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ムーン・セイヴァーズ  作者: 白洲ヨム
Chapter-05 『Deadman』
53/173

Section-4

更新履歴 21/9/29 文章のレイアウト変更・表現の修正


「俺達は今、戦争をやらされている。


 どこの誰とも知らん奴の都合を押し付けられて、わけのわからん機械どもと。


 この偽物の学校という檻に、一切の自由なく閉じ込められたままで。


 奴隷みたいな扱いをされながら、命懸けの戦いを強いられてる、ってわけさ」



 斉川はそう、独り熱弁を振るっていた。

 教室の一番前辺り、教壇のすぐ前に立ちながら。

 どこか民衆に蜂起を促す、志ある革命家のような佇まいで。


「そしてこの戦いは、いつ終わるかわからない。

 今のところ、勝てるかどうかもわからない。


 そしてもし勝てたとしても、その先に俺達の未来があるかはわからない。

 地球外に移住できるっていうあいつの話が、真実である保証はどこにもないから。

 要は生き延びたいのなら、自力で何とかするしかない状況、ってことなんだよ」


 それに耳を傾けるのは、圧政に苦しむ民のごとき学生達――メンバーは俺と栗原、朝倉に美山に望月、加えて用事を終え合流した春日井だ。

 その誰もが、斉川の周りに集い、静かに彼を注視している。


 ただし柳井だけは、そこに加わっていない。

 斉川が演説を始めた直後、『廊下で倉田が来ないか見張ってる』と言い残し、教室の外へ出ていったから。

 まあ監視役は必要だし、廊下でも話は聞こえるはずなので、特に問題は無いだろう。


 そう俺が現状を確認している間にも、斉川の演説は続いていた。


「だから俺は、ここでクーデター……反乱を起こそうと考えてる。

 自分達生き残れる確率を、少しでも上げるために。

 それに大きなリスクがあることは、重々承知の上でだ。

 もちろん、前の時みたいに行き当たりばったりじゃなく、きちんと計画を立ててな」


 そしてそれが、詳細な説明に突入し――


「クーデターを起こすタイミングは、次に敵の襲撃があった時だ。

 あいつがそれへの対応で、隙ができたところを突く。

 急な話で悪いが、決行を後回しにすればするほど危険も増えるし、早めに仕掛けておきたいんだ」


 全体の流れを、ひと通り語り終えたところで――


「具体的な手順としては、まず倉田を拘束し、母艦のコントロールを奪い取る。

 それからそいつで、例の月面都市とやらへ向かい、話にあった移民船だか何だかに乗り込む。

 後はそのまま、地球の外へと脱出だ。

 基本的な計画としては、そんなところなんだが……」


 斉川はいったん話を止めて、軽く俺達を見回してから、確認をとるように質問を放つ。


「ここまでで何か、質問のある者はいるか?」


 それに答える者は、今この場にはいない。

 一様に沈黙して、彼に視線を注ぐのみである。


 斉川は皆のその反応を前に、わずかにためらいを見せた後、再び口を開いた。

 ひどく緊張した面持ちで、おそらく本命であろう問いを投げかけてきたのだ。


「じゃあ……異論のある者は?

