薔薇のほそ道
終業式の放課後、夏目が差出人不明の手紙を貰ったことを仲のいい幼馴染み(松尾、平塚、金子)に話す。そしてそれを機に4人の平穏は崩れる。
完全オリジナルの心理ホラー。
〜薔薇の細道〜
『見られている』
そんなふうに思うことはないだろうか。誰かが見ている、視線を感じる。しかし結局は自意識過剰だった、と。
これは俺達の夏に起きた数週間にわたる、見えない"相手"との隠れんぼである。
常に何かで仰いでいたい暑さ。
男女2人ずつの幼馴染み達は学校の近くの空き地で、家にはすぐに帰らずに時間を潰していた。
終業式が午前で終わった4人は、明日
から夏休みに入るということで夏休みの計画を立てていた。
(夏)「そういえば最近さ、誰かに見られてる感じがするんだよな」
(松)「またかよ。次は誰だよ」
(平)「いつもじゃん」
(金)「そうだよ」
(夏)「んー、俺も最初はそう思ってたんだけどさ。…これ」
いかにも、中身の手紙には愛の言葉が綴られていそうな封筒が出てきた。差出人の名前はない。
(松)「うぉ!おい、これラブレターか?」
(平)「えぇ!?見せて見せて」
(金)「…名前書いてないじゃん」
松尾の声が大きかったからか、それともいつも4人組が目立っていて見られていたからか。おそらく、その両方の理由で、封筒を見た同級生が一気にざわめき始めた。
「夏目ばっかりずりーな」
「あいつなら仕方ねーよ」
「夏目君に手紙出したの誰?」
「知らないよ私も」
それぞれが勝手な憶測や感想を言い合ってる隙を見て、松尾は夏目の首に腕をかけて顔を近づけさせた。
(夏)「何だよいきなり」
(松)「実際のところどうなんだ?」
(夏)「え、どうって?」
(松)「だから、手紙の差出人!好きなのか?」
(夏)「え…。いや、別に好きじゃないけど。
というか、誰だか分からないし」
(松)「本当か?知り合いじゃないのか?」
(夏)「本当だよ!何で俺がお前に嘘つくんだよ」
(松)「…そうだな。悪かった」
(夏)「俺が知りたいくらいだよ。気味が悪い」
(松)「本当だよな」
(夏)「…お前もな!
いい加減離れろよ。暑苦しい」
(松)「わ、悪い」
(夏)「絵里、何話してるんだ」
松尾から解放された夏目は女子2人の方に向いた。
(金)「別に〜」
(平)「ガールズトークだから修介は知らないでいいの!」
(夏)「何がガールズトークだよ!」
(平)「修介達だってこそこそ話してたじゃん。ね、絵里?」
(金)「そうだよ!」
(松)「それは犯人についてだよ」
(金)「犯人?」
(松)「そう!名前の無い手紙出すなんて、きっと悪ふざけだよ」
(平)「もしかすると、その子がたまたま名前書き忘れただけかもしれないじゃん!決めつけるのは可哀想だよ!」
(松)「別に可哀想ではないだろ。
もしかして知り合いか?」
(平)「いや、そうじゃないけど…」
(松)「それなら犯人を見つけよう」
(夏)「犯人探しはいいよ」
(金)「え?いいの?」
(夏)「誰からなのかは気になるけど、犯人探しとかはいいや。面倒だし。
もしまた視線を感じたり、手紙を貰ったりしたら教えるから、その時は犯人を見つけよう」
(松)「分かったよ」
(夏)「その時は頼むよ。
…よし、じゃあサイゼに涼みに行くか」
(平)「いいね!行こ行こ〜」
(金)「結城、宮沢君には連絡しないでいいの?」
(平)「大丈夫だよ。健人今部活中だし、デートは夜だから」
(松)「いいのか?あいつ結構嫉妬深いから、俺達が仲良くしてることにキレるかもしれないぞ」
(平)「そこまで嫉妬深くないし!…多分。
いいから早く行こうよ。暑くて溶けそうだよ」
(夏)「そうだな。行こうか」
4人はその後、ファミレスで数時間も他愛のない話をし、4人が店から出た時には空が暗くなりかけていた。
