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レイズ・アライズ  作者: 左門正利
◆ 運命に流されて
57/91

◇ 不可解な一件

 困惑する想いが顔にあらわれるディアンが、眉をよせながらセシルに尋ねた。


「司令官に、なにを渡したんだ?」

「メダルだよ。どこかで見たような模様が刻まれていたんだが、司令官なら知っていると思って、もってきたんだ」

「あのあわてようは、ふつうじゃなかったぞ」

「ああ。まさか大統領まで関わってくるとはな」


 セシルは、いつまでも特機隊の基地を留守にするわけにはいかない。統合本部を辞した彼女は、ユードルトの基地に向かって車を走らせるのだった。




 特機隊の基地に到着したセシルは指令室に入ると、リナを呼び出すようイレーナに命じた。


 しばらくして、リナが指令室にやってくる。


「お呼びですか、隊長」

「もう一度、あの男と接触したときのことをききたい」

「はい」


 ふたたび、リナからくわしい話をきこうとするセシルである。




 そのころ、大統領官邸では──


 ワイアードがもってきたメダルを目にしたレズリー大統領が、声高に叫んだ。


「ど、どこでこれを!」


 いっしょにメダルを見ている官房長官のアルオーズが、目をぱちくりさせている。


「特機隊のファーマインが、わたしのところにもってきたのです」

「ファーマイン隊長が?」

「ジーグが、シグマッハの幹部から受け取ったという話です」

「シグマッハの幹部?」

「保護色のレイズを使う以外、くわしいことはわからない男です」


 レズリーはワイアードに命じる。


「大至急、ファーマイン隊長とジーグ隊員を、大統領官邸へ呼んでください」

「了解しました」


 ワイアードは、この大統領の部屋にある電話で統合本部に連絡するが、セシルはすでに特機隊の基地に帰っている。

 彼はすぐさま、特機隊の基地にかけ直した。




 ユードルトにある特機隊の基地で、通信隊員のイレーナがセシルに伝える。


「隊長、ロディオン司令官から連絡です」


 リナの話に耳をかたむけていたセシルは、その通信に出る。


「ファーマインだ」

「大統領が、おまえとジーグに官邸まで来いといっている。大至急だ」

「あのメダルは、なんなのだ?」

「急いでくれ」


 セシルの問いかけに答えることなく、通信は切れた。


 腑に落ちない想いが顔に出る彼女は、リナにふり向いて告げる。


「ジーグ」

「はい」

「わたしと二人で、大統領官邸に行くぞ」


 その言葉に、リナは絶句する。


 ──だ、大統領官邸?


 まさか、あのメダルがここまで事態を大きくするなど、夢にも思わなかった。


 二人は、セシルの運転する車両で大統領官邸に急ぐのだった。




 大統領官邸に到着したセシルとリナは、警備員にレズリー大統領たちがいる部屋に案内される。第二会議室だ。


「失礼します」


 そこにはレズリーの他、アルオーズ官房長官とワイアードが円卓に座っている。


 セシルとリナは空いている席に腰を下ろした。

 直後に、レズリーがリナに例のメダルを見せながら問いかける。


「ジーグ隊員、あなたがこのメダルを手に入れた状況を、くわしく話してくれませんか」

「はい」 


 リナはそのときの詳細を、レズリーに語りはじめる。


「このメダルは自分を証明するものだと、あの人はいっていました」


 レズリーの目に、涙が浮かぶ。それを見たセシルは思った。


 ──大統領は、あの男を知っている?


 リナは話を続ける。


「それから、わたしに借りがあると話したのですが、まったく身に覚えがありません。いったい、なんのことか……」


 ワイアードが話の途中で割り込んだ。


「ウルトラシークレットのことだろう」


 セシルが眉をよせる。


「ウルトラシークレット? なぜ、それが関わってくる」

「ダーモスの暗殺だよ。彼の父親は、ダーモスに殺されたんだ。どこで彼の耳に入ったのかは、わからんがな」


 セシルもリナも、頭が混乱する。




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