1. おじさん と ゲーム と PC と
弁当と缶チューハイを買って自宅へと帰る
スーパーが開いている時間に帰れるなんて昔からしたら考えられないな
・・・まあ、最寄りに24時間のスーパーが出来て帰る時間関係なく開いているのだが
などと少し黒いことを考えながらPCの電源をつけ缶チューハイのタブを開ける
Ya!Tubeを流しながら半額シールのついた弁当を電子レンジにかける
電気ポットで湯を沸かし、カップみそ汁にそそぐ
罪悪感を薄めるためのパックサラダを取り出してもさもさと咀嚼する
手持ちの荷物があるからとファミレスやら飲み屋に行くのを躊躇ったことに軽く後悔を感じる
食べて帰ればよかった、から揚げ弁当、スーパーの弁当コーナーに残っていた救世主様の名前だ
まだ、まだ大丈夫、俺はまだ大丈夫だ
何がとは言わないが、あと、マヨネーズはいらないかなとは思いながら
電子レンジで温められてふにゃりとした衣をまとったから揚げ弁当を机に置き
なんとはなくかけたYa!Tubeを流し見る
動物動画やロボット物のプラモ作成動画、サイエンス動画、モンスターを戦わせるゲーム動画
そんな時、ふと広告が流れる
最新の美麗なグラフィック、様々な種族のキャラクターとダイナミックな戦闘画面
炉の前で槌を振るうドワーフらしき筋骨隆々の小人、ツボの中身を混ぜる金髪の美人エルフ
畑を耕し、馬車で行商を行い、家を建て、門を建て、城を建て
どこの広告詐欺系ストラテジー風ゲームの宣伝かと見ていると
何故かそこに既視感みたいなものを感じる、そう城のそばに池があって
砂漠にでかいワームが住んでて、サハギンが海から顔を出して
「ジェムランドオンライン 正式サービス開始!只今スタートダッシュキャンペーン実施中!」
ああ、どこかで見たと思ったらROLOの風景だったか、記憶をたどって思い出すと城下町を
駆け巡っていたあの光景が蘇ってくる、あのころに比べるとどれだけグラが進歩したものか
キーボードの入った家電量販店のビニール袋に一緒に突っ込んでいたパンフレットの存在を思い出す
のそのそと袋に歩いていきパンフレットを取り出すと元の位置に戻る
最新式のHMDのパンフの真ん中にジェムランドオンラインのパンフが挟み込まれている
パラパラとパンフをめくり世界観やキャラ紹介のページで目が留まる
あの当時はどんな構成でやってたかな、あのゲーム複垢作って何体もキャラ育成したからなぁ
あの当時完全スキル制ゲームは物珍しく、あまり有名ではなかったが知る人ぞ知るゲームとして
その手の界隈の中では一定のユーザーを確保し、割と成功した部類に入ると思う
事実、リニューアルのためにサービス終了したわけで最近までサービスしていたわけだし
ムクムクと自分の中で興味がわいてくる、基本サービス無料なのだからインストールして
飽きたらやめればいいことだ、別に最前線に立ちたいわけでもない
何よりあのゲームの強さ、という概念はなんというかそういうものではなかったはずだ
ふむ、要求スペックは、と
最終ページ、ゲームの要求スペックの欄を確認する
うーん、動かないことはない、が
最低要求スペックは十分満たしている、推奨スペックで見るとギリギリといったところ
快適なゲームレスポンスを求めるならいまのPCだと少し足りないかな
グラボを更新すれば多少はましになるかもだが、CPUとグラボの世代差を考えると
正直もったいなさを感じる
わかってる、そこまでするともう後戻りはできない
・・・とは思うのだが、逆に引き伸ばしていたPCの更新時期という建前もなくはない
ありがたいことに使う機会がなかったおかげで貯金はそこそこにある
ただ、さすがに自作するだけの体力は残ってないから組み立て済みのものを買うか
ウノパラのarcadeブランドのHPを訪ねるとさすがサービス開始すぐのゲーム
ジェムランドオンライン推奨PCなる物が並んでいた
まあ、これくらいかなぁ
そこそこの値段のするそこそこの性能のPCを選びカートに入れる
最短2日、3日で届くとは最近のPCショップはすごいな
ワークステーション用CPUと最上級G/BでSLI組んでるようなPCはさすがにドン引いたが
プロゲーマーじゃないんだからそこまでのスペックはいらない
PCの注文が終わり動画サイトに戻ってくると、ディスプレイにはどこか懐かしい風景の
プロモーション映像がまた流れていた