 この計画に賛成できない、っていうやつはいるか?」


 しかしやはり、それにも答える者はいない。

 全員が困惑した様子で、じっと口を噤むのみである。


 ただそれは別に、否定的な態度をとっているわけではない。

 あいつの話が極めて唐突、しかも大胆不敵と言っていい内容だったから、単純に圧倒されているだけなのだ。

 どう反応していいかわからない、と表現した方がいいだろう。


 そんな俺達の戸惑いを察してか、斉川は口調を静かなものに変えてから、話を再開――


「ならまあ……とりあえず話だけでも聞いてくれ。

 実際どうするかの判断は、その後に。

 じゃあ、早速始めるぞ」


 改めて、自身の主張を述べ始めた。


「まずやるべきなのは、全員が共通した認識を持つことだ。

 これから先、どんな目的で、何をすればいいのか。

 そこにはどういう問題があって、それの解決法は何なのか。

 作戦を成功させるため、その辺りをきちんと詰めておきたい」


 そうして始まった彼の話は、理路整然と、比喩なんかも交えつつ進行――


「そうだな……ま、野球やサッカーの試合なんかと同じだな。

 全員が作戦をきちんと理解し、それを常に意識しながら行動できるようにしたい、って話だ。

 その実現のための作業を、これからやっていこうと思ってる」


 皆が内容を理解できるよう、しっかり土台作りをした後、細かい話に移っていく。


「じゃあそれで、具体的にどんな認識を共有すればいいのか? って話になるが……」


 だがその結果として、俺達は大いに混乱することになった。

 なぜなら――


「まずあいつが、現実の世界……あの宇宙で今どんな状態にあるのか。

 どこで何をしていて、どうすれば直に接触することが可能なのか。

 それを最初に、きっちり把握しておかないと駄目なんだ。


 理由はまあ、説明するまでもないだろ。

 クーデターを起こす以上、あいつを何とか拘束しなきゃならないからだ。

 それでこそ、事態の主導権を握れるってもんだからな。

 前はそれで失敗したし、今度は抜かりなく確認してから動きたい。


 それから次に気をつけるのは、手持ちの戦力のこと。

 相手と比較して、勝機があるのか考えなきゃならない。

 行動を起こしたはいいが、即座に鎮圧されました、なんて情けない結末を避けるためにな。


 そして最後は、敵の動向だ。

 これはあいつじゃなくて、機械軍団の方だな。

 クーデターに成功しても、連中に負けたら意味が無い、ってことだよ。

 こっちもしっかり、意識しておくべきだろう。


 それらを全て確認してから、より具体的なプランの策定に入ろうと思ってる……んだが。

 ここまでで、何か質問はあるか?」


 話の分量が多い上に、ひどく複雑で、おまけに口を挟む間もないくらい滑らかだったから。

 今はその場にいる人間のほとんどが、全く話についていけてない状態である。

 代表はもちろん、俺の隣にいる栗原真希だ。


 そんな皆の戸惑った様子を見た斉川は、一瞬だけ沈黙し、『本当にこれでいいのか』と悩むような顔を覗かせたが。

 しかし即座に表情を固く引き締めて、決然と己の意志を告げた。


「話が複雑なのはわかるんだが……すまん、もう少し付き合ってくれ。

 俺達にとって、絶対に避けては通れない話なんだ。頼む」


 皆はその懇願するような言葉に、少しためらいながらも揃って頷く。

 反論しようとか、否定しようとする者は、誰一人としていない。


 それはきっと、斉川の話が明快な上、非常に良く考え抜かれたものだったからだろう。

 誰もがあいつの能力に、心底感心していたのである。

 その信頼感が、とりあえず話は聞いておこう、という感情を芽生えさせたに違いない。


 実際俺も、与えられた情報が多めで、完全にはついて行けてなかったのだが。

 それでも何となく、こいつに任せておけば大丈夫、みたいな雰囲気は感じ取っていた。

 ここはやはり、多少話がわからなくとも、最後まで付き合うべきだろう。


 そうした皆の、ちょっとした敬意すら交じる視線を意識してか、斉川は複雑そうな様子で顔を歪めていたが――


「あー……んんっ」


 そんな空気を振り払うように、一度軽く咳払いをしてから、話を再開する。


「……じゃあ、本格的な確認作業に入るぞ。

 最初は今も言った通り、あの男の居場所についてだ」


 そして口調の真剣味をぐっと増しつつ、こちらへひとつの議題を提示――