(平)「じゃあ、またね」
(夏)「おう。健人とのデート遅れるなよ」
(平)「ダッシュで行くし!」
(夏)「俺達はこっちだから。じゃあな、2人とも」
(金)「うん、ばいばい」
(松)「夏休み中にまた集まろうな」
夏目は自転車に乗り、松尾と金子と平塚は駅に向かって歩きだした。
終業式が午前で終わり、この時間まで制服で歩いているのは3人だけである。
(松)「結局あの手紙は誰からだったんだろうな」
(金)「…」
(平)「…」
(松)「お前ら聞いてる?」
(金)「…実はあの手紙、私が出したの」
(松)「え!?お前なの?」
(金)「うん。名前書き忘れちゃったから悪ふざけ扱いにされちゃったけど」
(松)「…ということは、お前。修介のことが好きなのか?」
(金)「…うん」
(松)「やめとけやめとけ。あいつ多分、好きな女子いるから無理だって。
それにあいつモテるだろうから絵里のことなんか…」
(平)「賢治最低!何でそんなことしか言わないの?」
(松)「いや、ごめん。
というか、結城も知ってたのか」
(平)「知ってたよ。
大丈夫だよ、絵里。誰が何を言っても私だけはずっと応援してるからね!」
(金)「ありがとう、結城」
(松)「…」
3人はその後、電車に乗るまで、その話題は出さなかった。
松尾は女子2人とは違う電車に乗った。
(松)「じゃあな」
(金)「うん。じゃあね」
(平)「じゃあね」
動き出したそれぞれの電車は同じ方向に進むことはなく、薄暗い風景に溶けこむように消えていった。
夏休みの初めは、それぞれの都合により4人で集まることが出来ずにいた。
夏目と松尾はバイトの日々。平塚は彼氏の宮沢と遊ぶのに忙しく、金子は家族と旅行に行っていた。
授業がないということに慣れてきた8月のある日。松尾からの呼び出しに、4人は夏休みになって初めて集まった。
(平)「そういえば、絵里少し焼けた?」
(金)「日焼け止め塗ってたんだけどね。家族と京都行ってたの」
(夏)「いいな、京都」
(金)「でも超暑かったよ。夏に行く所じゃないね」
(平)「絵里、その袋は?」
(金)「これはみんなにお土産だよ。はい、修介から」
(夏)「サンキューな、絵里。
賢治、絵里からお土産だぞ。あちいあちい言ってないで来いよ」
(松)「ありがとさん。…ん?これは?」
(金)「それはお守り。全部違う種類買ったんだよ」
(平)「結城!何でうちのお守りが安産祈願なのよ!」
(夏)「俺のは厄除けか」
(松)「俺は縁結びだな」
(金)「適当に選んでランダムに渡したから、別に気にしないでね」
(平)「本当に?うちのやつに意味はないっていうの?絵里?」
(夏)「ありがとうな絵里。
それで、賢治。何で今日集めたんだ?」
(金)「そうだよ〜」
(平)「今日はたまたま健人が予定入ったらしいからいいけど、いきなりだよ。
どうしたの?」
(松)「お前ら、終業式の修介の話を覚えてるか?」
(平)「覚えてるよ」
(松)「最近何か奇妙なことなかったか?」
(平)「…あ。そういえば、夏休みに入ってから変なことが続いてさ」
(金)「どんなの?」
(平)「それがね、健人とデートの度に他校の柄の悪そうな男子が絡んできたの。それで賢治が、うちには他にも男がいるんじゃないかって疑って大変だったんだよ」
(夏)「健人は嫉妬深いからな〜。
健人からのは疑いは晴れたのか?」
(平)「うーん…。多分ね。」
(金)「結城には言ったんだけど、私家族で旅行に行ってたじゃない?それで一昨日帰った時に郵便受けを開けたら、沢山の新聞に紛れてホンオフェが入ってたの」
(夏)「ホンオフェってエイの切り身とか刺身を発酵させたやつ?」
(金)「そうそれ。開けた途端にアンモニア臭がして鼻がおかしくなるかと思ったよ」
(夏)「それは最悪だな」
(平)「だよね、絵里可哀想!
