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夢の始まり②

 ゲームをクリアしてから数日経った。

 最後にプレイしてから中間テストの時期が近くなってきたため、あれからまだプレイできていない。クリア後のミッションなどを調べたりもしたが、プレイ人口が少ないせいかあまり情報は出てこなかった。


「テストまであと1週間切ってるけど今日は少し余裕があるから久しぶりに少しだけゲームするか!」


 魔王を倒した後は始まりの小屋からスタートだった。2ヶ月前に始めたときと同じ場所だが、鮮明に覚えているのは最近見た夢のせいだろう。


 最初にプレイしたときと変化が無いかいろいろ調べてみても特に変わった様子は無い。小屋の外も特に変わった様子は無く、1周目のストーリーと同じように姫に会うため森の中を進んでいき、王宮を目指すことにした。


「特に変わってるとこは無いように見えるけど…レベルもクリアしたときのままだしひょっとしたらモンスターが強くなってる系かな」


 森の中を進んでいくと、夢の中で負けてしまったモンスターが現れた。普段なら何ともない雑魚モンスターだが、夢の中の記憶が少しだけ戦うことを躊躇わせる。


「とりあえずこいつで2周目の世界の敵の強さがどうなのかわかるな」


 持っている剣を一振りすると、あっけなくそのモンスターは死んだ。


「あれ…いや、これが当たり前だよな。そりゃあ夢の中であんなことがあったけどゲームじゃこうだよな」


 簡単にモンスターを倒すことができたが、ひょっとしたら1周目の世界と何も変わってないんじゃないか?という疑念も同時に生まれた。


 当たり前だがすでに1回クリアしていることもあり、王宮にはあっという間に到着した。そしてその間に変わったことも何一つなく、ただ1周目と同じことの繰り返しをしていることに少しばかり飽きる気持ちさえ生じてきた。


 「これが始まり」


 魔王が最後に言ったセリフを思い出すも何も変わらない。むしろ同じことを繰り返す強くてニューゲーム的なものか…と納得した。ならばと当初の予定通りまだこなしてないサブミッションを色々と楽しもうと切り替えることにして、その日はゲームを閉じた。


「とりあえず次は姫と一緒に旅をするルートでプレイしてみるかな。そのほうがストーリーも変わるだろうし」


 そして俺はゲームを終えて深い眠りについた。



「あれ…ここは…?」


 目の前に広がるのは数時間前に見た景色。そう、始まりの小屋だ。

 数日前に見た夢と同じ夢を見ていることにすぐ気がついた。


「なんだよ…また同じ夢見るとか。俺このゲーム大好きすぎるじゃん。じゃあ森に行って魔物にやられて起きますかね」


 ベッドから起き、外に出るためドアを開けると前回とは違う景色が広がっていた。とてつもない大雨と強風によって森の木々があちらこちらに暴れているように揺られていた。


「うわ…これはさすがに外に出るのはやめたほうが良さそうだな。仕方ない、今日は家で読書でもするか。嬉しいことにここには大量の本があるし、ゲームの中では読むことができなかったからな」


 4段に分かれている本棚にびっしりと敷き詰められている本の中から、俺は1番右上の本を手に取った。


『現世と夢』


 そう書かれた本を捲ると最初のページにこう書かれていた。


---これが始まり


 魔王が最後に発した言葉だった。


「またこれか…。結局何も変わらなかったから何周もするってだけなんだよな」


 そして本を読み進めていくと、この世界の歴史について様々なことが書かれていた。


 およそ千年ほど前に突如として現れた魔王は人間の世界を支配しようとしていた。それからこの世界は人と魔王の戦いが続いていた。


「この辺はゲームを始めたときのムービーで説明されてたっけ…そういやスキップしてたからじっくり見るのは初めてだな」


 改めてこのゲームの世界観を読んでいくうちに気になることが書いてあった。


『何度倒しても魔王は何度でも蘇る。魔王を倒すためには選ばれた者でなければいけない』


「選ばれた者…?いやそれよりも何度も蘇るってどういうことだ?何周もするからそのループってことでいいのか?…考えても全然わからないな。これは他にもたくさん読んでこの世界の真実とやらを学ぶ必要があるかもしれないな」


 もしまたこの夢を見たら続きを読んでいくことにしよう。

 そして今度こそ魔王を倒してゲームクリアを目指すことにしよう。


 一冊読み終えたところで疲れが溜まったのでその日は夢の中のベッドで眠ることにした。


 しかしいくら経っても眠ることができず、現実で目を覚さない。現実に戻る方法は魔物に倒されるしかないのか…と少しばかり憂鬱になった。

 仕方なく森の中を進み魔物と遭遇し、前回同様戦いを挑むもあっさり倒された。


「せめて武器があれば…もしくは魔法が使えたら簡単に倒せるのに…」


 そう考えながら意識が遠くなっていき、そのまま気絶したと同時に現実世界で目を覚ました。


ご覧いただきありがとうございました。

もしこれから先も読んでみたいと思っていただけたら、ブックマークや評価などして頂けるととても嬉しい限りです。

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