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47.獣人解放作戦

 双子達が兄ライトの葬儀の為に故郷へと向かった翌日、聖女であるミアンはアスイに呼び出されていた。用件は伝えられておらず、時間と場所と来て欲しいという依頼だけ伝えられている。指定の場所である王城の入り口の一つに到着すると、既にアスイが待っていた。


「ミアンさん、急な呼び出しをしてごめんなさいね」


「いえ、私が手伝える事なら何でもしようと思っていましたので。

それで今日はご用件は何でしょうか?」


「それは後で説明するので、今は付いて来て貰えるかしら」


 アスイに連れられ向かった先は王城にある騎士の訓練所のようだった。アスイは目的地と思われるそこの一室をノックする。


「どうぞ、鍵はかかってないぜ」


「失礼します」


 アスイが扉を開けて中に入ったのでミアンもそこに続く。中にいたのは女性騎士団である薔薇騎士団の騎士団長であるサニア・オオロだった。ミアンは大柄のこの女性と面識はあるもののきちんと会話をした事は無かった。ミアンはアスイが言っていた内通者の件が関係していると考え、少しだけ警戒する。


「待機していてくれと言われて誰が来るかと思ったらアスイに聖女様じゃないか。あたしになんか用か?」


「単刀直入に言います。女性騎士団の中に魔族連合との内通者と思われる人がいます。サニアにはいざという時の為に同行して欲しい」


「ちょっと待て、それは本当なのか?騎士団の奴らは一通り顔見知りだけど、そんな怪しいヤツは居ないと思うぞ」


 サニアがアスイの話を即座に疑う。一緒に戦って来た仲間なのだから当然だろう。


「魔族連合も馬鹿ではありません。疑われないよう深く深く中に入り込み、長い間味方と思わせ活動させていたのでしょう。恐らく魔族に対して大した思いも無く、別の何か、恐らく報酬で言う事を聞いていたに過ぎなかったのかと。

だから魔族と戦う時も躊躇せず、人間を裏切る行為も自分の中で正当性を持って動いていた。破滅願望に近い考え方をしてるのでしょうね。魔族も国もどうなってもいいと」


「本当にそんな奴が騎士団に混ざってるのか?心当たりが無いぞ」


「魔族に操られていたなら行動で分かりますし、仲間を欺いていても誰かに気付かれます。ですが、人を常に欺く事が仕事の人ならどうでしょう。元々怪しい人なら何が本性か分からなくなっていきます」


 アスイの言葉を聞いて、サニアの顔色が変わる。


「アスイ、まさかお前、シルンが内通者だって言いたいのか?」


「ずっと気になっていたの。ワンドエリアの裏町が襲撃された後、異界災害が起こった事に。あの時襲撃の騒動に紛れて何人かの生徒が行方不明になった。その生徒は異界災害を起こす為の生贄になったと予想されてる。

確かに騒動に紛れて人が失踪するのはあり得るとは思ったわ。監視カメラも止められてたしね。でもあの場は普通の警備に加えて紫苑しおん騎士団にも協力してもらっていたの。人数を増やしたのに誰も気付かないなんてありえない。誰かが人員を意図的に配置しなければね」


「それはあくまでアスイの憶測だろ。魔法か、何か別の手段で誘拐する事だって可能だ。それだけで決め付けられない」


 サニアはそれでも紫苑騎士団の団長であるシルンを庇った。ミアンのシルンに対する印象はとても綺麗な女性だが、どこかミステリアスで危険な雰囲気を感じていた。そもそも紫苑騎士団が女性騎士団の中でも特殊で、犯罪者などの人間の暗殺に特化した部隊だったのもある。


「私もシルンとの付き合いは長いわ。疑いたくない気持ちは一緒よ。

でも、ディスジェネラルであるソルデューヌの残したメモに決定的な証拠が残ってたの。

“紫髪で左腕に金の腕輪を付けた女騎士は殺さない事”

これは魔族連合のレオラから一部の魔族にのみ流された情報だと書いてあったわ」


「それこそソルデューヌとかいうヤツが罠に嵌める為に残したんじゃないか?」


「ええ、確定事項では無い。だから私はミアンさんとサニアを連れてそれを確かめに行くの」


 アスイは覚悟を決めた顔をしていた。恐らくアスイの中で確信を得ているのだろう。


「分かったよ、あたしも付き合う。それで、聖女様が付いて来る意味は何だい?」


「ミアンさんは相手の嘘がをついたかどうか見破る事が出来るの。だからもしシルンが騙そうとした場合は内通者である事が確定するわ」


「そうなのか。流石は聖女様だな」


 サニアの言葉には正直者ゆえのトゲが感じられた。だがミアンはそういう反応も慣れていて気にならない。逆に嘘でお世辞を言われる方が今は辛く感じていた。

 シルンは騎士団の仲間と共に今はソードエリアの警備に付いているという。なので3人は王城を出て、ソードエリアへ入った。丁度タイミングよく紫苑騎士団が仮設の休憩所に集まっていたのでアスイ達はすぐにシルンと出会う事が出来た。