…それで、賢治は何かあったの?」
(松)「2人ほどのことじゃないけど、夏休みになってから無言電話が掛かってきてさ。毎晩掛かってくるんだけど、昨日の夜だけ女の人がでて『明日の夕方に進修館近くで待ってる。私を探してね』って言ってたんだよ」
(金)「うわ、怖いやつじゃん!」
(平)「幽霊かストーカーか分からないけど、モテて良かったじゃん!」
(松)「そんな女子嫌だよ!」
(夏)「それで結局、何で俺達を集めたんだ?」
(松)「俺の家の無言電話が始まったのが漱石の話を聞いてからだったから、他の奴らも同じかなと思ってさ。
話を聞いた限りだと、どうやら予想は当たったみたいだな」
(平)「え、ちょっと待って。ということは、これからうちらは進修館に行って、芭蕉に電話を掛けた女に会いに行くの?」
(松)「そういうこと」
(夏)「面倒くさいな」
(金)「進修館じゃなくてどこかで夕飯食べに行こうよ」
(松)「行こうぜみんな。折角の夏休みなんだから肝試しみたいでいいだろ?」
(平)「んー…肝試しならいいかな。行こうかな」
(夏)「そうだな。いいかもしれないな」
(金)「えー。行くの〜!?」
(松)「よし。行こう!」
金子はあまり乗り気ではなかったが、数の力に負けて全員で行くことになった。4人は進修館に向けて歩き出した。
ほどよく暗くなり、肝試しにはいい感じの空の下。幼馴染み達4人は進修館の近くまで来ていた。
(夏)「そろそろだな」
(平)「そうね」
(金)「ちょっと怖くない?」
(松)「大丈夫だよ。
ここからはばらけて探そうか」
(夏)「それがいいな。
俺はここの路地あたりを探すよ」
(平)「じゃあ、うちは…」
(松)「進修館の中にしたら?」
(平)「そうね。中探すよ」
(金)「私は?」
(松)「すぐ終わるだろうから、進修館の外で待ってれば?」
(金)「それでいいならそうする」
(夏)「お前は?」
(松)「俺は進修館の周りを探すよ」
(夏)「オーケー。それじゃあ終わり次第進修館な」
(平)「はーい」
(金)「待ってるよ」
(松)「おう」
夏目は脇道に入って行き、他の3人はそのまま進修館に歩いて行った。松尾は進修館の敷地内に入る前に別れて見えなくなり、金子と平塚だけで進修館敷地内に入った。
(金)「結城、怖くない?」
(平)「まあ、肝試しだしね。これくらいないとね」
(金)「気を付けてね」
(平)「大丈夫よ。ばいばーい」
金子を外に残し平塚は進修館の中に入った。
いつもとは違う暗さの室内は恐怖心を煽る。平塚は内心震えながらも1階から見て回った。どの部屋の物陰にも何かがいそうな雰囲気で気が抜けないまま恐る恐る回った。しかし1階は何もいなかった。
(平)「なーんだ、何もいないじゃん」
(宮)「どこに何が無いって?」
平塚が階段を登りきるや否や、突然2階の廊下の奥から声が聞こえた。
平塚の彼氏の宮沢だった。
(平)「きゃああああああああ!!
け、健人!?何でここにいるの?」
(宮)「おいおい、そんな驚くことか?
それともなんだ、俺がいたら不都合があるのか?」
(平)「いや、健人がいるとは思わなかったのよ。ナイフ持ってそんな所にいたら誰だって怖いと思うよ」
(宮)「嘘だな!
お前、実は他にも付き合ってる男いるだろ!」
(平)「だから!それは違うって前も言ったじゃん!!」
(宮)「また嘘ついた!!
