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それは夢の中で見た現  作者: 松葉 光
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エピローグ:さよなら


「さよなら」


そういって青空色の少年は笑った


「もうボクがここにいることはできない


もうボクは必要ない」


微笑む青空色の少年の身体は金色の光につつまれていた


青空色の少年は青空色の少女によって造られた人だった


青空色の少女の願いが生み出した人だった


だから青空色の少女の願いが叶えば消えてしまうだけの存在だった


「ボクがいなくても君は大丈夫


君には友達ができた


だからボクの役目はもうおしまい」


青空色の少年はまだにこにこ微笑んだままであった


「なあ、さよならってどういうことだよ」


蜜柑色の少年は泣きそうな顔で呟いた


宵闇色の少年は悲痛な顔で俯いた


「ボクは造られた人形だから


ボクは人じゃなかったから


ボクは二人と会ったときに


消えなきゃいけなかったのに


あんまりにもあったかくて


あんまりにも幸せで


ずるずる生きてきてしまってた


でもそれももう限界になったんだ


だからごめん」




青空色の少女は叫んだ


「どうして?


私の力が足りなかったから?


私が一人じゃなくなったから?


私が幸せになったから?


だから消えてしまうの?」


瞳から零れ落ちる涙を拭うこともせず


ただただ少女は慟哭の声をあげた


「君は悪くない


悪いはずがない


君の幸せは何よりも僕が願っていた事だから


だから君は悪くなんてないんだよ


でも僕を作っていた力は


君の悲しみだったから


君の願いだったから


だからここでお別れ


ただそれだけなんだ」


優しく微笑んだ青空色の少年の目にも涙が滲んでいた


「後悔はない


だってボクの望みは叶ったから


もう十分ボクは生きた


バイバイみんな


もう会う日は来ないだろうけど


いつまでも元気で」


最後の言葉を言ったと共に彼の姿は掻き消えた


からん


音を立てて4人揃いのネックレスが落ちた


揃いのネックレスと1年にも満たないちっぽけな思い出だけ


青空色の少年が遺したものはたったそれだけだった


3人の中にしかない記憶の中の少年は


ただ安らかに微笑んでいた


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