ。」
滲む街灯が消えた頃に
灯りなんてないのだと嘯く
右手の中指で押し上げたフレーム
一度二度直したって意味がない
気付けないのは
気付かないのは
気付けないふりをしているだけ
目を逸らし続けているだけ
曇ったレンズを拭うよりも
濁った世界に愚痴吐くほうが
ずっと簡単だから
視界の奥で
ずっと揺れているのは
傷つきたくない人間の影なのだ
ご覧いただきありがとうございました。
合わない眼鏡で、愚痴を吐く。
誰かに届きますように。