「あいつは今、俺達に命令を下しながら、同時に母艦をコントロールしている。

 部隊の指揮官と母艦の艦長を兼任している、ってわけだ。


 そこで重要なのは、あいつが実際に艦へ乗り込んで操縦しているのか、あるいはどこか別の場所から遠隔操作をしてるのか。

 それが最大のポイントなんだ」


 その意図と重要性を、詳細に解説していく。


「なぜなら遠隔操作だと、当然こちらから手出しするのは不可能だが、実際に乗り込んでるんなら、そこを狙って拘束できるからな。

 これはクーデターの成否を分ける、おそろしく重要な要素なんだ。

 なので本来なら、これを初めに確定させなきゃならんのだが……」


 ただしその最後に、珍しく弱音を吐露――


「まだちょっと、俺も確信を持ててない。

 どちらなのか決めきれてない、ってことだな」


 場に集う皆へ、参考意見を求めてきた。


「だからこの場で、各自の意見を聞きたい。

 あいつの居場所に関して、気づいたことがあったら教えてくれないか?

 それをヒントにして、また考えを進めていくから。


 もちろん、どんなに小さいことでも構わない。

 何か言ってみてくれないか?」


 どうやらこの件に関しては、こいつでもまだ、明確な結論が出せていないらしい。

 それだけ確定させづらい微妙な問題、ということなのだろう。

 となれば無論、今後のため、何とか助け舟を出してやりたいところなのだが……


(……うーむ)


 しかし残念ながら、出せる意見はさっぱり思いつかない。

 参考になりそうな事実が、何ひとつ見つけ出せぬのである。


 なぜなら今まで、この学校以外では、倉田と直に接した経験が無いから。

 向こうの世界だと通信越しに会話するのみで、映像ですら顔を見てはいないのだ。

 どこでどうしているかなんて、ほとんど見当もつかぬと言っていい。


 なので当然、居場所について問う、斉川の要求に応じることは不可能である。

 結果として俺は、同じく困り果てる他のクラスメイト達と共に、じっと沈黙するだけだった……のだが。


 しかしその停滞しきった空気は、間もなく唐突に終わりを告げる。

 突如美山が発言を開始し、目前の容易ならざる難問に、敢然と立ち向かっていったからだ。


「……私は、実際に母艦へ乗り込んでると思う」


 なんと彼女、ほぼ断言に近い雰囲気で、そう主張し始めたのである。

 俺としては無論、なぜそこまで強く言い切れるのか、と驚くより他は無い。


 そういう感想を抱いたのは、斉川の方も同じだったらしく、即座に彼女へその根拠を問いかける。


「どうしてそう思うんだ?」


 美山はそれに対し、ひとつ前置きをしてから――


「これは私達が使ってる、『スプリガン』っていうロボットに関しての話なんだけど。

 あれには確か、敵からのハッキングを防ぐため、直接パイロットを機体に接続してる……っていう設定があったよね」


 『なるほど』と納得するしかない、理に適った推測を披露した。


「それが真実なら、遠隔操作はあり得ないと思う。

 母艦の制御を敵に乗っ取られたら、意味無いから。

 私達の機体と同じに、あいつが直接操縦してる、と考えるのが妥当じゃないかな」


 結果斉川も、感心しつつそれに同意する。


「なるほど……確かに、設定上はそれが自然だな。

 あの艦も外からのアクセスは不可、いわゆるスタンドアローン状態ってわけか。

 だとするなら当然、直接乗り込んで動かすしかないよな……」


 つまり倉田は、きちんとあの母艦に搭乗して、そこから戦闘の指示や学校の管理を行っているわけだ。

 敵にハッキングされ、艦を乗っ取られるという事態を防ぐために。

 俺達にとっての機体と、奴にとっての艦は同じ、と例えればわかりやすいだろう。


 もちろんそれはあくまで、ゲームの設定から導き出した当て推量なわけだが。

 それでもゲーム自体が現実だった以上、その設定も真実である見込みは非常に大きい。

 十分に信頼できる考え、と評していいはずだ。


 実際美山のその主著のおかげで、この難問には、一応ながら着地点が見出された。


「うん。倉田の件は、その線で考えてよさそうだな」


 ただその直後、そうして固まりかけた議論に、ふと春日井が介入――


「あれ? でもそれが本当だと……」


 また別のアプローチで、とある問題提起を行う。


「なんで私達の機体は、母艦へ戻った途端に機能停止するの?

