百鬼 数秒的欲求語り
秒針の鳴り響く部屋で私は一枚の絵を見ていた。
その絵には自らの自由を勝ち取る為に
戦争を始めようとしている場面が
切り取られた絵だった。
私は戦争に対してどうこう言うつもりはないのです。
ですが、
"自由を勝ち取る為に"
というところに大きな疑問を受けました。
一言で、そして悪く言うと、
それは欲なのではないだろうか?
自らの欲がただ他と一致しただけで団結ができる。
『人間とは欲で動く生物である。』
そう認識をした。
しかし、わからないのです。
認識したところで解決はしないのです。
欲の為にたった何十秒の出来事を起こす。
理解ができない。
考えれば考えるほどに沼にはまってゆくのです。
「間も無く閉館です。」
人間の声だった。
それは穏やかな声だった。
「貴方に欲はありますか。」
聞きたかった。聞けずにはいられなかった。
人間は戸惑った。
すると眉間にしわを作りながら小さく頷いた。
「そうですか。」
私はつまらなくなりその場を離れた。
道行く人も、支援活動をする人も、
ただ椅子に座る人も。
全ての人の中に何かしらの欲があると考えると
人間とは悪魔と同じにしか見えなくなる。
そう考える事は病的だろうか。
『憑くなら無欲な奴に憑こう。』
そう思い暗闇に消えていった。