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第3話「鑑定」

 この世界の魔法については、どういう原理で使われているのかよくわからない。

 テレサ院長について修道院の講堂に行くと、休日の朝だったので、多くの人々が集まって神様に祈りを捧げていました、この世界で信じられている神様は聖女様です、修道院のいたるところに彼女の像が見える。

 「ライトちゃんはおくの部屋についてきて」

 修道院長はわたしに話しかけたが、レニー姉はついてこなかった。彼女は魔法で傷ついた人々を癒す仕事をつづけていた。

 わたしは院長のあとについて、椅子がふたつとテーブルがひとつあり、その上に大きな水晶玉が置かれた小さな部屋に入った。窓のない小さな部屋だったので、院長は電灯をけ、換気扇かんきせんはゆっくりと動いていた。

 突然、院長がローブの中から魔法の杖を取り出した。その先端には何かの宝石がはめ込まれていた。突然、宝石が光り、魔法陣が飛び出した。魔法陣はしだいに広がり、部屋を覆っていった、院長様がおっしゃった。

 「防音魔術ぼうおんまじゅつです」

 「魔術? 魔法じゃないの? 」

 「ライトちゃん、とりあえず座って」

 院長様は腰をおろして、わたしに言った。

 「おう! 」

 わたしは院長の向かいの椅子に腰をおろした。

 「まず、この部屋が何のためのものか説明しますが、ここは魔法と魔術の資質を鑑定する特別な部屋で、鑑定は通常、子供が6歳になるまで行われませんが、ライト君は魔法を習いたいのでしょうか?4歳で鑑定を受けろ。」

 「院長様、ありがとうございます! 」

 「礼を言うなら、鑑定が終わるまで待ってくれ」

 「テレサ院長様、これが魔術だと?魔術と魔法の違いは?」

 「気がついたのね。やっぱりあなたって、頭のいい子ね」

 「魔法は自然の中の魔素を精霊の力で操る法則であり、魔術は自らの魔力と陣式を使って行う術である。」

 「だから教会のシスターが行う治癒魔法は治癒魔術と呼ぶべきなんですよね?」

 「理解が早い! 」

 「魔法の書はありますか? 」

 「ありますよ。冒険者ぼうけんしゃ寄贈きぞうした本ですからね」

 「そうですか! 」

 「だからライトが学びたいのは魔法じゃなくて魔術なんだよ!」

 「魔法と魔術の違いは何ですか? 」?知りたい!」

 わたしは真剣な目で老いたシスターを見たが、若いころは美人だったにちがいないと思った。

 「魔法には通常、呪文を詠むことが必要ですが、しかし、詠唱しない人もいるかもしれない、具体的にどうやってできるのかは分かりません。魔術は陣形を描いて魔力を注ぎ込まないと発動できないのだが、何か問題があるのか?」

 「今のところない! 」

 「では鑑定を始める前に、あなたの体内にある魔力の使い方を教えますので、テーブルの上に片手を伸ばしてください。」

 「はい! 」

 わたしが右手をテーブルに置くと、院長様が左手を伸ばして指先でわたしの手のひらに触れ、生温かい電流が手のひらに流れこむのを感じた。

 「私が今していることは、私の魔力をあなたの手のひらに直接打ち込むことですが、この感覚を覚えて、自分の中にある魔力を目覚めさせて、私の魔力攻撃を排除してみてください。」

 「院長様!魔力攻撃に抵抗できなかったら手を怪我する?」

 「安心してください、私はあなたの手にかなり軽い魔力しか使っていません、それは私が知っている最も速く魔力を覚醒させる方法です。」

 「うん。」

 「魔法を感じる体内の力でこの攻撃に抵抗しようとすると、通常はそれほど簡単には成功しません。」

 「うん。」

 手から伝わってくる電流感を感じると、自分の体の中心にある何かの力がざわめき始め、やがて水を押し出すように、体内の何かの力が外からの侵入に抵抗し始めた。

 「こんなに早く目覚めるとは思わなかった! 」

 院長様は手を引っ込めた。

 「私は成功しましたか? 」

 「うん、やっぱり... 」

 院長様は考えるような仕草をしていたが、口に出した言葉は続かなかった。

 「院長様、魔法と魔術の鑑定かんていを始められますか?」

 「ええ、水晶玉に手を置いてください。」

 院長様は水晶玉を僕の机に近づけた、僕はそれに手をかけた。

 「ライトちゃん、この水晶球に魔力を注いでみてください。」

 「はい! 」

 魔力まりょく注入ちゅうにゅうすると水晶球すいしょうきゅうかがやき、空中にかぶ映像えいぞう投影とうえいされた。

 「魔力属性? 魔術は得意? 」

 「魔力属性は金属、水属、木属、火属、土属、光属、闇属、無属の8属!ライトちゃんの魔力は光属と暗属と無属、水属の4属だ!」

 「それはすごいですか? 」

 「魔力の属性は、使える魔術の種類の効果、つまり魔力の消費に影響する。水属の場合、木属は魔力を変換することで出てくるが、相生相減の原理で火属や土属、金属を使うのは難しい!」

 「そういうことですか! 」

 「魔術得意とは得意とする魔術の種類で、魔術の種類は攻撃型、防御型、創造型、操縦型、補助型、回復型、空間型、時間型の8種類。ライトちゃん得意なのは補助型と回復型、そして空間型と時間型。空間型と時間型はかなり希少なタイプ!」

 「それはすごいですか? 」

 「うん、でも攻撃型と防御型の魔術は苦手なんだ! 」

 「つまり、私はヒーラーだということですか? 」

 「ヒーラー? どういう意味ですか? 」

 「何でもない! 言ってるだけだ! 」

 ああ!まったく、オンラインゲームの語彙ごいなんて言っちゃって!