 艦も機体もスタンドアローン状態なら、それはおかしくない?

 あれは明らかに、外部から操作されてる感じだったよ?」


 それに対して斉川は、軽く考え込むような素振りを見せた後、すぐさま妥当な推論をひねり出した。


「……たぶん母艦の外壁が、電波を遮断するんだ。

 その中でだけ、外部からの操作を受け付けるシステムを搭載してるんだろう。

 それなら敵のハッキングを防ぎつつ、兵士達の統制も行えるってわけだ」


 その瞬間、俺にも閃くことがあったので、すかさずそれを口に出す。

 やっと自分も発言できるぞ、と深く安堵しながら。


「じゃあつまり……母艦の外に出てしまえば、奴に干渉はされないってことか?」


 斉川は唐突なその俺の言葉に、軽く驚いた様子を見せつつも、間を置かず適切な回答を返してきた。


「その見込みは大きいな。

 実際前の戦いの時、俺らが変な感覚に囚われたのも、母艦から外に出た直後だった。

 それもあそこで干渉が弱まったから、と考えれば辻褄が合う。

 ただでさえ緩んでいたものが、さらに薄くなった結果があの現象、ってことだな」


 俺はそれに納得し、早速その状況を別の表現で例えてみる。


「要はあの母艦こそが、俺達の鳥籠。

 そこから宇宙に出られれば、一応は自由の身ってことか……」


 そんな話の流れに、方向性は正しいという自信を得たのか。

 そこで斉川が笑みを浮かべて、いったん前向きに議論をまとめた


「よしよし、かなりいい調子だ。

 希望は十分に見えてきたぞ」


 そしてその勢いのまま、素早く議題を転換し――


「じゃあ次は、戦力の比較だ」


 どこか明るい調子で、さらに話を続けていく。


「俺達の戦力は、ここにいる全員。

 対して相手は、例の母艦のみだ。

 もちろん、何か戦力を隠している可能性もあるんだが……それでも、こっちを上回れるとは思えない。

 そんな余裕があるんなら、わざわざ俺らを操らなくたっていいわけだからな」


 ただその中で、ふと出てきた一言により――


「しかも、倉田の味方が増えることはない。

 援軍は来ないって言ってたから、まあ大丈夫だろう」


 俺はようやく、彼の狙いを知る。


(それでさっき、あんな質問をしてたのか……)


 先ほど倉田とやり取りする際、彼が放った数多くの質問――どうやらその中には、相手の戦力を探るためとか、そういう目的のものも交じっていたらしい。

 だからこそ向こうの事情を、結構しつこく聞いていたわけだ。


 いやもしくは、そちらの方がメインだったのかもしれない。

 用意周到と言うか、何ともまあ抜け目のないやつである。

 これは敵に回したら、さぞかし厄介な相手となることだろう。


 などと斉川に対し、味方だったことを安堵する俺の前で、あいつは再び全員の意志を確認してきた。


「要は問題なく勝てるってことだ……と、思うんだが俺は。

 それについて、何か意見はあるか?」


 もちろん、俺に反論は無い。

 こいつの判断力を、もう完全に信頼していたから。

 周りの皆も、だいたい同じような感覚だろう。


 そんなクラスメイト達の振る舞いに、斉川はまた顔を歪めつつ頷いた後、緩むことなく締めの問題に取りかかる。


「んじゃ最後に、敵の動向だが……残念ながら、これは予測のしようがない。

 もちろん、逃げるのも不可能だ。

 母艦を奪取しない限りはな」


 それは一瞬だけ、分の悪い話のようにも聞こえたのだが。

 しかしその印象は、続く説明ですぐさま覆ることになった。


「ただし一応、事前にその規模は確認できる。

 だから敵が少なければ、撃破した後にクーデターを起こせばいいし、倒しきれないほど多かったら、すぐに艦を乗っ取って戦場から逃走すればいい。

 要は戦況に合わせて、臨機応変な対処が可能ってことだ」


 どうやらこちらも、とりあえず大丈夫と認識して良いらしい。

 もちろん完璧ではないが、十分に対応はできるはずなのだ。

 問題は最初から片付いている、と言い切ってしまったって良いだろう。


 そうして斉川の尽力により、状況が適切に整理されたおかげで――


(行けそうだな……)