「あら、アスイさんにサニアにミアンちゃんまで。珍しい組み合わせね。何かご用かしら?」


「シルンさん、内密で話があるの。どこか4人で話せる場所はあるかしら?」


「でしたらここで大丈夫ですよ、皆の休憩も終わるところですし。

皆、警備に戻って。私も後で合流するから」

「「はい!!」」


 シルンの言葉で紫苑騎士団の他の騎士達は休憩所から出て行った。周りに人はおらず、4人きりの状態になる。

 ミアンは今まできちんと見て来なかったが、紫髪のシルンの左腕には金のブレスレットが付けられていて、メモの通りの騎士だと一目で分かる特徴だ。基本的に女性騎士団にも規律はあり、派手なお洒落をしていると止められたりする。なので目立つ金のブレスレットを付けれるのは騎士団長のような特別な立場の人物だけなのだ。


「それで、お話って何かしら?」


「素直に質問に答えてもらいたいの。

シルンさん、魔族連合に王国の情報を漏らしていたのは貴方ね?」


 アスイはストレートに質問した。ミアンは何と答えるか緊張して見守る。もしかしたら戦闘になるかもしれない。


「なーんだ、もうバレちゃったんだ。魔族連合もボロボロだしこのままバレなければラッキーって思ってんだけどね。

それでどうするの?私を捕まえて尋問でもする?それともこの場で始末する?」


「冗談じゃ無いんだな、シルン……」


 サニアが苦しそうに言う。シルンは嘘をついていなかった。


「シルンさん、貴方を捕えます。色々と聞きたい事もあるので。異界災害の件とかね」


「そっか、じゃあここまでか。

サニア、貴方とじゃれ合うのは楽しかったわ。それは本当よ。じゃあね」


「逃がしません!!」


 アスイがシルンの周りに結界を張り、捕えようとする。ミアンも同様に相手を拘束する魔法を準備した。しかしシルンの姿はどんどんと薄れていく。


「シルン!!」


 サニアが叫んだがシルンの姿はそのまま消えてしまった。ミアンが見たところ転移の魔法などでは無い。


「魔族の闇術具ダルグを使ったのでしょう。最初からいつでも逃げられるように準備していたに違いありません。

ですが、これで騎士団内の内通者は排除出来たと思います」


「あたしの目も節穴だな。こんなに長い付き合いで気付かなかったなんてさ……」


 悲し気なサニアにかける言葉をアスイもミアンも持ち合わせていないのだった。

 アスイがすぐに手配し、シルンの捜索を調査部隊が行い、紫苑騎士団への伝達も他の騎士がすぐに向かっていた。


「ミアンさん、サニアさん、この後もお時間頂いてもいいでしょうか?」


「私は構いませんよ」


「ああ、アスイが話があるならそっちが優先だろうし、いいよ」


 アスイは2人を再び王城の地下へと連れて行った。アスイは携帯出来る魔導通話機を使って誰かに連絡を取る。地下の会議室と思われる場所に着いた時にはその呼び出された人達も着いていた。


「ターンさん、オルトさん、グイブさん、急な呼び出しに応じて頂きありがとうございます。そちらの席に座って下さい。

ナナル、皆さんに資料をお配りして」


「はい」


 先に資料を持って会議室で待っていた特殊技能官で若い女性魔術師のナナルが資料を全員に配る。アスイが長方形のテーブルの短辺の席に座り、長辺の近い側からターン、オルト、グイブが座った。ミアンは反対側の長辺のアスイに一番近い席に座り、その隣にサニア、隣に資料を配り終わったナナルが座った。扉は閉められており、集められたのは7人で全員のようだ。


「この話し合いはロギラ国王陛下の許可を得て、他の者には秘密で行います。本来は国王陛下も参加して頂きたかったのですが、先の作戦の失敗の責任を感じ、当面は私に任せると不参加となりました。必要でしたら国王陛下の書面をお見せします」


「大丈夫です、アスイさん。私達は貴方を疑ったりなどしませんので。皆もそうですね?」


 ターンの言葉に全員が頷く。


「分かりました、ありがとうございます。

早速ですが、先ほど判明した件をお話します。騎士団内に魔族連合への内通者がいるという話は以前からお伝えしていたと思いますが、それが判明しました。

内通者だったのは紫苑騎士団団長のシルンさんでした。直接会話し、自白したのをミアンさんとサニアさんが見ています。

ただ、捕える事は失敗し、現在は逃走中です。恐らく逃げる為の準備も魔族側が用意していたのでしょう」


「シルンでしたか……。

すみませんでした、私も疑わしい騎士団員の確認は何度も行いましたが、彼女は捉えどころが無く、普段の言動と仕事の取組みから絞り込む対象になりませんでした」


「ターン、あんたの責任じゃない。もっと近くにいたあたしが分からなかったんだからな」


 王国騎士団の騎士団長であるターンはやはり責任を感じてしまったようだ。ミアンは聖女の自分でもシルンの態度や言動だけでは裏切っている事は分からなかったのだから無理はないと感じた。


「あの、発言させて頂いて宜しいでしょうか?