 「じゃあ鑑定完了、魔法書か魔術書でも見る? 」

 「見たいんだけど貸してくれない? 」

 院長様はポケットから鍵を取り出した。

 「これは修道院の蔵書庫のかぎだから、読みたい本は勝手に読めばいい。」

 「ありがとうございます! 院長様! 」

 「じゃ、行っていいわよ」

 私は部屋を出て、蔵書庫に向かった。


 ※ ※ ※


 ライトが部屋を出ていったあと、院長様は水晶球の投影画面のスイッチを切り、ポケットから例の金の懐中時計を取り出して見た。

 「なかなかいい資質を持っていますね!やっぱりあの子は王族の子だったのか!」

 「できるだけ早く魔法と魔術を身につけさせれば、自分の身を守り生活するのにも役立つでしょう!」

 「4年前、王都で軍の反乱が起こり、国王アルス3世はトーランド・リチャード侯爵は断頭台を与えられ、その子孫は王都を脱出し、各地に兵を擁して自重し、戦争はこの国のあちこちで起こり、そして各領主は独立を宣言して公国となった。」

 「トーランド王が実際に支配を引き継いだ国は、この王都そのもともと支配していたトーランド領だけだ。」

 「そもそも反乱が起こるのは、アルス三世が国境軍の軍事予算を削減しようとしていることと、トーランド領が飢き饉きんに見舞われていることから、トーランド侯爵がアルス三世の誕生日を祝うためだ、アルス三世に不満を持つ他の領主と連合して、反乱を起こしたのだ!」

 「あれは本当に悪い年でした、幸いにもトーランド王が管理する彼の軍隊は、王都の民衆が略奪される災害を引き起こさなかったのです。」

 「あの子が王室のことに関わらず、普通の人と同じように元気に育ってほしい。」

 テレサは金の懐中時計をポケットにしまうと、電灯を消して部屋を出ていった。


 ※ ※ ※


 書庫の前で、わたしは修道院長につぐ修道女シスター・カイヤーに出会った。

 「ライトちゃん一人で蔵書庫の前に来て何をしてるの?レニーも一緒じゃなかったの?」

 鍵をシスター・カイヤーに見せた。

 「あら、院長様から鍵をもらったの? 」

 「うん、そうだ! 」

 「院長様があなたを信用して、鍵を渡してくれたのね!この中の本は貴重品です!借りたり、落書きしたり、はがしたりすることはできません!」

 「わかってる! シスター・カイヤ! 」

 「じゃあ、どんな本が読みたいの?私は普段から書庫の整理をしているので、あなたの探している本の置き場所を知っているはずです。」

 「魔法書と魔術書を探しているんだ! 」

 「ライトちゃん、確か今年4歳だったよね?魔法を学ぶのは早すぎませんか?」

 「院長様は私が學習することに同意してくださったのです! シスター・カイヤ! 」

 「よし! 私と一緒に書庫に入ろう! 」

 「うん! 」

 シスター・カイヤがポケットから鍵を取り出して、私のためにドアを開けてくれたので、私たちは一緒に中に入りました、本がぎっしり詰まっていて、紙の匂いがする。向かい側には窓があり、この書庫には陽光が差し込んでいる。

 「ではまずは魔法初級の書籍から! 」

 彼女は本棚に行って一冊の本を取り出し、奥のテーブルに置いた。

 「でも、魔法の練習は外でするのよ!わかったか?」

 「知ってる! シスター・カイヤ! 」

 「じゃあ魔術書を探してるんだけど、魔術の練習には陣形を覚えて、紙とペンを用意しないといけないから、あとで持ってくるから、落書きしないように気をつけてね!さもないと蔵書への立ち入りを禁止されてしまいます!」

 「知ってる! シスター・カイヤ! 」

 「言うだけじゃない、ちゃんと覚えておけ! 」

 「はい! シスター・カイヤ! 」

 「なんか、お前と私は距離きょりがあるぞ!ケイヤ姉さんと呼んでください!」

 「お姉ちゃんはレニー姉さんしかいない! 」

 「あっ、もういい! 紙とペンを持ってきてあげる。」

 彼女は初段 魔術書(まじゆつしよ)をテーブルに置くと、部屋を出ていった。

 魔法の初歩の本から読んでみると、基本的には以前構想したファンタジー物語の中の魔法の構成用法と同じで、魔法とは魔力の詠唱を通して自然界の精霊と会話し、その使い方に協力を求める法則である、そのため、水の精霊が少ない場所で水の魔法を使うのは難しい。

 大気中に存在する魔素が低すぎると、魔法はうまく発動できない。要するに、魔法は魔素や精霊がたっぷりいるところで使える超強力で、その逆は弱い。

 詠唱する呪文は、使いたい魔法を精霊に理解させるための言語で、プログラミング言語で使われるオブジェクト指向操作のようなもので、要するに精霊はコンパイラ、呪文はプログラミング言語ということになる。その点も、私が構想していたファンタジーストーリーと同じなので、理解できる。

 私が熱心に本を読んでいると、シスター・カイヤが紙とペンをテーブルの上に置いて去っていった。

 「出かけるときはドアを閉めなさい! 」

 「はい! シスター・カイヤ! 」

 水球呪文の呪文を読み、ペンと紙で呪文を書き留め、呪文を書き留めた紙を持って蔵書庫を出て鍵をかけた。早く魔法を試してみたい!精霊が僕の呪文を聞いてくれるといいんだけど!

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