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3.おじさんと 飲み屋と 追憶と

金曜日は残業せずに定時で退社

半個室の居酒屋にふらりと立ち寄り週終わりの解放感に一人グラスを傾ける

お通しの枝豆入りのポテトサラダに白子ポン酢

梅水晶にローストビーフ まとまりのない注文にジントニック

これぞ居酒屋という雑然とした品々 だがこれがいい、好きなものを食べたいのだ


酒でのどを潤し、梅水晶でキリっとしめる


さっぱりと油気の少ない料理が並ぶテーブルを眺めると

あの頃からすると歳を食ったものだなぁと学生時代を思い出す

ジンなんて酒を知ったのもアイツが居たからか

曜日関係なく飲み屋に通い、ゲーセンに溜まり、ゲームに興じていたあの頃

ほとほと無気力で、自堕落で、だけど才能に恵まれて飄々と生きていたアイツ


あいつに誘われてLawOreOnlineを始めたんだったな

酒を芋焼酎に切り替えてチビチビとやりながら思い出の海に浸る


1アカウント3キャラまで作成できるシステム

と言ってもやりこむほどにキャラが足りなくなってさらに複数のアカウントを使い

キャラの同時操作用にサブのPCまで引っ張り出して

あの当時「何でもできる」ゲームにのめり込んでいた

PNはヌル 大賢者の称号付きキャラクターだったな

あいつはたしか PNリア メイン称号はドラゴンキラーだったか

職業という概念がない世界だったから単に武器名や

所得スキルに関連して取得できる称号名で呼ばれることが多く

大賢者はすべての魔法系スキルを高レベルで習得したもの

ドラゴンキラーは槍スキル所持者がクエストをクリアすると手に入れられるもの


大学の友人達とその友人知人で作り上げたギルドはそれほど大きいわけではなかったけれど

いつも誰かが居た


大学を卒業し、仕事が忙しくなり、家庭を持つ者がいて、だんだんと皆が遠ざかり

自然分解してしまった我らがギルド「約束の地」

今思い返してもなかなかに恥ずかしい名前だが、だからこそ思い出に華を添えてくれる


当時としては広かった世界は重厚なバックストーリーと隠しクエストも豊富に用意されていて、

目的も指標もない中でしっかりと世界を醸成し、お使いゲーや作業ゲーではない何かを持っていた

とはいえ、完全国内向けコンテンツだった上に目標設定がないことが災いして

あまりプレイ人口が多いゲームでなかったのも確かなのだが


明日から始める世界は自分にどんな世界を見せてくれるのだろうか

角が取れ丸みを帯びたどこにでもあるような世界でないことを願いたいものだが

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