今の僕は大した能力も無く、作戦も失敗させてしまいました。

確かに国王陛下からは敵の罠を見破れなかった全員に責任があり、僕だけの問題では無いと責められたりはしませんでした。

ただ、今の僕は総司令官の座を下ろされ、領主の息子でしかありません。

そんな僕がこんな大事な場に居ていいのでしょうか?」


 グイブがやや情けない声で言う。少し前までは重要なポジションだったが、確かに今のグイブは一貴族に等しい存在となっている。本人が言う事も最もだろう。


「これは私個人的な意見ですが、グイブさん、貴方は覇者の王冠が無くても戦況を分析する力は持ち合わせていると思います。それと、魔導具を強化する特殊な祝福ギフトも持っていますね。

今の王国は人員不足で優秀な人材が1人でも多く必要です。なのでグイブさんが辞退しないなら私の下、特殊技能官として働いてもらいたいと思っています。どうですか?」


「失敗した僕をまだ認めてくれるんですね……。

分かりました。僕個人としてはアリナさん達の力になりたいと思っていました。アスイさんの下でなら同じ活動が出来ると思います。僕なんかでよければ喜んで働かせてもらいます」


「ありがとう。色々頼む事になると思いますがよろしくね」


 アスイが最初からそのつもりだったかは分からないが、話の流れでグイブも特殊技能官として国に仕える事が決まった。


「内通者の件やグイブさんの事も大事ですが、ここからが本題です。

先日スミナさん達がソルデューヌを倒した際に魔族連合の重要な機密が書かれたメモを入手しました。

それとディスジェネラルで人間であるダブヌがデビルに改造された状態で確保され、証言を聞く事が出来ました。

この2つの情報源から得られた情報をまとめたものがお渡しした資料になります。

一旦皆さん目を通して下さい」


 アスイに言われてミアンも資料を読む。資料には最初に魔族連合の持っている戦力や部隊、重要人物の名前などが書かれていた。次に地図と共に重要拠点やそこの主な戦力や種族などが詳細に記されている。砦や亜人の情報はミアンが知っているものとほぼ一致していた。ただし、魔族連合のまとめ役であるルブの居場所だけは確定されておらず、曖昧な表記になっていた。

 続いて資料に書かれていたのは意外な事実だった。魔族連合を管理していたのは10人のディスジェネラルだが、その役目はあくまで各陣営の人員の管理の為に過ぎず、本当の戦争の為の部隊は別に準備しているという事だった。それはデビルの精鋭だったり、闇機兵ダロン闇巨兵ダガンの量産だという。この事実はソルデューヌが極秘に入手したもので、他のディスジェネラルはおろか、ルブの代理をしているレオラすら知らないと書かれていた。


「見ていただけたでしょうか。

私達は魔族連合から一部勢力を離脱させ、ディスジェネラルを数人倒した事で魔族連合の戦力を減らせたつもりになっていました。

ですが、そうでは無く、この程度の被害は魔族連合にとって大きな問題では無かった可能性があります。ソルデューヌが必死にスミナさん達を勧誘したのもそれに気付いたからだと推測出来ます」


「本当にそうだろうか?

確かに魔族連合に温存され、新たに作られている部隊はあるかもしれない。

だが、俺達が戦った敵の量は多く、その質も十分高かった。それを指揮していたディスジェネラルが倒された事はそれなりに損害になっていると俺は思うぞ」


 アスイに対してオルトが意見を言う。ミアンとしてはどちらの意見も一理あると思えた。


「では、僕の方からも憶測で話をしてもいいでしょうか。

魔族連合の戦力が残っているのは事実だと思いますが、それを温存した理由もあると思います。

恐らくデビル達は魔族連合が崩壊した後の事も考え、戦力を残しているのかと。そこには今回のように亜人達が敵に寝返った場合も含みます。

魔族連合は当初から寄せ集めだと自覚している部分もあり、デビル達はその頂点に君臨している為、崩壊しても勝利出来る道筋を考えていたのでしょう。そうでなくては今回のように使い捨てでディスジェネラルをぶつけてきたりはしません」


