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レイズ・アライズ  作者: 左門正利
◆ 運命に流されて
56/91

◇ 気になるメダル

 リナは自分の通信機を手にすると、着信の呼び出しに応えた。


「ジーグです」


 相手は、隊長のセシルだ。


「わたしだ」


 セシルからの呼び出しに、緊急事態が発生したと思った。


「いま、ヤツがあらわれただろう」


 その緊急事態は、自分たちのことだった。


 ノーティスが来たことが、なぜセシルにわかったのか。驚いているリナに、本人が説明する。


「このまえ、おまえがラブロスの花屋でヤツに会ったといっていたので、監視カメラを設置したんだ」


 リナがまわりを見渡す。花屋の対面、上方に監視カメラがあるのが確認できる。


 セシルがリナに訊く。


「あいつと、なにを話していたんだ?」


 リナは、困惑した顔になる。


「わたしに渡すものがあるといって、メダルのようなものを受け取ったのですが」


 彼女はそういうと、そのメダルを監視カメラに向けるのだった。


「隊長、見えますか?」

「よくわからないな」

「これは、あの人のことを証明するものだと、あの人自身が話していました」


 そんなものを、ノーティスはなぜリナに渡すのか。セシルもわけがわからない。ただ、爆弾の類いではなさそうだ。


「隊長、あの人はわたしに借りがあると話していました。全然、身に覚えがないのですが」


 ここまでリナの話をきいたセシルは、彼女たちに指示を出す。


「ジーグ、おまえたちは基地へもどれ。こっちでくわしい話をききたい」

「了解」


 リナとローヌは命令にしたがい、ユードルトにある特別機動部隊の基地へ帰ってゆくのだった。




 特機隊の基地に帰還したリナたちは、指令室に入る。


 セシルがリナに声をかけた。


「来たか。ヤツから渡されたものとは、なんだ?」

「これです」


 リナは、ノーティスから受け取った金色のメダルを右手の掌にのせて、セシルに見せる。


 ──これは……


 模様が入っている。以前、どこかで見たような気がする。


 セシルは、リナがノーティスに会ってからの詳細をきくと、リナが持っているメダルを手に取った。


「本部に行ってくる」


 その言葉に、リナがびっくりする。指令室にいる参謀のアストン・ワグナーも驚いて声を出した。


「いまからですか?」

「そうだ。司令官なら、これがなにか知っているかもしれない」


 不思議に思うリナは、セシルに尋ねた。


「それほど重要なものなんですか?」


 訊かれたセシルは、黙ったままメダルをじっと見る。しばらくして、口をひらいた。


「わたしにもわからないが、非常に大事なものであるような気がするのだ。とにかく行ってくる。ワグナー、あとは頼んだ」

「了解です」


 留守をアストンに任せると、セシルは統合本部に急ぐのだった。




 自分で車両を運転するセシルは、リナがノーティスから受け取ったというメダルがずっと気にかかる。


 統合本部に到着すると、まっすぐ指令室に足を進める。

 指令室に入るなり、司令官のワイアード・ロディオンにメダルを見せた。


「これを見てくれ」


 ワイアードは、セシルから事前に「見せたい物がある」ときいていたが、それがこのメダルだとは思わなかった。


 だが──


「これは?」

「ジーグが、シグマッハの幹部から受け取ったらしい。この模様は、どこかで見たような……」


 セシルが話している途中で、ワイアードの顔が驚愕した表情に変わる。

 彼は焦ったようにセシルからメダルを取ると、あわてふためいた感じで口をひらいた。


「大統領のところへ行ってくる」


 指令室のみんなが唖然となった。セシルは、そのメダルが重要なものである気はしたのだが、まさか大統領まで絡んでくるとは思わなかった。


 セシルもびっくりしたが、それ以上に驚いたのがディアン・ネルソン司令次官だ。大統領から呼び出しがあったわけでもないのに、司令官自ら大統領官邸へ出向くのは、よほどの事があった場合しか考えられない。


 呆然となっている彼に、ワイアードは告げる。


「ネルソン、あとは頼んだぞ。行ってくる」


 ワイアードが指令室を去ると、セシルとディアンは顔を見合せるのだった。




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