オタクは突然の転生に動じたりしない
処女作です。出てくるヒロインは全て私の趣味という私利私欲のための作品なのでご了承くだせぇ。
「やっと買えた~」
私ーー神崎まおーーはゲーム店の袋をかかえながら人通りの多い繁華街をあるく。
今日はテストが終わるまで我慢我慢と待っていたゲームをやっと買うことができ、気分は上々だった。
だからなのか、青のはずの横断歩道につっこんでくる暴走トラックに気づかなかった。
「私のゲームー!!!!!」
「うわっ、どうしましたお嬢様」
ガバッと起き上がり辺りを見渡すと、青みがかった黒髪を綺麗にボブに切り揃えたフリルの多いメイド服のようなものをきた女の子が私のことをみていた。
「え、ん?」
おかしいな私はこんな美少女にお嬢様と呼ばれる覚えはない。まぁこれはこれで悪くは…って違うし!
「まぁ良いですけど、朝食までには下に降りてきてくださいよ。」
メイド服美少女ちゃんが出ていったあと辺りを見渡すとそこは明らかに自分のへやとかけはなれていた。日本でこんなシャンデリアが部屋にある人なんてどれくらいいんの?
とりあえず無駄に大きいベッドから降りると体格が自分と違うことに気づいた。
「なんか手ちっちゃくね?」
急いで部屋にある姿見の前にたつととんでもない美少女が鏡にうった。透き通るような茶髪に吸い込まれそうな赤い目。
肌は雪のように白く、目鼻立ちもくっきりとしていてまるで物語の主人公…
「…異世界転生かよ」
オタクたるもの、突然の転生に驚いたりしないのだ。
私が転生したのは私が相当やり込んでいた百合ゲーム「桜舞う乙女学園」通称おとがくの世界のようだ。
主人公で伯爵令嬢のクロエーカーソンが十四歳で学園に入学し、十人十色のヒロインたちと恋に落ちていく物語だ。
そのクロエーカーソンが多分私。
「なんか段々思い出してきたなぁ」
私はクロエーカーソン。カーソン伯爵家の長女。13歳。今春から学園に入学する。ちなみにさっきのこはメイドのチカ。
「ふー、とりあえず落ち着いた…ん?」
待てよ。待てよ待てよ。ここが本当にゲームの世界だとしたら「彼女」に会えるのでは?
「ソフィたんに会える!?」
ソフィたんというのは私のゲームの最推しである。
彼女は白い髪に青い瞳を持つ攻略対象の一人だがメインの女の子と比べるとストーリーも短め。でも私は彼女が大好きだった。大人しく謙虚な性格と彼女が好きな本について語るとき目を輝かせること。
でも彼女は、、、他のルートに私が進むと親友ポジになり、謎の女に刺し殺されてしまうのだ。
「私なら彼女のバッドフラグを回避できるってこと?」
「お嬢様いい加減そろそろ降りてきてください。」
ドア越しに聞こえたちかの声に返事をしてから私は決意を固めた。
「二度目の人生絶対無駄になんかしない!」