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 とにかく貴族は世話をされるのを好む。優雅に遊ぶことと世話をされることはイコールとなっている人もいるくらいだ。


 と、いうことを踏まえて、俺たちは王都に戻ってきてから会議をした。メンバーは俺とニーデズとメッセス。ウルトは父上に取られた。

 父上はガルフにハマってしまったようで俺たちと一緒に王都に帰ってくるはずが、まさかの領地屋敷に居座りだった。当然のように母上も残ることになったが、オータミィ義姉上が大喜びだったので反対はしなかった。


「一つのボックスにサポーター二人は必要だな」


 庭師ネンソンたちが作ってくれたティーボックスは十。

 ちなみに、ネンソンは弟子とともにタァサスの屋敷に移籍した。王都屋敷にはネンソンの師匠もネンソンの弟弟子もいるから大丈夫。新たに若者を雇うらしい。


「休み時間にお茶を出すタイミングがボックス毎に変わりますと、『あいつは自分より優遇された』と思われる方もいらっしゃいます」


「うわぁ〜。それあり得るわぁ。というか、絶対あるわぁ」


 俺が頭を抱えるパフォーマンスにニーデズはクスクスと笑っている。


「お茶を出すだけですので、高位貴族令嬢である必要はないと思いますが」


 うちは公爵家なので、メイドは伯爵令嬢か子爵令嬢だ。若い行儀見習いから嫁ぎ先のなかった者、旦那と死別や離婚。理由は様々であるが貴族令嬢なのは確かだ。


「男爵令嬢か商家の娘だとして、お客を怒らせない程度の教育は必要だな。

あとは、下級使用人か。俺としては領都の孤児院出身の者たちの仕事にしたい」


 孤児院出身というだけでどこで働いても冷遇されその日の飯にも困っているというのは、王都でさえもあることだ。


「領都から通わせるのですか?」


「馬車で一時間かからないだろう?」


「交通費をかけたくないと考え歩くと思いますよ。片道一時間半です」


 時間も問題だが体力も問題だろう。


「交通費は出してやればいい」


「それさえも食費や仕事のない仲間のためにと、馬車代金には使わないと思います」


「それもあるあるだな」


「学生寮みたいにしてはどうですか?

メイドもサポーターも領都にアパートでは大変ですよね」


「ニーデズ! それ採用! 孤児たちと同じ玄関は嫌がりそうだから、孤児たちは裏手から入れる部屋にすればいい」


 メッセスが俺の意見ににっこりと笑う。


「な、なんだよ……」


「フユルーシ様。施しすぎないように心配りをなさるほど立派になられたのですね。感無量です」


「しっ、仕方がないだろう? メイドやサポーターに虐められるかもしれないんだからっ!」


 サポーターは恐らく男爵家子爵家の跡継ぎでない者たちになる。そしてメイドも男爵家子爵家の令嬢だろう。中には裕福な平民とであっても一緒くたにされることを嫌がる者もいる。


「と、とにかく、あの辺にそういうのに使えそうな建物あるか?」


「下級使用人は何人ほどですか?」


「とりあえず六人くらいか?

父上たちの時には二人だったろう? 仕事内容を何て言っていた?」


「かえって楽過ぎると言っておりました」


「えー!! でもさ、いざ始まったら、お客の競技時間にはボール磨きがあるんだよ」


「それは女の子を雇ったら?」


「なるほど。女の子の仕事になるのはいいね」


 この世界では孤児院出身の女の子の半数は娼婦になる。


「じゃあ、男児四人と女児二人。男児はボール拾いとボール磨き。女児はボール拾いはやらないでいい。

で、どうだ?」


「とりあえずなので、妥当なところだと思います」


 全ての孤児を助けられるとは思っていない。それでも少しでもとは思う。

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