第5話 お姉ちゃん
次の日、僕はシロとお姉ちゃんに世間というものを教えてもらっていた。
「まず、世間ではお前みたいな才能を持っている奴はかなり少ない。そりゃ魔法も剣も1流以上で扱える奴なんて見たことないしな。私で強い方なんだ。お前だったら相当強い扱いになるな。」
僕のお姉ちゃん、マリー・バークンスト。お母さんから遺伝したオレンジ色の髪が特徴的で、めっちゃ美人。一時期王都で働いてたみたいだが、帰ってきてからはいつも部屋に引きこもっている。
「お姉ちゃんは強いでしょ。僕も結構負けるよ。」
勝率で言えば五分五分だし、負ける時は結構ボコボコにされた記憶がある。
「いつの話してるんだよ。今やったら99%お前が勝つよ。」
そんなに卑下しなくても、お姉ちゃんは滅茶苦茶強いと思うのだが…これ以上言うと怒られそうだしやめておこう。
「そんじゃ、続きやるぞ。次は剣術だな。この国では特に王道と呼ばれる剣術は無く、地域によってかなり変わってくる。多分シロがやっている剣術が一番強いから、実戦経験を積むことを目的とした方がいい。」
お姉ちゃんは各地域の剣術がまとめられた地図を壁に貼りながら、そう説明した。
「やっぱりシロの剣術って他とは全然違うよね。こう…無駄無く洗練された感じ。特出してるものもないけど、基本の塊みたいな技でぶん殴ってくる。」
「剣術なのにぶん殴るっていうパワーワードよ。…シロってその剣どこで学んだの?」
確かに、今まで聞いてなかったが凄く気になる。
「私の剣ですか?私は幼少期から剣しかやる事が無かったからですね。基礎が中心になったのは、近所の人達が結構いろんな地方の人で、色んな所の剣術が学べたからです。共通していることを一つずつ覚えて言ったら、いつの間にかこういう剣術になっていました。」
僕みたいなことをしていたのかなとも思ったが、案外普通だな。…ま、本当は普通じゃないんだろうけど。
「へぇ、シロってどこ出身なの?」
「王都です。まぁ外側の平民街ですけどね。」
王都の…平民街か。あそこは剣術に長けた冒険者などが多い。王都を守る為にたくさんの強者が集められるからだ。魔法に長けた人が多い街もあるし、一度行ってみたいな。
「なるほどね。じゃ次。王立魔剣学校は貴族やら王族やらが多い。多分きっと大丈夫だろうけど、初対面で敬語を抜いたりしないこと。私も初対面で敬語抜たら相手が王子様で大変だったから、本当に気を付けな。」
「…お姉ちゃんって王立行ってたの⁉」
「はぁ?知らなかったのかよ…」
お姉ちゃんがめっちゃ呆れてる。寮制の学校に行ったとは聞いていたけど、まさか王立だったなんて…
「後はそうだな…お前みたいに強い奴をよく思わない奴らも多いから、気を付けろよ。」
そう告げるお姉ちゃんは本気で僕を心配しているみたいだった。
「大丈夫だよ。入学までまだあるし、注意できることは注意する。協力してくれるよね?お姉ちゃん。」
「あぁ。もちろんだ。」
入学までにすることはたくさんある。いつも通り、一つずつこなしていこう。
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