始まり
俺は、どうすれば良かったのだろうか。
自分の目の前に座っている美女ーー俺の幼なじみであり、小さい頃に互いに将来を誓ったはずの彼女を見て、ふとそんなことを思った。
もっと自分の【ギフト】を疑っていれば、そもそも無理矢理にでもあの時勇者に合わせなければ、と今になって様々な後悔の念が押し寄せてくるがもはや後の祭りだ。
これから、どうしようか……
もはやどうしようもない今の現状に、俺が頭を抱えていると
「……ねぇ」
目の前に座っている彼女、エクシアが俺に声を掛けてきた。
「……なに?」
「なに、じゃないでしょ。ルディがちょっと待ってくれって言ったんじゃない」
あぁ、そういえばそうだったな。
「ごめんごめん。ちょっとボーッとしてたみたいだ」
自分の今の心情を顔に出さないように気をつけながら、彼女に努めて笑顔で返事を返す。
「それで答えは出た? 勿論、いいわよね?」
俺が肯定的に答えるのがさも当然といった口調で尋ねてくる。
問われた言葉に主語はなかったが、彼女は何を言いたいのか、俺は理解していた。だから自信を持って答えられる。いいハズがない、と。しかし、だからといってそれを口に出す勇気も俺にはなかった。
改めて思う。本当に憐れだ、と。
この世に神なんていう存在はいな――いや、そういえば居たな。糞みたいな女神が。というか元を辿ればあの女神が全ての元凶なのだ。
何度人の人生を滅茶苦茶にしたら気が済むのだろうか。前の世界でも。今の世界でも。
俺は、勇者に毒されすっかり変わってしまった幼なじみを眺めながら、この世界に「カカルド」として生を享け積み重ねてきたものを思い返していた。