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詩小説へのはるかな道 第106話 二人よがりの夜

作者: 水谷れい
掲載日:2026/01/30

原詩: 独りよがり 二人よがり


わたしは 独りよがりなのかな

自分一人で 楽しんでしまっているのかな

いろいろ いじって

ここがいいとか

ああ とか 気分が高まって

最後まで行けたら 最高だし


あら どうしたの

赤い顔して 

やあね 何だと思ったの

わたしの詩の話よ


ああ そうだ

二人よがりの詩を書こうかしら

なんかエロティックね


ーーーーーーー


詩小説: 二人よがりの夜


児童文学ばかり書いてきた僕は、ある夜ふと、自分の中に眠っていた別の声に気づいた。

もっと生々しく、もっと危うく、もっと正直な声。

その衝動に突き動かされて書き上げたのが、官能小説「二人よがりの夜」だった。

原稿を渡した翌週、担当編集の水谷さんに呼び出された。

編集部の会議室。いつもは柔らかい笑顔の彼女が、今日は妙に真剣な顔をしている。


「読ませてもらいました」

その一言で、僕の心臓は跳ね上がった。

怒られるのか、呆れられるのか、それとも意外に褒められるのか。

水谷さんは原稿を指先でトントンと叩き、しばらく沈黙した。

「……まず、驚きました。あなたに、こんな一面があったなんて」

僕は思わず背筋を伸ばした。

「その、どうでしたか。率直に言ってもらって構いません」

水谷さんは深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。

「文章は相変わらず美しいです。情景描写も巧みで、心理の揺れも丁寧。

ただ……」

ただ、の後が長い。

僕は喉が渇いて仕方がなかった。

「ただ、これは……児童文学の読者には絶対に見せられませんね。

でも、新しい読者層には刺さるかもしれません。

編集部でも意見が割れました」

僕は少しだけ胸をなでおろした。

完全否定ではなかった。

「で、結論はどうなりましたか」

水谷さんは原稿を閉じ、僕の目をまっすぐ見た。

「あなたの筆致は確かです。だからこそ、編集長がこう言いました」

僕はごくりと唾を飲んだ。

「『この作家、実体験で書いてるんじゃないだろうな』って」

……その瞬間、僕の心臓は別の意味で止まりかけた。

水谷さんは続けた。

「で、私も気になったので……確認させてください。

あの描写、どこまで本当なんですか」

僕は慌てて首を振った。

「い、いや、全部フィクションですよ。もちろん」

水谷さんはふっと微笑んだ。

「そうですか。安心しました。

だって――」

彼女は椅子から立ち上がり、原稿を胸に抱えた。

「もし実体験なら、誰よりも先に、私が続きを確認しないといけませんからね」


その日、僕は初めて編集者という職業の業の深さを思い知った。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌: 二人よがりの夜


一 眠っていた声


眠り声

ひそかに疼き

紙を裂く

子どもの僕を

置き去りにして


二 原稿を渡す朝


封筒の

重さに揺れる

未明の手

まだ誰も知らぬ

僕のもう一面


三 編集室の沈黙


トントンと

紙を叩けば

胸も鳴る

沈黙だけが

先に読んでいる


四 驚きの言葉


「こんな面」

言われて初めて

知る影を

自分の中の

誰かが笑う


五 ただ、の余白


「ただ」のあと

落ちる沈黙

喉が鳴る

言えないことほど

言葉を照らす


六 読者の境界


子どもには

見せられぬ夜

あるとして

大人の僕は

どこへ行くのか


七 編集長の疑念


実体験

その一言で

血がさわぐ

嘘より先に

心が動く


八 問いかける瞳


どこまでが

本当ですかと

問う瞳

物語よりも

物語めいて


九 微笑の刃


安心と

言われて揺れる

胸の奥

微笑は刃

続きを誘う


十 編集者の業


業という

名の灯りさえ

甘く揺れ

夜の原稿

まだ終わらない

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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