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1-1 ゲームスタート

俺、羽ヶ宮 錬斗の前にひとつの箱がある。

株式会社ネクストから発売された『NEW WORLD』とそのソフト『Soul & Blade Online』だ。

なぜこれがここにあるのかというと、きっかけは一ヶ月ほど前のことだった。


 ◇◆◇


高校に入学してから2ヶ月ほどたった頃、新鮮だった高校生活にも慣れ、退屈な日々を過ごしていた。

代わり映えのしない日常、窮屈な勉強、そんな生活に飽き飽きしていた。


そんな時ふと、リビングについてたテレビを見た。ちょうど『NEW WORLD』と『Soul & Blade Online』のCMがながれていた。


ーーーーーーーーーーーーーー


キレイな映像、広大な世界、幻想的な魔法が映し出される。

『この世界で自由に、なりたい自分に、なることができます。

さぁ、あなたも、魂の赴くままに。』


ーーーーーーーーーーーーーー


このフレーズに心惹かれた。たった一行のキャッチフレーズによって興味が涌き出てきた。


それからそのゲームについて調べた。

そのゲームは株式会社ネクストが発表したVRゲーム機『NEW WORLD』とVRMMORPG『Soul & Blade Online』

史上初といわれるフルダイブ型のVRゲームということでネットでもかなり話題になっていた。


レベル、ステータス、スキルがありよくあるRPGのようだ。


一番の特徴はソウルレコードシステムによる称号らしい。

プレイヤーの行動で獲得できるらしいが、どんな行動で獲得できるか、ほとんどわかっていないらしい。


今わかってるのはプレイヤー全員に与えられる《魂の旅人》、プレイヤーを倒す、PKをすると与えられる《殺人鬼》の2つのみ。

この2つは公式サイトに載っていた。


1つ目はプレイヤーの総称らしく、効果はレベル10になるまで経験値2倍。


2つ目は悪意を持ってPKした者に与えられる称号らしく、効果は住人、NPCとの取引ができなくなる。

さらにこの称号を獲得したら強制的に頭上に赤いアイコンが現れるという。

運営側としてはシステム上可能ではあるが、推奨しないということだろう。



他にもいろいろと調べたがかなり面白そうなゲームだった。

特に自由をテーマにしてるところに惹かれた。

俺はすぐに予約した。


◇◆◇


そして今日、ついに届いた訳だ。

代金はおこづかいを貯めていたので十分足りた。


早速、ソフトを入れ、本体を起動する。ヘッドギアを着け、起動ワードを入力する。


「HELLO WORLD」



ーーーーーーーーーーーーーー



ログインすると図書館のような部屋にいた。目の前には服を着た白いウサギがいた。


「ようこそ、『Soul & Blade Online』へ」

「しゃべった!?」

「そりゃしゃべるよ。ボクはナビゲーションキャラだもん」


良く見ると首に懐中時計をぶら下げている。


「確かアリスにこんなキャラいたよな……」

「お、よく気づいたね。ボクは白ウサギ。アリスに出てくる白うさぎがモデルだよ。」

「なるほど、不思議の国への案内人って訳か。」

「そのとーり!今風に言ったら異世界……かな?」

「え……そうなのか……?」

「そうだよ。この世界は仮想世界という名の異世界と言っても過言じゃないんだから。それに、このゲームも新しい世界をイメージして創られたんだからね。」

「なるほど……」


「じゃあ、早速キャラメイクを始めよう!

アバターの作成からでいい?」

「うーん……先にスキルとかを決めてからでもいいか?それに見た目を会わせたいからさ。」

「いいよ。アバターは後回しね。じゃあキミの名前を教えて?」


「プレイヤーネームか……羽ヶ宮……はがみや……はがね……鋼……コウ……コウで頼む。」

「OK、コウね。じゃあコウ、次は武器を選んで。ホイッと」


白ウサギが何かを操作すると、俺の前に無数のウィンドウが現れた。ひとつひとつにそれぞれ違う武器が映っている。


「この中から初期武器を選ぶんだな。」

「うーん、そうだけど、ちょっと違うかな?

ここにある武器の中から最初の武器を選ぶんだけど、一緒に専用の武器スキルも選ぶことになるんだ。」

「武器スキル?」

「うん、そうだな……コウ、キミは剣を使ってで何かを斬ったことはあるかい?」

「いや……無いけど……」

「そうだろうね。素人が武器なんて使えるわけない。けど、それをできるようにするのが武器スキルだよ。システムが動きをアシストしてくれるスキルだね。」

「な……なるほど……」

「で、どれにするか決めた?」

「そうだな……刀にしよう。」


日本刀が映ってるウィンドウを選択する。


「刀ね、じゃあ次はスキルを決めて。5個まで選べるけど、ひとつは武器スキルの【刀剣】が

あるから、あと4つだね。」


今度はさっきとは違うウィンドウが現れた。スキルがずらっと並んでいる。


「そうだな……魔法は使いたいから……【風魔法】と……自分の武器作ったりしたいし……【鍛冶】と……あとは……どうしよう?