「私もグイブ氏と近い想定をしてますが、少しだけ異なります。

今魔族連合をまとめているルブというデビルが重要なのだと私は考えています。

以前デビルが世界を支配しようとした時、バンというデビルは魔王を名乗り、居城を作って頂点に君臨していました。

結果として魔王は討たれ、デビルは敗北してしまった。その反省と、自分が狙われる恐怖からルブは表に出ずディスジェネラルを作ったと想像出来ます。

一方でグイブ氏が言った通りディスジェネラル内の裏切りも警戒し、その時の対策も取っていたのでしょう。

私はルブの戦力は脅威だとは思いますが、これまでの戦いでの被害や亜人などの離脱は大きなダメージになっていると考えます」


 グイブとターンもそれぞれ魔族連合の状況について考察を述べた。サニアは頭を使った話は苦手なのか、難しい顔で固まっている。ミアンはこういった戦いについては喋る事は無く、話を聞く姿勢を続けた。


「皆さん、色々な意見をありがとうございます。

私の意見も含めて、全ては想定でしかありません。ですが、最悪の場合の対策は講じる必要があります。

今王国で問題なのは圧倒的な人員不足です。騎士団もですが、他の人員も減っており、防衛も復興も大変な状況です。同盟を組んだ亜人の方達に協力をお願いしたいところですが、魔導結界外の方が危険なのは分かっています。

ですが、何か手を打たなければ王都も次の攻撃に耐えられる保証はありません」


 アスイの言う通り王都は連続した襲撃でかなり疲弊している。女性騎士団以外の騎士団はまともに機能しなくなってきているのも大きい。


「アスイの言いたい事は分かった。だが、この間はデビルの襲撃は軽微で防ぐことが出来た。魔導研究所の協力で城の防衛対策も強化された。

今は地道に騎士団の再編をすれば対応出来るんじゃないか?」


「サニア、悪いけどその考えは甘過ぎるわ。一度見られた対策は次には破られると考えた方がいい。

国王陛下が危険を承知でグイブさんの部隊に攻撃を命じたのも元を辿れば王都の防衛が危なかった為です。

そこで私は今すぐにでも獣人族を魔族連合の部隊から解放し、仲間にする作戦を立てたいと考えています」


 アスイが提案したのは魔族連合に未だに従っている獣人族を解放する事だった。ソルデューヌのメモから獣人族がどの部隊に多く配置されているかが判明したのでその場所を狙う事は可能だろう。問題は誰がそれを行うかだった。ミアンは当事者なので想定している内容を喋る事にした。


「獣人族の解放に関しては私と獣人のグリゼヌさんで行う事になっていました。ただ、地図の場所を見る限り、北西の方角なので転移と魔導馬車のような移動手段が必要かと思います。そうなるとスミナさん達と合流し、それから実施するという事ですよね?」


「移動に関してはグリゼヌさんが獣道という獣人族のみ使える手段があると聞きました。出来ればそれを使用したいです。

そしてミアンさんとグリゼヌさんについてはお願いしたいと思っていましたが、他のメンバーに関してはスミナさん達では無く、私が行こうと考えています」


 アスイから出たのは予想外の言葉だった。


「ちょっと待ってくれ、王都の防衛に問題があると今さっき言ったのはアスイさんでは?スミナさん達も帰郷している今、アスイさんが王都から居なくなるのは問題だろう」


「オルトさん、逆なんです。ディスジェネラルが倒され、内通者が見つかった今が行動を起こすチャンスなんです。

私とミアンさんで獣人の解放に向かい、それと同時にナナル達特殊技能官で南の魔導遺跡の修繕に向かって貰います。王都の防衛は今まで通り騎士団とオルトさんにも残って貰います。

魔導遺跡についてナナル、説明をお願い」


「はい。調査部隊からの報告ではあの遺跡を見張っている魔族は少なく、少数の部隊でも奪い返す事が可能です。

問題は修復の方ですが、それも自己修復機能さえ直せば問題無い事が文献から判明しています」


 ナナルが南にある魔導遺跡の修復について説明する。あの遺跡が直ればスミナ達が戻って来るのも楽になるだろうとミアンは思った。そう考えれば優先度は高い。ミアンは一つ気になる点があったので発言する。


「あの、魔導遺跡で転移するにはエルさんの力が必要です。どちらにしてもスミナさん達と連絡が取れなければ作戦が実行出来ないのではないでしょうか?」


「その点に関しては私に奥の手があります。以前戦って倒したデビルの能力に魔導結界を抜ける力があるんです。これはあくまで帰還用で王国側から魔導結界外への一方通行で、かつ、それを使った事がデビルに気付かれる危険なものではあります。