 心に自然と、活力のようなものが湧いてくる。

 これなら本当にやれるかも、という感覚が芽生えてきたのだ。

 胸に希望の火が灯った、なんて表現しても大げさではない。

 もちろん周りのクラスメイト達も、総じて俺と似たような表情である……


(……ん?)


 ……というわけには、残念ながらいかなかった。


(これは……わかってないな)


 ただ一人栗原が、焦点の定まらぬ目で前方を見つめていたから。

 思考停止に陥っている時の、こいつ特有の反応である。

 きっと情報過多で、頭がパンクしてしまったのだろう。


 となれば当然フォローが必要なので、俺はすぐ斉川の話に割って入り、わかりやすい説明を要求する。


「あー……すまん、ちょっといいか。

 いろいろと話が複雑で、全部は把握しきれなかった。

 ここらでいったん、わかりやすく整理してくれないか」


 そんな俺の意図を、敏感に察してか――


「うん? ……ああ、そうだな。

 それじゃあわかりやすく、『これからやるべき事』だけまとめとくか」


 斉川はここまでの話を、簡潔に総括してくれた。


「まず次に戦闘が起きたら、いったん全員で母艦の外へ出て、敵の数を確認する。

 次はそこで得られた情報を元に、タイミングを決めてクーデターを敢行する。

 殺されたくないのなら投降しろ、と艦の外から倉田を脅すわけだ。

 後はそのコントロールを奪って、月への逃避行に入る……と。

 まあ、こんなところだな」


 おかげで栗原の瞳に、最低限の光が戻ってくる。

 まだ完全ではないが、とりあえずやるべき事だけは把握できた、というところか。

 何もかもわからない状態からは、無事に脱却したと見て良いだろう。


 もっともそれならそれで、今度は不安そうな表情を見せてもいたのだが。

 きっと作戦が荒っぽいことを理解し、恐怖を感じているに違いない。

 となるとはてさて、次はどうしたものか……


 ただそうして俺が、彼女を心配している間にも、斉川の話は順調に進行――


「さて、まとめとしてはこんなところだが……何か、質問はあるか?」


 再び例の、避けられぬ質問に論点が移る。


「じゃあもう一度聞くぞ。

 ……俺のこの計画に、異論のある者は?

 もしいるんなら、今すぐここで名乗り出てくれ」


 俺はその呼びかけに対し、いったん栗原から意識を逸らして、迷わず力強く応じた。

 今はそちらに答えることの方が、ずっと重要だと思ったから。


「異議なし。俺は斉川に賛成だ」


 すると美山も、すかさずそれに同意してくる。


「私も。いい計画だと思う」


 ちなみに他の皆も、態度こそはっきりさせないものの、否定的な反応はしていない。

 さすがに積極的にはなれぬが、しかしこの選択もやむなし、と認識しているようだ。

 ちょっと強引だが、実質的な計画への参加表明、と捉えていいだろう。


 要は無事、十分な戦力が確保できたわけだ。

 最初は例の四人だけで戦うつもりだったのだから、大幅な前進と言えよう。


 そんな現状に対し、斉川もまた悪くないという判断をしたらしい。

 次いで彼は、さらに具体的な段取りに入るため、意気揚々と喋り始めた。


「よし、じゃあ各自の細かい役割分担を……」


 しかしそこへ突然、この流れに水を差す存在が現れる。

 教室の入り口の方から、心の底から信じ難いという風情の、冷たく刺々しい声が届いたのだ。



「……マジで言ってんのかよ、お前ら」








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