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7.村の強化と神スキル

おっさんというか中年率高すぎですね(笑)


翌日、再び作業が始まった。

まずは材料の確保のため、ある程度力仕事のできる者たちで近くの林へ木材の伐採に向かった。この林は村のすぐ近くのため、何かあってもすぐに戻ることができる。木材の移動も容易である。俺の手には以前手に入れた粗末な斧ではなく、バルクから借り受けた鉄製の斧が握られている。結構な重量があり、持ち運ぶ体力が勿体なかったため、今は袋にしまっている。

林に着くと、全員がそれぞれの得物を準備する。伐採スキル持ちの俺が効率的伐り方を教え、あとはそれぞれが分かれて取り組み始める。俺も付近の安全を確認して、件の斧を構え、「そりゃ!」と気合を入れて斧を打ち付けた。

「な! えー!! マジか!?」

驚くべきことに、木が一刀で倒れている。伐った断面は滑らかで、「斬れた」という表現の方が適切である。伐採スキルは現在Lv16。スキルの中では一番高いがそれでも今までこのようなことはなかったので、武器の性能を見てみる。


ドワーフの斧・・・地属性が付与された鉄製の斧。威力+21。ドワーフが戦闘で持ちる一般的な武器。


 いつも使っている斧のまさかの10倍の威力であった。斧の性能のおかげで伐採の効率もかなりあがった。また、スキル「貴方の人生に幸多からん事を」の追加効果が功を奏し、一緒に伐採にきた人たちが次々と伐採スキルを習得していた。ロンの時と同じく、皆かなり喜んでいた。しかも、成長速度もバフがかかっているので、半日作業する頃には俺が伐採スキルLv22、他の皆さんもLv5前後まであがったらしい。中には「神様・・・。」と己のスキルLvを信じられないという顔で見ている者もいる。

「お、おい見てみろよ・・・! 俺たちがスキル持ちだぜ!?」

「スキル持ちってこんな景色なんだな。嘘みたいに木が伐れるぞ!」

「俺なんてLv6だぞ? くっそこんなに『伐採』に適正があると知ってたら木こりとして生きていくんだった・・・。」

「そしたら俺たちみんな木こりじゃねぇか!(笑) 『木こりの村』になっちまうよ。」

 一度村に戻り、昼食をごちそうになった。伐採組の面々は嬉しそうにスキルを得たことをしゃべっている。それらを微笑ましく見守りつつ、午後は村人総出で木の移動を行った。やはりこの作業が一番堪える。全員でくたくたになるまで作業し、終わったころにはとっぷり日が暮れてしまっていた。ありがたいことに村の女性陣が炊き出しをしてくれていた。疲れた体に染みるようなうまさであった。

 

 

 翌日は材木を木工スキルで大型の杭にしていく。素材となる木材が大きいので、杭も立派なものができた。そして、それを村の周りに立てていく。残念ながら、すべての畑と家畜小屋をカバーするには人出も杭も足らなかった。今回は直接的な人的被害を軽減しつつ、できうる範囲で畑をカバーすることにした。

 作業をするうちに木工スキルがLv15になった。そして、新しく「櫓」が作成可能になったので、北の森に面したところに建設した。試しにバルクと登ってみたところ、「ゴブリン相手ならこれで十分効果があるだろう。」と、太鼓判をもらうことができたのが嬉しかった。

 昼過ぎからは堀の準備だ。堀は昔から動物や人間との争いのために使われた防御設備である。地面をV字型や逆台形に掘っていく。本来は水を入れたいのだが、灌漑を行うには日数が足らないのであきらめることにした。代わりに、俺の木工スキルで堀に逆茂木を付ける予定だ。

 堀作りが一苦労だった。なんせ、誰もスキルをもっておらず、鉄製のスコップなど便利な物はないのだ。普通はもっと大人数で、時間をかけてやるのだろう。泣き言を言っていられないので、手近な道具で木柵の周りの地面を掘っていく。弥生時代くらいの人々もこうして労働に汗を流していたのだろうか。古代の人々への尊敬が一気に高まった気がする。

 そして、しばらく作業すると、待望のスキルを入手することができた。


土木スキルを習得しました。

土木・・・土地に力を加え整備する技術。石や木、岩などを用いて様々なものを作り出すことができる。木工スキルや地属性魔法と相性が良い。スキルLvが上昇すると、作成可能な物や、土地に様々な変化を加えることができるようになる。


 なるほど、木工スキルと地属性魔法と相性がいいのは納得である。Lv1の俺ができるのは任意の場所の地面を掘る際に疲労度が軽減され、掘れる範囲が広がるらしい。体力の消費が抑えられるのでかなり助かる。

 スキルが発現してからの作業は非常にスムーズだった。伐採の時と同様、今回も作業する皆も次々にスキルが発現していった。加速度的に作業効率が増し、当初の予定よりも堀の範囲を広げることが可能になった。木柵で囲むことができなかった畑や家畜小屋の外周を堀で囲むこともでき、ついでに近くの小川から灌漑用の水路を引くことにも成功した。これには村の農家の方々は大喜びで、ゴブリン被害の前よりももしかしたら来年は収穫量アップが見込めるだろうとのことだった。

(ロンの時も思ったけど、このスキルってホントにすごいな。特に、集団の人数が増えれば増えるほど効果も大きい。神スキルというか、ぶっ壊れスキルじゃないか・・・? まぁとりあえず今はいいか。村の皆も喜んでいるし・・・。)

 

 今日も日が暮れるまで作業は続いた。連日の作業にあまり若くない村の面々はへとへとであった。しかし、何日か前よりも皆の表情は一様に明るい。作業に従事した人の全員がスキルを得たことは勿論、「村を守る」という明確な目標に向かっている充実感がそうさせているのだ。

 村の人たちとはすっかり打ち解けた。あまり他と交流の少なそうな村だ。よそ者への警戒心はあったはずだけども、共に汗を流し、寝食を共にするうちにまるで村の一員のように接してもらえている。


 人は、目的を共有し、共に困難に立ち向かう時に連帯する。


 みんなでわいわい楽しむ時、連帯感に包まれる。また、1つの解決せねばならないトラブルにみんなで取り組む時も連帯することが多い。

 ルドンの村はかつてない熱気と、充実感に包まれていたのだった。



 ところが翌日、士気上がるルドンの村に衝撃が走ることになる。

 


 再びゴブリンの集団が現れたのである。


ここまでのタクトのステータス


Lv5

力   27

丈夫さ 20

素早さ 12

知恵  20

魔力  15

攻撃  27   ドワーフの斧装備時→ 27+21

防御  20+0


 所持スキル 調理Lv3  棒術Lv7 暗視Lv8 気配察知Lv3 伐採Lv22

       木工Lv15 調合Lv8 裁縫Lv1 土木Lv8 投擲Lv2

       目利きの極意 貴方の人生に幸多からん事を


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