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解説ありがとう

頑張って書きます。自己満足だすね。

秋は寒い日があり、暑い日もある。冬ですら暖かい日もある。季節特有の過ごし方の境目が曖昧になる日はどこか特別に感じてしまう。



クラスでは、初めましての顔を大半の人物がしており、入学した年で1番独特な雰囲気になっている。


ある者はスタートダッシュを失敗しない様、恐る恐る人と接し、偽りの猫を身に宿す。

またある者は、最初からブッかまそうと普段とは違う明るさを前面に出し、自分は元々こう言う人間だと相手の脳を侵食する。


そこでは人生の中核が互いの駆け引きによって決まろうとしている。

しかし皮肉にも、駆け引きなどせず素で仲良くなった者同士が、1番の親友になったりする。




現在時刻は8時20分。教室に入っておくべき時間まで残り10分しかない。

それを超えると初のホームルームが始まり、クラスの戦力図を変えるのは相当なコミュニケーション能力が必要となってしまう。




そして!およそ春のクラス初顔合わせとは思えない!

う、腕が!腕が!飛んでいるではないか!!

特別な日が!さらに特別になろうとしているではないか!!





「リュイン!お、お前腕を・・・」

その驚きの表情とは真逆に、喜びと平静を織り交ぜた顔のリュイン。


「これで取り敢えず大丈夫・・・か。まったく、今日に限って何てツイてないんだ。よりにもよって学校初日を片腕無しで過ごす事になるとは。」


「あ、あなた平気なの・・・?」

進が目隠しするのをやめ、自らの目で状況を確かめるベル。

「平気・・・?平気な訳があるか!貴様ら羽虫のSクラスが私の体に触れたのだぞ!

・・・少なくてもDクラス以上だと思っていたが、とんだ成り損ないだった様だな」



「な!成り損ないですって!?どういう意味よ!!」



「そのままの意味だ。マグレでこの学園に入れただけで本当は大した力も無い、レベル持ちのなり損ない、それが貴様らだ!!その証拠にその男からは全く力が感じられないぞ!」



「ギクッ!」

痛い所を突かれたという顔。次の瞬間!




「大した力も無いですって!?いいわよ!じゃあアンタのその大した力とやらを見せてもらおうじゃないの!!」

ベルは戦闘態勢に入る!相手の言葉が許せなかったのだ!合図があろうものなら今すぐにでも相手に飛びかかる!踏み込みを深く、目は鋭く尖らせる!



「ばか!ヤメろ!構内は認可無しの戦いが禁止されてるんだぞ!ましてやこんな日に何かやらかしたら下手すりゃ退学もんだぞ!」

進は必死にベルの腕と肩を掴む



「ちょ!離しなさいよぉ!アイツと戦うんだからぁ!!」

「ヤメろぉってぇぇんぐぅ!」




その光景を見たリュインは眉間にシワを寄せる。

「醜いな、羽虫同士の馴れ合いか。」

「何ですってぇ!!」

「悪いが貴様と戦っても私に得はない。服や体は汚れ、下手をすれば校則違反で罰せられる。それにLクラスがSクラスを虐めていたとなると、私の品が落ちてしまうしな。」

煽りに煽るその言葉で更に怒の熱が燃える。




「こんのぉー!許さないんだからぁ!」

「落ち着けぇよぉ!」(何て馬鹿力なんだこいつ!)

「それではごきけんよう。それと・・・君たちには酷く軽蔑する。以上だ。」

哀れだという目を向け、リュインとウィカイルーナはLクラスのある教室へと姿を消した。





「もう!何なのよ!アイツ!!もうもうもうもう!!」

ベルはその場で地団駄を踏んだ。踏みまくった。廊下が壊れるのではないかという位に。



「まぁこの学園の洗礼を浴びれて良かったじゃねぇか、知るなら早い方が良いってな!」

ニィッと笑った顔を見てベルは一息吐いて、落ち着きを取り戻す。



「ふぅ、そうね、こんな日に変なことばっかり考えてても勿体ないものね!!」

それまたニィッと笑うベル。そして進の体を見つめると心配そうな眼差しを向ける。




「あんた、怪我とかない?アイツ相当ヤバかったから何かされてるんじゃない?」

そういうと進の体をペタペタと触りまくる。

「だ、大丈夫だよ!そんなスキ無かっただろ?それに俺らとは関わろうとしないよ、アイツは!」


何か慣れない対応をされたので反応に困る。


「そっかぁ、それなら良かった!」

普段は迷惑をかけあってる仲なのに心配をしてくれる。そんな姿を見て優しい所もあるんだよな、と表情を緩める進。


そんな暖かい雰囲気を切り裂く様に2人はある事に気付く!



「そう言えば今何時かしら?」

「8時40分だ」


「・・・」







ーーーーーホームルームに遅刻だーーーーーーー






「ヤべぇ急がなきゃ!遅刻だあぁぁぁぁ!!!」

「何でいつもこうなるのぉ!!」





2人は駆け足でSクラスに向かう。角という角を曲がり、ようやくSクラスの前に着いた。

ドアの向こうでは教師が学園のでの生活、今後の予定などを話している。


生徒達も真剣にその話を聞いている。が、そんな事など御構い無しとばかりにドアが快音を鳴らす。


ガラガラバターン!!



「ハァハァ・・・やっと着いた、遅刻したが。」


「もぅ、アンタがもたもた走ってるからでしょ?」


「いや・・・こんな遠い教室にも問題があると思うんだが。」

「まっ!一件落着って事で良しとしましょ!」


2人の会話を冷たい視線が突き刺す。さらにその中の一際強烈な視線がトドメを刺す!