同行出来るのも私の他に1人までなので使用は限定的です。私はこれを使って魔族連合を引き付けつつ、敵に近付こうと考えています」


 アスイの話を聞く限りリスクが高そうだが、アスイはどこか楽しそうに見えた。自分が魔導結界外へ出ることが楽しみなのかもしれない。


「あの、僕もその魔導遺跡の修復に同行させて貰えないでしょうか。戦闘は無理ですが魔導具の知識はある程度ありますし、修復のお手伝いは出来ると思います」


「グイブさん、それは是非お願いします。今は1人でも多く人員が欲しい所でしたので。

ターンさん、作戦に対して意見を聞かせて下さい」


「私個人としてはアスイさんが危険に晒される事になるのであまり気乗りはしません。

ですが、今までスミナさん達に任せていた事と同じなので反対する事も今更だと思います。

王国騎士団長としては王都の防衛は私達が行うので作戦の成功を祈るばかりです」


 ターンはあっさりとアスイの作戦を認めた。流石に反対意見を述べる者はいなかった。


「アスイ、気を抜くなよ。まあ、あんたなら大丈夫だと思ってるけどさ」


「サニア、色々大変な時期に我儘言ってすみません。ですが、私が動くタイミングは今だと思うのです。

ミアンさん、大変な事になりますがいいですか?」


「はい、私はスミナさん達に比べて仕事が出来ていないと思っていました。ここで皆さんに恩返しをしたいと思っています」


 ミアンは正直な気持ちで言うのだった。


 少しだけ人員の調整や旅の準備をした後、アスイとミアンは王都を出発した。アスイと会話した事はあるが、2人きりで行動するのは初めてである。そもそもミアンはアスイの事をきちんと理解出来ていない気がした。


「ミアンさん、ここからは強引に危険な場所を進んで行きます。覚悟はいいですか?」


「はい、大丈夫です。

ですが、アスイさんがどこか楽しそうに見えます。どうしてですか?」


 ミアンは自分の不安材料を消す為にもアスイに質問する。


「ミアンさんには話してもいいかな。

私はこう見えても弱い人間なんです。立場上しっかりしないといけないと城内では気張ってますが、仲間が死んだら落ち込みますし、スミナさん達の活躍を聞けば嫉妬したりもするんです。

今回の作戦は獣人族のところに着くまでは守る者も無く、自由に暴れられます。ある意味ストレス発散です。それが楽しみなのが隠しきれなかったんです」


「そうですか、ではミアンと同じですねぇ。ミアンも聖女として振る舞うのは嫌では無いんですが、上手く出来ない自分が嫌いになったり、他の方に嫉妬したりしますからぁ」


 ミアンはアスイにどこか親近感を抱き、少しだけ心を開いていた。


「ミアンさんの重みと私のは違うと思います。私の場合は自業自得なので。

と、あまり雑談してる時間も無いですね。飛びますよ」


 アスイは話を打ち切り、ミアンの手を取って言った通り飛んだ。アスイの祝福ギフトの一つは魔導具や倒した敵などの能力を取り込む事で、飛行能力も魔法での飛行とは違い何かの道具の力なのだろう。その速度は速く、あっという間に王都から離れていく。


「これから敵の潜む施設に突入します。自衛だけして下さい」


「分かりました」


 アスイは王都の北東に位置する山間部へと向かった。季節は冬から春に変わり始め、雪解けしている山の方が多い。それでも上空は魔法が無ければ耐えがたい寒さではあった。着地すると共にアスイが魔導鎧を身に着けたのでミアンもそれに倣う。


「行きます」


 アスイが何の変哲も無い岩肌を破壊するとその中に人工物と思われる洞窟が現れた。それと同時にデビルが奥から姿を現す。


「ダレだ?」


 アスイは返事もせずそれを腕から刃を出して貫いた。3体のデビルは次々と反撃する間も無く倒されていく。そのままアスイが突き進むのでミアンは遅れまいと後に続いた。通路には罠も仕掛けてあったが、アスイは当たり前のように発動する前に破壊する。あっという間に転移ゲートがある部屋に辿り着き、そこを守備しているデビルも倒してしまった。


「転移先もデビルが居ますので気を付けて」


 アスイはゲートを作動させ、早速入る。ミアンもそれに続いた。転移した先では即座にアスイにデビルが襲い掛かった。しかしアスイは攻撃を受ける前にもの凄い速さで敵を倒してしまう。普段からスミナ達を見ているので驚きは少ないが、それでもアスイの強さは想像以上だとミアンは感じた。


「この先のゲートは特殊です。失敗したら使えなくなるので気を付けて下さい」


 アスイはそう言いながらデビルの姿に変身する。ゲートを使う許可を得たデビルの姿なのだろう。アスイが意味の分からない言葉を動いていないゲートに投げかける。するとゲートが起動した。アスイが無言で入るのでミアンもその後にぴったりとくっついて入った。

