◇ 終結
ファルコたちがここへ来るまえに、幹部のみんなと話し合った。その結果、ラムドと手を組むかどうかは、総隊長のファルコに一任すると決めている。
ゆえにディガーもゼノバも、この場では、よけいな口出しはしない。
悩むファルコに向かって、セシルが口をひらいた。
「あんたが思っていることは、わたしにもだいたいわかる」
ファルコを顔を上げて、無言のまま鋭い視線をセシルに送る。
彼女は、ファルコの目を見ながら言葉を続けた。
「惑星パレラは、われわれアーカス人がどうなろうが知ったことではないだろう。そんな胸の悪くなるような者共に、やられっぱなしでいいのか?」
いいわけがない。そう思うファルコは、決断する。
「わかった。死んでいった同志も、惑星パレラをこのままで済まそうとは思わないにちがいない。いいだろう、おまえたちと手を組もう」
ここに、和解が成立する。
二十年にわたるラムドとシグマッハの戦争は、ようやく終わりを迎えるのだった。
ラムドの公報会見場に、レズリー大統領とシグマッハのファルコ・ウォーゼス総隊長がそろって姿をあらわす。
レズリーが、メディアを通じて国民に報告する。
「国民のみなさん、ラムド政府とシグマッハは、和解することに同意しました。二十年にわたる悪夢は、いま終わったのです」
レズリーとファルコが、おたがいに微笑みながら握手をする。
その様子を各家庭のモニターや、街のスクリーンの映像で見ていた人々は、歓喜にうち震えた。
ファルコの通信機に、連絡が入る。
「俺だ。……そうか、見つかったか。シグマッハは、ラムドと和解することを決めたよ」
通信相手と話し終えたファルコは、レズリーに告げる。
「行方がわからなかったオズマが見つかった。バジルが探していたんだ。これから先は、オズマもいた方がいいだろう」
ノーティスは、ファルコがラムド政府と手を結ぶことを信じて、ドノヴァン・オズマに会いに出かけていたのだ。彼は流民収用施設の一件以後、自分の部下にドノヴァンの動向を常にチェックさせており、ドノヴァンの居場所はいつも把握していた。
レズリーは笑顔で応えた。
「大きな戦力です。大歓迎ですよ」
ラムドとシグマッハの戦争は終わった。
しかし、戦ってきた彼らは、惑星パレラと片をつけなければならない。
時代は、新たな局面を迎えようとしている。
〈終〉