俺は知ってるんだからな。夏休みのデートの時に絡んできたあの男達の内の1人と付き合ってるってな!」
(平)「前も言ったけど、あんな男達あの時初めて会ったのよ。本当に知らないわ」
(宮)「賢治が俺に教えてくれたぞ。そいつとは6月頃から、もう付き合ってるってな」
(平)「え、賢治が?」
(宮)「あんなに好きだって言ってくれたのに!映画に行ったり、一緒にプリクラ撮ったり!色んな所に行って楽しかったのに!ずっと一緒だって、約束したのにぃ!!!!」
(平)「まって、健人!お願いだからちゃんと話を聞いて。うちは今でも…」
(宮)「うるさーい!嘘つくな!!
賢治から色々聞いてるんだからな!信じないぞ!!」
宮沢は平塚の弁明は一切聞かず叫びながら平塚に近づいてきた。平塚は宮沢のあまりの迫力に圧倒され、階段を降りずに、そのまま宮沢と反対の廊下の方に走り出してしまった。逃げ出した平塚に対して更に怒り、宮沢も走り出した。
(宮)「何で逃げてんだよ!おい!!」
走り出しは平塚の方が早かったが、普段部活で走り込んでいる宮沢は速かった。あっという間に平塚の背中まで追いつき、平塚の服を掴んだ。
(宮)「何か言うことはないのかぁ!!」
(平)「ほ、本当に、健人としか付き合ってない、よ!!今だって健人が好…」
(宮)「まだ嘘をつくのか!!!!何で正直に謝ってくれないんだよ!!!!」
平塚が怯えながらも伝えた言葉を宮沢は打ち消し、そのままの流れで服を掴んでいる逆の手。ナイフを持っている手で胸を刺した。
致命傷だったらしく大量の血が流れ、一目でもう助からないことを宮沢は悟った。
助かっていても宮沢はもう諦めていた。
(宮)「お、お前がいけないんだぞ!お前が俺以外の男と付き合うからこうなったんだ!!」
(平)「」
何の反応も示さない"彼女だったもの"と赤く染まったナイフを見て、宮沢は現実を認識し始めた。
宮沢はひざまずいて固まったまま発狂した。
宮沢はもう、何も考えていなかった。そのため、目の前に現れた人物が宮沢の手ごと掴んでも抵抗はしなかった。
切腹のような形で腹を刺した。しかし、傷は殺すまでに至らず、宮沢を苦しめた。
(宮)「い、いってぇ!!!!!!!」
ナイフを離し、傷を抑えたが血が止まらなかった。
宮沢が傷を庇うために捨てたナイフは拾われ、宮沢の喉に突き刺した。
(宮)「かはっ」
刺され喉からは声が出ず、宮沢は無言でのたうち回った。
*****
平塚の叫び声を聞いてからすぐに進修館に入った金子は苦手な暗闇を歩いていた。
1階はまわり終わり、階段にさしかかったところで男の叫び声が聞こえた。金子は少し早足になりながら階段を駆け上った。
上りきった金子は物音がする方へと進んで行った。すると、そこには親友である金子が胸から血を出し倒れ、その近くでは喉にナイフが突き刺さったままの宮沢が瀕死の状態で苦しがっていた。
(金)「きゃあああああああああああ!」
(松)「うるさいな」
(金)「きゃあ!」
松尾は金子を突き飛ばし宮沢のナイフを抜いた。宮沢の身体は一瞬、大きく波打ったがそれきり動かなくなった。
金子は平塚と宮沢に目がいってしまい、闇に紛れて宮沢の近くに立っていた松尾に気が付かなかった。
さっきまでの松尾の格好に、合羽と軍手をつけ、血のついたナイフを握っていた。
金子は混乱していたが、今起きていることが分かりはじめてきた。
(金)「な、何でそんな…。それに宮沢君も何でここにいるの…」
様々な疑問が浮かんできた。しかし、その疑問は松尾が消した。
(松)「お前らが邪魔だったからだよ!」
*****
自分の持ち場をまわり終わった夏目は、進修館に行った。