 ゲートから出るとまるで罠のように周りを複数のデビルに囲まれた状態になっていた。


「何だ、そのニンゲンは?」


 ミアンの姿を見つけたデビルが激しい口調で問いかける。デビル姿のアスイは答えを返す代わりにそのデビルを腕から生やした剣で切り裂いていた。異常に気付いた他のデビルがアスイとミアンに襲い掛かる。アスイはそれを回避して反撃して倒す。ミアンも負けじとデビルを浄化する魔法で反撃して倒していた。


「こちらです」


 アスイはどこからか情報を得ていたようで、別の転移ゲートがある部屋へと迷わず移動する。途中にいた魔族も騒ぐ前にアスイが始末していた。部屋にいたデビルを倒し、アスイは止まらず転移する。転移先にもデビルがおり、敵が驚いているうちにアスイは全て始末していた。


「急ぎますよ」


 姿を元に戻したアスイは魔法で天井に大穴を開けた。ゲートがあった部屋は地下のようで、砦と思われる建物を貫き、天井と床を突き破って屋上まで円形の穴が出来ていた。敵が驚いている間にアスイとミアンは屋上まで一気に飛び上がる。

 砦に警報が鳴り響き、上空の敵と塀に常駐する敵が2人を攻撃した。ミアンはシールドで射撃攻撃を防ぎ、アスイが邪魔になる敵を次々と倒していく。

 アスイとミアンはその砦から移動し、敵から逃げ切ったところで一旦地上に降りて移動方向を変更する。目的地であるエレミ達がいる魔導遺跡の場所を辿られないようにだ。既にかなり近い位置まで来ており、そこから30分ほどで対象の魔導遺跡に到着した。


「ミアンさん、疑われないように貴方からエレミさんに連絡して下さい」


「分かりました」


 魔導遺跡の近くでミアンはアスイから携帯用の魔導通話機を受け取り、エレミにかける。するとエレミが応答した。


「エレミさん、私、ミアンです。近くまで来ているので魔導遺跡の入り口の扉を開けて下さい」


『ミアンさんですね。他には誰がいるんですか?』


「アスイさんです。2人で魔導結界を超えて来ました。詳しいことは中でお話します」


『了解しました』


 エレミはきちんと確認した後、カモフラージュされた遺跡の入り口を開けてくれる。ミアンとアスイはそこから遺跡の中へと入った。


「エレミさん、それにグリゼヌさんにキサハさんもご無沙汰しています」


「アスイさんとミアンさん、お2人でこんな場所まで転移装置も使わず来るとは何があったんですか?」


 遺跡の中で3人と会い、エレミが質問してくる。アスイは早速自分達がここに来た理由を説明した。それと同時に王国側で何があったのかを。


「まさかそんな事が。しかし、本当にアスイさんがこちらにやって来て王国は大丈夫なのでしょうか?」


「確かに心配なのは分かるわ。だからこそ早く終わらせて私は戻らないといけないの。

グリゼヌさん、獣人族を救う為に獣道を使わせて下さい。この場所の近くまで運んで貰う事は可能ですか?」


 アスイはグリゼヌに地図を見せる。目的地はこの遺跡から少し遠い場所に合った。転移装置が使えない今、頼れるのはグリゼヌだけだ。


「ウチは獣人の仲間達を助ける為なら喜んで協力する。

その場所なら近くまで獣道で行く事も出来るぞ。

だが、本当にこの人数で仲間を救う事が出来るのか?」


「グリゼヌの為の作戦ならば余も参加します。

アスイ殿は強いと聞いておりますし、ミアン殿の技が巧みなのも理解しております。

それでももう少し人数を増やしていくべきかと余は思います。ドワーフの工房にいるギンナ殿や他の方々も誘ってはいかがでしょうか?」


 グリゼヌに続きキサハも参加してくれることになったが、人数については2人とも気になっていた。ミアンは不安な部分はあったが、アスイの考えに従うつもりでいた。


「いえ、あくまで少人数で行きます。その方が私は守りやすいですし、敵の警戒も薄くなります。それにドワーフの工房に関しては今守備を薄くするのは危険だと思っています」


「でしたら私も同行します。戦闘ではあまり役に立ちませんが、獣人の人達を解放する際にミアンさんやグリゼヌさんを守る事ぐらいは出来ます。

この遺跡でしばらく周囲を監視していましたが、敵に気付かれた様子は無いですし、入り口を閉めておけば侵入される事はまず無いでしょう」


 アスイの話を聞いてエレミも同行を申し出た。これで参加者が5人になった。


「エレミさんの能力は聞いています。頼りにさせて頂きますよ。

グリゼヌさん、キサハさん、お2人もかなり強いと認識しています。これで成功確率はかなり高くなりましたし、敵が予想外の強さだった場合は撤退も考えています。

5名で作戦を敢行しても宜しいでしょうか?」


「ウチはアスイが大丈夫だと感じたならそれを信じよう。アリナ達が信用している人だと聞いているのでな」


「余も納得した。近頃暴れ足りないところでしたので本領発揮させて頂きましょう」


「2人ともありがとうございます。では行きましょう」


 こうしてアスイを中心とし、ミアン、エレミ、グリゼヌ、キサハの急造部隊が出来上がった。出発前にドワーフの工房に連絡装置で遺跡を離れる事を伝え、キサハが言霊でヤマトへの連絡も入れた。

