魔力付与
無事オークの角を納品し終わり、俺はレイラと目的の武器屋に向かった。
帰り際ギルドの職員さんに用事が終わったらもう一度来て下さいと言われたので、レイラの装備を整え次第もう一度ギルドに向かわなければならない。
多分バーバランさんの件だとは思うが、ブルースさんに来るように言われていた期日はまだ先のはずだ。もしかしたら急な何かがあったのかもしれない。
とはいえ用事を済ませてからでいいということは、そこまで緊急という訳ではないのだろう。取り敢えず今はレイラの装備選びを優先しよう。
そうして歩いていると、レイラがポツリと小さく呟いた。
「……あの、本当にいいのでしょうか」
「ん? なにがだ?」
「いえ、その……。奴隷である私がここまでの待遇を受けていいのかなって……」
隣をチラリと見ると、レイラは困惑の表情を浮かべていた。
「……前にも言ったけど、そんな気にすることはないぞ。レイラが強くなってくれれば俺も色々と助かる」
「ですが……」
あまり納得がいっていない様子のレイラ。だがまあ、考えて見ればレイラはつい先日まで奴隷商にいたのだ。こうも周りが変われば色々と不安もあるだろう。
良かれと思って行動していても、それが原因でレイラを不安にさせてしまっているのなら本末転倒だ。
と、考えている俺に、レイラが酷く神妙な顔つきで尋ねてきた。
「……一つだけ聞きたいことがあります。私の事をこれほどまで慮ってくれるのは、一体どんな理由からなのですか?」
「どんな?」
ほんの僅かだが、言葉の端々に怒気を孕んだレイラの質問に、俺は思わず聞き返してしまう。
……もしかして、三日前に俺に尋ねてきたことと関係があるのだろうか。どんな理由かと聞かれても、特別な理由は何もないのだが……。
それで何か裏があるのではないか、疑心暗鬼になって 疑っているのだろう。
そんな事を考えながら俺は武器屋の扉を開けた。
「失礼します」
「いらっしゃい。お、キミたちが今日来る予定のアナザお仲間さんかい?」
中に入ると赤髪のポニーテールをした女性に話しかけられた。
服装はへそ出しルックにショートパンツ、長い赤のブーツを履いており、非常にラフな格好をしている。なんというか女盗賊でもやっていそうなイメージだ。
と、そんな失礼な考えと偏見は頭の隅に追いやり俺は返答する。
「はい、アナザと同じ『紅蓮』の一応前衛をやっているカカルドと申します。こちらは仲間のレイラです」
「……こんにちは」
控え目に挨拶をするレイラに、赤髪の女性が二っと笑いかけた。
「おう、こんにちは。アナザからアタシの事は聞いていると思うけど、アタシの名前はクーナ。ここの店の店主をしている」
そう、はつらつとした様子で答えるクーナさんを見ると、とても武器屋の店主には見えない。しかしアナザから聞いた話だとクーナさんは元B級の一流冒険者だったのだそうだ。
因みに、A級である『紅蓮』に何故か俺がいる事で感覚が麻痺しているかもしれないが、この王都でBというクラスを持っている人間は本当に稀有な存在なのだ。
前に俺のことを襲ってきた冒険者八人がいたが、その冒険者八人全員を魔法一つで殲滅出来るのがB級と思っていただいて結構だろう。
まあ、その冒険者たちがどれ程の強さを持っていたのかは分からないが、仮に全員C級だっとしても難なく壊滅出来るほどの強さを持っているのがB級なのだ。
間違っても下に見てはいけない。
「それで? 早速だけど、どっちの防具に『魔力付与』をすればいいんだい?」
クーナさんが棚から鉱石のような物を取り出しながら尋ねてきた。
「こちらのレイラの武器防具全般にお願いします」
「」