「なぁーにぃが!一件落着だぁ!!貴様らぁ!」




「ん?・・・あっ!?」

どこか見覚えのある出来事、もとい顔に2人は驚く。



「にゅ、入学式の先生!?」

そう、入学式で遅刻した2人を叱ったあの鬼女教師である。



「入学式だけでは飽き足らず、また登校初日に遅刻とはな・・それも堂々と・・・覚悟は出来ているな!!」



「待って下さい!!これには色々訳がぁ!!」



2人の頭には大きく腫れたコブが出来た。






「まったく、遅刻するならせめて静かに入って来い。そうすればこんな怒る事はないのだぞ。」

説教タイムに水を刺す様に、1人の真面目そうな生徒が意見する。



「先生!」



「ん?、なんだ?・・・確かぁ・・ソボッジだったな?」



「はい!ソボッジ・マクノイラです。

先生!!遅刻したからと言って生徒を殴るのは体罰ではありませんか?いくら教育でも良くないのでは??」


「その通りだ!デテコイヤ。」

「マクノイラです。」




「どんな理由であれ体罰はいけない。あれは言葉で諭す事の出来ない人間が力不足のため生まれるものだ。つまり自分は人を導く身でありながら、その能力がありませんでしたと認めてる様なもの。」



「それでは先生は・・」

「ん?私は違う。私のは教育でも無ければ体罰でも無い。」


「私のはただの暴力だ。」

「な!?暴力?!!?」


「そうだ、そもそもこの世に体罰などは存在しない。大人達が暴力を体良く概念に作り変えただけにすぎん。」


「いや、暴力ならもっといけないんじゃ」


「甘えるな!お前達は今後命のやり取りをすることになる。月並みだが1人の愚かな行動で多くの命が危険にさらされるのだ。

恐らく、説教しようが今まで生きてきた癖が3年間で治る事はないだろう。」



そういうと拳を握り、唇を強く噛み締める。




「そこで私は暴力で恐怖を与える。恐怖を植え付けられた者は、次第にあんな目にあいたく無いと行動を正していくんだ。私はこうやってボルトホータを作っていく。」


「そ、そんな!道徳心を教師自ら破るなんて!!」


「道徳で命は守れん。それに、教えは思い出さなければ意味が無い。死の淵に立った時、まず生まれるのが恐怖心だ。

そこからその恐怖から逃れようと、今まで受けた解決策を選択する。記憶と1番密接している物こそが、恐怖なんだ。」



「嫌な思い出程すぐ思い出せると!な、成る程ぉ!!流石先生だ!!」





(いや、それこそ体良く暴力振るおうとしてるだけなんじゃ・・・)

進とベルは疑いの目を向ける。



「まっ!そこの2人には意味が無かった様だかな。」

その言葉と共に教師の表情が柔らかくなる。



「いや、十分効果ありますよ・・・ハハッ」

(答えようによっちゃまたやられるぞおい)

どうやら進達に恐怖は既に植え付けられていたようだ。



「さぁ!お前達も席に付け!空いてるとこがあるだろう?」

そうして進とベルは、真ん中の列にある1番後ろの席に座る。それを見届けた女教師は辺りを見渡し、息を深く吸う。そして丹田に力を入れ声を出す。



「よし!それでは気を取り直して自己紹介から始めよう!私がこのクラスの担任を務める、スーミスト・ウィンターだ!宜しく頼む!」

右手を腰に当て、パンツスーツはシワを作らず伸び、金髪のポニーテールがファサッと揺れる。


この瞬間から生徒全員の身が引き締まる。

そしてスーミストからホームルームらしい情報が知らされる。





「お前達はこの先多くの課題と向き合う事になるだろう。それは文字通り学園からの課題であったり、お前達が生きていく上で向き合わなければならない課題でもある。」

生徒達の表情は硬くなり、覚悟というものを改めて自覚する。



「1人での解決が無理な時は、周りの人間を頼れば良い。言うまでも無いが、この私でも良い。」


「そしてさっそくで悪いが、まず貴様らにこの私から課題を出そう!

明日、クラス内実力分け実技テスト、通称フィールドアークモーゼを行う!」




「フィールドアークモーゼ!?・・・って何??」

「ばか、知らないのかよ。フィールドアークモーゼってのはな・・・」




解説しよう! フィールドアークモーゼとは、エイデン学園の伝統的行事で、1対1になりバルハースト使い戦うクラスの順位分けテストの事である!

ちなみに勝敗や対戦カードなどは担当教員に準ずるぞ!!


「って事だよ。」

「なるほどねー、よく分かったわ」



「これは序列だけではなく、お前達が現段階でどの程度戦えるのか、どの様に力とむきあっているのか、を見るテストでもある。無論成績にも影響するので手を抜かぬようにな。」




「何かいきなり学校っぽくなったかもぉ」

ベルは腫れのひいた頭を抑え悩み出す。

「何浮かない顔してんだよ、戦うのは得意だろ?お前。」

「まぁそうだけど、この後もこういう試験が続くとなると・・頭痛くなる・・うぅ。」

(典型的な脳筋だなコイツは)




そして進は自分の力に少し不安を持つように自らの握り拳を見つめる。

(今の俺にどこまで出来るか分からないが・・・ まずは挨拶がてら!クラスの連中の赤っ恥を晒してやるか!)




気合と根性を入れ、いつになくやる気をみなぎらせる。

そして同時に、クラス内でピリついた空気が張り詰める。この中の誰と戦うのかと・・・果たして勝てるのだろうかと・・・。


究極のクラスカースト争いが遂に始まる!!



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