 部隊はグリゼヌの案内で近くにある獣道の入り口へと移動する。そこから巨大な狼のようなモンスターに乗り目隠しをされる。キサハ以外は獣道を通るのは初めてでミアンは少しだけ緊張したが、目が見えないだけで意外と安心して移動が出来た。


「まず、私が敵の拠点に突撃し、敵を外へおびき出します。そこでグリゼヌさんが獣人を説得し、ミアンさんが獣人が付けられていると思われる闇術具ダルグを解除して下さい。

キサハさんは獣人以外の敵の撃破を行い、エレミさんはミアンさんを守って下さい」


「分かった。だが、アスイは本当にそれが出来るのか?」


「勿論です。

ただし、敵に予想外の強敵が複数居た場合は撤退を指示します。

そうでない場合は敵のリーダーを私が倒し敵全体の統制を崩します」


 グリゼヌの問いに答えるアスイは自信がありそうに見えた。


「王国の中心的人物と聞いておったが、なるほど、腕に自信があるようですね。

余も本気で協力させて貰おう」


「守りの方は任せて下さい」


 キサハとエレミも気力が漲っているように見えた。ミアンは自分も頑張ろうと自然と気合が入った。


「私も全力で獣人の解放が成功するように協力致します」


「では、始めましょう」


 アスイは単独で獣人が多くいると思われる城のような魔族連合の拠点へと突撃した。敵が迎撃を始める前にアスイはいきなり外壁を大きく破壊する。そして高所に配備された射撃攻撃をする機械の闇機兵ダロンを次々と壊して回った。これによりミアン達が遠距離攻撃に怯える必要もなくなる。1人で戦うアスイに対して上空で警戒していた飛行型のモンスターもアスイを狙い攻撃しだした。しかしそれらもアスイの手によって次々と倒されてしまう。


「あれが王国最強のマジックナイトか。恐ろしいな」


「確かに余でもあそこまでは出来ぬ」


 グリゼヌとキサハは初めて見るアスイの猛攻に恐れをなしていた。王城が最後まで落ちなかった理由がアスイにあると言われているのがよく分かる。

 拠点の建物から警報が鳴り響き、次々と兵士が出て来るのが分かる。アスイはそこでようやく拠点から離れ、敵を外であるミアン達がいる方へと誘導する。


「感じとしては予想外の強敵は居ないようです。獣人の姿を確認しましたし、予定通り進めましょう」

「「はい」」


 アスイが一旦戻って来たので皆は返事をする。拠点の外に出て来たのは獣人が中心の部隊で、それ以外にダロンとモンスターが少数だが混ざっている。人間の姿が無いのは獣人と揉め事が起こらないように配慮した結果だろう。


「機械のバケモンは余が相手する」


「キサハ、頼んだ」


 キサハはオニの力を解放して角を長く伸ばし、巨大な鎖鎌を持って敵の真っ只中へと飛び込んだ。その異様さだけで獣人もモンスターも怯む。ただ、恐れを知らないダロンは敵と認識し、キサハに襲い掛かった。キサハはそれを避け、鎖鎌でダロンを破壊した。キサハの強さなら敵のど真ん中に居ても大丈夫そうだ。

 続いてグリゼヌは鎧を脱ぎ、最低限の服装で敵の前に姿を晒した。


「ウチはグラガフの妹、グリゼヌだ。知ってると思うがグラガフは死んだ。グラガフが望んだのは獣人の魔族連合からの脱退だ。ウチはそれを知らせに来た!!」


 グリゼヌの姿を見て様々な姿の獣人達は動揺する。当たり前だが魔族連合側から正式な発表は無かったのだろう。


「グリゼヌ、俺たちゃずっと魔族と共に戦ってきた。今更やめるわけにはいかねーんだ」


「それじゃ魔族連合に使い潰されるだけだ。兄貴はそれを望んで無かった。後悔してたんだよ!!

