拝啓 勇者様、こちらは今日も平和です。
前回の続きです
魔王様、何を見ておられるのですか?」
王座の傍におかれた大きな鏡を見ていた俺に
俺のそばへ戻ったマンドが、開口一番に問う
「現写し見鏡よ」
「いえ、そんなに大きな鏡は現鏡しかないので分かります。
何か気になる事でもありましたか?」
「いや、たまには人間共の様子を確認しておかねばと思ってな」
「確かに、定例会の報告よりもご自身の目で確認された方が見えるものも多いでしょう」
マンドが満足そうに話す姿を見ながら、俺は王座からずるずるとおちていく
「まぁ、前に見たときとあまり変化無い様で飽きたところなんだけどな」
「王よ…」
だらしなく座る姿を見ながら、マンドは悲しげにつぶやいた
「仕方ないだろ、前からずっと変わり映えのないもの見てたら飽きるもんだ」
「そういう問題では…」
「まぁ、確かにちょっと前まで…は……」
「王?如何されましたか?」
会話の最中に固まっていく様子を見たマンドは不思議そうに首をかしげる
「ま、、まずい!今何時だ!?」
それを構わず、勢い良く立ち上がる
「え?ええっと、そろそろ14時を回る頃かと…」
それを聞いた途端、俺は全速力で走った
「お、王!?どちらに!!」
焦るマンドの声を背中に王座の間の無駄にどでかいドアを勢いよく開いた
その衝撃音は扉の大きさだけにかなりのものだ
「今日は、予約していたお菓子作り教室の日だった!!」