なぁ、白ウサギ、オススメのスキルってあるか?」

「オススメ?うーん、【気配察知】と【観察】はソロでもパーティーでも使えると思うよ。」

「なるほど、【気配察知】と【観察】か……

よし、これで5つだな。」

「OK、次はステータスだよ。」


俺の前にステータスウィンドウが出てきた。


ーーーーーーーーーーーーーー

NAME:コウ

LEVEL:1

HP:100

MP:50


STATUS

 STR:3

 VIT:3

 DEX:3

 AGI:3

 INT:3

 MND:3

      SP:10

SKILL

【刀剣】【風魔法】【鍛冶】【気配察知】【観察】

ーーーーーーーーーーーーーー


「ステータスの説明はいる?」

「ああ、頼む。」

「OK、上から名前、レベル、HP、MP、この辺は大丈夫だよね。」

「ああ、大丈夫だな。」

「じゃあステータスだね。STR、VIT、DEX、AGI、INT、MNDの6つあって、それぞれ筋力、体力、器用さ、素早さ、知力、精神力を表しているよ。

主にSTRは攻撃力、VITは防御力に影響するよ。

DEX、AGIはそのまま器用さと素早さだね。

INT、MNDは魔法に影響するよ。」


「なるほど……うーん、ひとまず全部に1ずつふって……あとは……」


「あ、あと武器によって攻撃力に影響するステータスが違うよ。刀ならSTRとDEXだね。」


「じゃあ、STRとDEXに1ずつふって……あとはAGIにふるか。」


「それで決まりだね。

じゃ、次はアバターでいいよね。あぁ、体格とかはいじらない方がいいよ。リアルとの差で動かしにくくなるからね。」


「わかった。そうだな……顔はあまりいじらないで……髪を長く…………髪色は……」





「できた!」


髪は長く後ろでひとまとめにして、色は全体的に黒、毛先だけ明るめの緑にした。

瞳の色も同じく緑にした。

あとは少し体を筋肉質にした。ほんの、ほんの少しだけな。


軽く身体を動かしてみる。


「うん、違和感もないし、後ろにまとめた髪に慣れれば問題ないな。」

「じゃあ次は称号についてだね。

このゲームの称号は知ってるかい?」

「ああ、ソウルレコードシステムだっけ?」


「そう、このゲームの一番の売りでもあるそのソウルレコードシステムについて説明するよ。

今までのゲームでも称号はあったけど、それとは違うんだ。

VRだからこそできる精神状態も参照するシステムなんだ。

コウ、公式サイトに載っていた称号は見た?」


「見たよ。《魂の旅人》と《殺人鬼》だよな。」


「その2つ目の《殺人鬼》の説明にこうかいてあるんだよ。

()()()()()()PKしたものに与えられる称号』

この悪意の部分を判別して称号を与えているんだよ。


分かりやすく言うと、流れ弾でPKしたとしても、この称号は与えられないんだよ。」


「なるほど……プレイヤーの行動だけで判別してるわけじゃないんだな。」


「そう、もちろん全部がそういう訳じゃないけど、そういう称号には強力な効果、もしくは制限があるんだよ。

さて、何か質問はないかい?」


「そうだな……例えば、走るだけでゲットできる称号ってあるのか?」


「うーん……そういうのはボクには答えられない……ん?…………なるほど、教えていいんだね。

あるよ。《駆けるもの》っていう称号だね。」

「教えていいのか?」

「うん、運営もいろいろと称号を見つけてもらいたいみたいでね、強力じゃないものなら教えていいってさ。」


「そうなのか、ありがたいな。」


「じゃあ最後に、降り立つ街を決めてもらうよ。

選択肢は4つ、街は東西南北にあるよ。


東は川が側に流れている街、別名『水の街』

周囲のモンスターはゴブリン、リザードマンなどの亜人系


西は森の近くにある街、別名『風の街』

周囲のモンスターはオオカミ、ウサギなどの獣系


南は海の側にある街、別名『火の街』

周囲のモンスターはイーグル、オウルなどの鳥系


北は山の麓にある街、別名『土の街』

周囲のモンスターはゴーレム、リビングストーンなどの物質系


さぁ、どれにする?」


「じゃあ西の街で。」


「OK、この扉を開けば西の街だよ。向こうに行ったらメニューでいろいろ確認するといいよ。メニューは開こうと思えばひらくからね。」

「おおー、いよいよか!ありがとな、白ウサギ。」


「わざわざお礼なんて珍しいね、キミは。面白いね。()()()()()よ。

じゃあ、いってらっしゃい。魂の赴くままに、楽しんでね。」


「おう!」


その言葉を背に受け、俺は扉を開いた。



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