ディスジェネラルも大半が離脱するか死んでる。そこで戦ってるキサハも離脱したヤマトの姫だ。ドワーフもエルフも魔族連合をやめてる。ウチはこれ以上ムダに獣人が死ぬのを見たくはない!!」


 グリゼヌの言葉に獣人達の戦意が削がれていく。


「そうは行かないぜ」


 どこかに隠れていたのか、黄緑色のデビルが1人獣人達の中から現れる。


「オマエらはオレらの奴隷なんだからな!!」


 デビルがそう言って何かをすると獣人達が苦しみだした。身体から赤黒いオーラが溢れ目が赤く光っている。これがダルグの強制力なのだろう。


「貴方の相手は私です!!」


 空中で戦っていたアスイが降りてきて現れたデビルに攻撃する。ただ、そのデビルも他の敵とは違うようで、華麗に避けていた。


「ミアン、頼む!!」


「分かりました」


 ミアンはダルグの呪いを解くよう魔法の詠唱を始める。流石に獣人の数が多く、一度に解放出来る数には限度がある。それに加えて詠唱中は身動き出来ない。


「私が絶対に守ります!!」


 襲い来る獣人達をエレミとグリゼヌが何とか相手を傷付けずに防ごうとする。ただ、数が数なのであっという間に囲まれてしまった。


「浄化の光よ!!」


 ミアンはギリギリのところで詠唱が終わり、周囲に光の柱を広がらせる。光の範囲に入った獣人達は束縛が解かれ、自我を取り戻す。


「正気に戻った獣人は向こうへ行け!!」


 グリゼヌの言葉で呪いが溶けた獣人達を後ろへと下がらせていく。ただ、操られている獣人達は正気に戻った獣人を襲う為、全員を無傷で助けるのは困難だった。それでもグリゼヌとエレミは何とか死者を出さないように頑張っていた。ミアンもそれを見て疲れた身体を奮い立たせて次の詠唱に入る。


「オマエの事は知ってるぞ、王国の転生者アスイだな。

オレはガズ様の部下の5大将軍の1人、ゲムだ。オマエの首を頂く!!」


 空中ではアスイがゲムと名乗った黄緑色のデビルと戦っていた。ひょろりとした姿で身体が柔らかく、アスイの攻撃をぬらりくらりと避けている。


「死ね!!」


 ゲムが緑色の粘液を上下左右からアスイへと放った。それはアスイを包み込み、溶かしていく。


「勝った!!」


「これが今のデビルの指揮官ですか。昔より質が落ちてますね」


 ゲムの背後にはアスイが立っていた。溶かしたのはアスイが作った身代わりだったのだろう。ゲムが反応する前にアスイは粉微塵に切り刻んでいた。

 アスイが指揮官を倒し、キサハがダロンを全機破壊した事で、勝利は確定した。ミアンの魔法で全ての獣人の呪いも解除完了する。残ったモンスターは反抗する者は倒し、降参した者は逃がした。大した数では無かったからだろう。


 獣人の怪我人はミアンが治療し、グリゼヌは獣人達に問題が無いか確認している。キサハは敵が残っていないか周囲を確認し、エレミは敵の襲撃を警戒した。ミアンは拠点に重要な物や情報が無いか確認した後、建物が拠点として使用出来ないように破壊していった。

 一通り落ち着いた時点でグリゼヌがアスイに確認する。


「それで、獣人達はどうすればいい?」


「皆さん故郷があるんですよね?一旦故郷に戻ってもらいましょう。

その後、魔族連合との戦いに参加出来る人はグリゼヌさんの獣人の里に集まってもらうのがいいのでは?」


「分かった、そう伝える」


 アスイは獣人達の事はグリゼヌに任せ、獣人達はそれぞれ故郷へと戻って行った。

 獣人達と別れた後、アスイ達は拠点から離れた安全な場所まで移動した。


「アスイ、獣人の解放を指揮してくれて感謝している。キサハもエリワも獣人達が傷付かぬように配慮してくれて本当に助かった。

そしてミアン、お前には感謝してもしきれない。獣人代表として礼を言わせてくれ。ありがとう」


「いえ、私は自分に出来る事をやったまでです。皆さんの方が危険に立ち向かい立派でした」


「余もミアン殿の力は素晴らしいと感じました。聖女と呼ばれるのにはきちんとした理由があるのだと納得しています」


 ミアンはみんなに褒められて照れ臭くなった。ただ、自分の力が役に立ったことは本当に嬉しかった。


「エレミさんも想定以上に強くなっていますね。やはりスミナさん達と共に行動している人は成長が速いのでしょう」


「アスイさん、ありがとうございます。自分はまだまだだと思っていますが、それでもお役に立てたみたいで満足してます」


 エレミも嬉しそうに言う。ミアンも初めてエレミと出会った時と比べると驚くべき成長速度だと感じていた。


「で、この後はまた魔導遺跡に戻ればいいのか?」


「他にも獣人が捕まっている拠点があります。今のうちに出来るだけ解放して回りましょう」


 グリゼヌの問いにアスイが答える。こうして5人は次の拠点へと向かうのだった。


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