第2話 狂気的トレーニング
最初の特訓は、「瞑想」だ。瞑想と言うが、普通の瞑想ではない。簡単に言えば、精神と魔力を同時に統一するのだ。
僕は座禅を組み、飛行魔法で僅かに浮く。
「よいしょっと。」
飛行魔法は魔力統一の特訓に打って付けで、僅かにでも魔力を使ったり、乱れたりすると動いてしまう。その状態を維持しながら、精神を統一する。
魔法は威力を上げようとすると、必要以上に魔力を消費してしまったり、暴発してしまったりする。
だがしかし!これを続けると、魔法の威力を上げても必要以上に魔力を消費することが無くなるし、魔法が暴発することもなくなるのだ。
僕はこれを5歳の頃からやっている為、最低限の魔力で最大限の魔法が撃てる。が、まだまだ「天才」には程遠いし、もっと精進しないといけない。
次の特訓は、「筋トレ」だ。これも普通の筋トレではない。やる事は腕立てやスクワット、上体起こしなどの普通の筋トレだが、魔法を使えば更に効率が良くなる。
例えば、重力を物凄く強くしたり。例えば、自分だけを吸い込むブラックホールを出現させ、木の根っこに死ぬ気でしがみついたり。
こういう魔法を、僕は「筋トレ魔法」と呼んでいる。
そんな感じのことを大体3セット行う。今日は森の近くにある巨大な穴に下り、ダッシュで這い上がるトレーニングだ。深さは大体1キロメートル。1セット往復10回だ。
「うおおおおおおお!」
僕は魔力で体を強化しているが、それでも中々辛い。しかし、これも「天才」として生きる為だ。頑張るしかない。
次の特訓は、「魔力増幅トレーニング」。これは普通の特訓ではない。この世界では、死に際に命の残り火が輝き、魔力が増えるというシステムがある。
僕はこれを利用し、自分で撃った魔法を自分に当て、死ぬ。その後、自己蘇生をし、復活する。これを繰り返すことで、魔力が増えるのだ。
もちろん、死ぬほど痛い。実際に死んでるからね。
ちなみに、自己蘇生のやり方は簡単。死ぬタイミングが分かっているから、時限式の回復魔法を死んだ瞬間にピンポイントで発動してもらえばいいのだ。
「よーし、やるぞぉ!」
僕は一般魔法・魔力弾を撃ち、それを自分に当てる。威力は今の僕で出来る最大限まで上げている為、普通に即死だ。僕は魔法が当たる前に、時限回復魔法を使う。この魔法は、タイマーが鳴った瞬間に負った傷しか治せない代わりに、回復量が通常よりも別次元に多い。ピンポイントであれば、蘇生だって可能なほどなのだ。
「いったああぁあああ!」
死ぬほど痛い。というか一回死んだ。しかし、これも「天才」として生きる為。頑張ろう”!
そんな感じの特訓を午前9時から午後の7時まで、丁度10時間行い、僕は家に帰る。ボロボロになった服は魔法で直したし、誰にもバレないはずだ。
「おかえりなさいませ。ミスカティア様。」
家に戻ると、シロが出迎えてくれる。僕が帰ってくるといつもお風呂が沸いている為、いつも先に入っている。
「ふー。極楽極楽。」
無駄に広い風呂に一人、ポツンと入りながら、僕は明日の予定を思案する。
「僕もだいぶ強くなったし、そろそろダンジョンに挑んでもいいかもなぁ…」
ダンジョンとは、数万年前の大戦の時代に要塞となっていた場所のなれの果てだ。大戦の時代では、今とは比べ物にならないほどの強者達が山のようにいて、最強は俺だ!と争っていたらしい。そんな奴らから身を護るための要塞だ。かかったら即死のトラップも多くあり、1匹でも町一つ壊せるような魔物の群れがあったりするらしい。
僕は特訓こそしているが、実戦経験はそんなにない。週に1回ほど見かける魔物の群れを狩っている程度だ。
他にあるとすれば、シロとの剣術訓練くらいしかない。剣を持った時のシロは怖い。鬼のような形相で、僕に切りかかってくるのだ。いつも死んでいる僕だが、あれほど身の危険を感じたことは無い。
「誰が鬼ですか誰が。」
「うひゃぁ!?」
気が付くと、シロがメイド服のまま風呂場に立っていた。
「着替え、体をふくタオル、その他諸々持ってきておいたので、しっかり体をふいてください。」
そう言う、シロは帰っていった。
「ふぅ。」
びっくりした…ダンジョンの話とか聞いてないよね…?
そんな都合のいい事があるわけもなく、話はしっかり聞かれていた。
「明日はダンジョンに行くそうですね。失礼ながら、ミスカティア様は攻略できるのですか?」
風呂から上がり、パジャマを着て廊下に出ると、早速シロに問い詰められた。
「いやー、ほら、力試しというか何というか…」
「そんな危ないところに行かせるわけにはいきません。行くなら私を倒してから行ってください。」
そう。僕はシロに勝てたことがないのだ。もちろん、剣だけの勝負だが、そもそもシロは僕の前で本気を出していない。どっちが強いかと聞かれると、絶対に僕とは言えないのが現状だ。
「そこをなんとか!」
僕はあんまりシロとは戦いたくない為、平和的手段「頼み込む」を選択した。
「…はぁ、仕方ないですね。じゃあ私も連れてってください。それで妥協しますよ。」
シロはしばらく考えている様子を見せたが、ニコッと笑い、自分も連れていけばOKと言ってくれた。
「やったー!」
その後、僕はウキウキしながら、晩御飯を食べた。
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