イケメンは敵だ。
数に誤りがあったので直しました
目が覚めるとそこは白い大地だった。
いや、大地というのは語弊があるだろう。なぜなら、今俺が寝そべっている地面はふかふかの布団のように柔らかい。少し手でムギュムギュしてみたが、布団ではないことだけはわかる。まるで白い大理石の床がマシュマロみたいな柔らかさになった様なそんな感じだ。自分で言っててわけわかんなくなってきた。それくらい不思議な床だった。
状態を起こすとそこは何かの建物のなかだった。天井が高く10メートルくらいあり、見たことのない彫刻が描かかれている。しかし、天井は高いのに部屋自体はそこまで大きくない。まるで卵の様な造りをしている。
「・・・ここどこ?」
落ちつけ、俺。まずは記憶の整理だ。
えーと。確か、帰宅途中ラノベをいつ買うか考えて、地元で買うことにして、えーとそれから、なんだっけ?思いだせない。
なんか黒い物があったくらいしか思いつかん。思いだすんだ、俺。
「思い・・・・だした!」
と言ってみたものの実際には思い出していない。ただ言ってみたかっただけだ。
「う、う〜ん」
「うへっ!」
突然、右側から声がした。驚いて変な声出しちゃたじゃねぇか。
右側を見ると女の子が寝ていた。
は?
いや、まておかしい。そんな事はありえない。俺には彼女いないし。年齢=彼女いない歴の童貞だ。こんな所で女の子と寝ているわけがない。だが、実際には寝ている。何だ!俺にいったい何があったんだ!こんなイベントを見逃すなんて俺に何があったんだ。
落ちつけ、落ち着くんだ。まずはこの状況を整理しよう。
初めに、俺はここにきた記憶がない。というか忘れている。
二つ目に、隣に女の子が寝ている。
結論。寝ている間に何かあった。
なんか犯罪臭がする!
何でだ。何でこんな目にあってるんだ。
頭を抱えて嘆いていると、周りから声が聞こえてきた。
「成功しましたぞ。王様。」
「まさか本当に成功するなんて・・・」
「これで世界は・・・」
「なんでもいいから早く帰りたい。」
なんか、最後の方だけ周りと馴染んでいないのがあったけどこの際もう気にしていられない。
一つだけわかった事がある。
それは、俺をこの場所に連れてきて、あまつさえ女の子の隣に寝かせるという、思春期の男子には刺激が強すぎるこの状況を作り出した、恩じ、ゲフンゲフン。もとい、犯罪者達があいつらだということだ。
「まだ、目を覚ました勇者は1人か・・・」
周りにいる大人達の中で一番豪華な服を着て、王冠をかぶっているおっさんが奇妙なことをつぶやいた。
勇者?
何を言っているんだこのコスプレおっさんは。まさか、俺か?俺の事を言っているのか?
「むぅ。10人中まだ1人しか目を覚ましていないか。」
あれ?今、あのコスプレおっさん10人って言わなかったか?
疑問に思い周りを見渡すと、後8人の男女が気絶している。男子が3女子が5だ。
女子多い‼︎
しかも、よく見ると一人一人別の学校の制服を着ている。
セーラー服初めて見たわ。
俺がぽけ〜と眺めていると男子が1人目を覚ました。
「いって〜。なんだったんだあの黒い穴。それより、ここはどこだ!」
頭を抑えながら忙しなく辺りを見回している。
なんだろう。こいつ、気にくわねぇ。
歳は同じくらい、身長は俺よりでかい。ちっ。制服はブレザーだ。学ランの俺より着やすそうな服だな。ちっ。
そして一番気にくわないのはあの顔だ。一般常識で言えばイケメンに属する部類だ。ちっ、ちっ、ぺっ。
「おお!もう1人の者も目覚めたか。」
コスプレおっさんが喜びの声を挙げると、ブレザー高校生その1がそこに誰かいることに気づく。
「誰だお前は!こんなたくさんの高校生を誘拐して何をするつもりだ!僕達を解放しろ!」
なんか勇ましいことを叫びだした。
こいつは馬鹿だ。
素直にそう思った。だってそうだろう。仮に奴らが誘拐犯だとして、起きてからろくに情報収集もせずに、犯人に怒鳴るなぞ愚か過ぎる。それに、今起きているのは俺を含めて2人。ようは8人がまだ眠っているのだ。これは人質を取られているのに近い状態だ。なんせ、無抵抗な人間が目の前でしかも複数人いるのだ。誰か1人でも人質にされたらどうするつもりなのだ。
勇ましいことは悪いことだとは言わないが、時と場合によっては悪手になるのだ。こいつはそれを理解していない。こいつは本当に俺の苦手な正義感強い主人公タイプの人間の様だ。しかも、イケメン。より、苦手だ。
「そう構えずともよい。別に我らは貴公らに手出しをするつもりはない。」
怒っているブレザー高校生その1にをなだめるコスプレおっさん。なんかすごい絵だ。
そんな事をしていたら、他の8人が目を覚まし始めた。先程のブレザー高校生・・・。こいつはブレ高1でいいか。ブレ高1の怒鳴り越えで目が覚めた様だ。
皆一様に同じ反応をする。
初めに、ここはどこだっ!という顔をする。それで辺りをを見回して同じ境遇の高校生を9人見つけ、その後にコスプレおっ・・・。こいつも長いからコスおでいいや。コスおがいることに気づく。
「「「・・・・・。」」」
しかし、最後は皆真剣な顔で黙る。
うん。これが普通だ。普通のやつなら目覚めた直後に周りにいる奴らに威嚇などしない。
「うむ。これで全員目覚めたか。それではこれから貴公らを呼んだ理由を説明しよう。単刀直入に言う。我々の勇者になってほしい。」
コスおの一言に周りにいる奴ら全員が彼の頭を心配し始めた。