夏目は最初、他の3人が自分のことを驚かせようと隠れていると思いしばらく進修館の周りなどで3人を探した。しかしいくら探してもいないから、自分も進修館の中に入ることにした。
進修館の中は暗く、なぜか、どんよりとした空気が漂っているように感じた。
蒸し暑いはずなのに、鳥肌の立っている腕を擦りながら歩いた。
(夏)「おーい。お前らが隠れてるのは知ってるから出てこいよー」
夏目は恐怖心を消すために声を出したが、誰からも返事は返ってこなかった。
1階は見終わったが、やはり誰も隠れていなかった。
階段の手すりに手を掛けたところで、お守りが落ちているのが目に入った。
安産祈願のお守りは金子から平塚に渡したものだった。
これは絶対に脅かされると思い、逆に脅かしてやろうと考えた夏目は忍び足になった。
にやけながら階段の曲がり角ぎりぎりまで進む。
(夏)「わあ!」
予想は外れ驚かそうと隠れていた人も、驚いた人もいなかった。
代わりに奥の方から、ビニル袋を提げた松尾が歩いてきた。
(松)「1人で何やってんだ修介」
松尾が笑いながら近づいてきた。
(夏)「いや、お前らが脅かしてくるかと思って…」
笑いながら応えようとした夏目に、段々と緊張が戻ってきた。
何故松尾がここいいるのか。あのビニル袋に入っている、赤黒い液体の付いた物は何か。
少し松尾の方に近づいてみると、明かりが少し奥まで見えるようになった。
(夏)「おい!!!!何だよそれ!!」
(松)「結城と絵里と、それを殺した健人だよ」
松尾が淡々と答えて受け流しそうになったが、すぐに頭で考えはじめた。
それは嘘である、と。
少しの深呼吸をしてから夏目は聞いた。
(夏)「何で殺したんだ!賢治!!!」
松尾は少し驚いたように動きが止まったが、すぐにまた、ゆっくりと夏目の方を向いて歩き始めた。
(松)「絵里がさ、お前のことを好きだって言ってさ。やめとけって俺は言ったんだけど、結城が焚きつけちゃってさ。
困ったもんだよなあいつら」
夏目は松尾が何を言っているのか分からなかった。
(夏)「…お前、何を言ってるんだ?」
松尾が更に近づいて来る。
(松)「あいつらを今日消すために大変だったんだぜ。
修介への手紙は絵里だけど、他の嫌がらせは全部俺がやった。
夏休みに同中の男に結城に絡むようさせて、健人の嫉妬を煽るのは大変だったよ」
(松)「1つ心配だったのは、健人が最後の最後に殺さない可能性があったことかな。
まあ、殺らなかったら俺が代わりにやって、結局は健人に罪を被せただろうけど」
(松)「それ以外は計画通りだよ」
松尾の話は夏目にとって理解の域を超えていた。
(松)「俺さ…」
考えるよりも先に、本能は危険を告げていた。
この後を聞いてはいけない。松尾から逃げてこの場所から離れなければ。
気づいたら暑さからではない、気持ちの悪い汗をかいていた。
夏目は動こうとしたが、既に松尾は腕を掴まえられる距離にいた。
腕を掴みながら、松尾は夏目の目の奥を見るようにしながら続きを言った。
(松)「お前のことが好きだ」
暗闇で告白した松尾の愛は、とても歪んでいた。
この話は高校の文化祭の出し物で使うということになり作ったものなので、かぎかっこの前に名字の頭文字を入れるという今までに書いたことない表し方になりました。
『書いたことない』といえば。話を考えるにあたって、予想外の展開にしたいと思って考えて新しいジャンルに手を出すことになりました。新ジャンルについてはあまり深く知らなかったので、伏線とかは意識して散らしてみました(お守りくらいですかねw)。
読んでくれた方が少しでも怖いと思えてもらえたら幸いです。