第99話 新たなスキル
主人公は昨日色々と考えた通り、新たに2つのスキルを得る事にしたようです。
これで、更に強くなれるのでしょうか。
朝、目が覚めると横にカトレインは居ない。
う~ん。やっぱり愛してくれない感じなのか。
それとも寝顔を見られるのが嫌なのか。
昨日の夜の感じだと、ある程度俺を受け入れてくれている感じではあるのだけど。
カトレインの事を意識すると、気配探索が二人が朝食を作ってくれているのを教えてくれる。
俺が寝坊だったと言う事にしておこう。
二人に朝の挨拶をし、トイレに行った後、ばれて隠す必要のなくなった生活魔法で顔や歯を磨きながら寝室に戻り、昨日する事に決めたスキルの取得をしておく事に。
その前に、もう一度少知に今現在少能で取得できるスキルを教えてもらい、ステータスウィンドウのログに表示されたそれらを一通り見て少能を使う事にした。
少しでも早く強くなる為に。
死なない様に、死なせる事の無い様に。
その確認後、量産スキルLV1/10、並列思考LV1/10を取得した。
早速、並列思考を使ってみる。
うわ~。なんか変な感じだ。
自分が真っ二つに分けられたのに繋がっていると言う感じと言うか、何というか。
片方の思考に右手を上に、片方の思考に右手を下に、と試しにやってみると、右手は上に上がった。
なる程。体は1つだから、優先順位が決めてあるようだ。
でも、思考は2つある筈だから、考え事は同時に2つ出来る。
スキルも同時に2つ使用する事が可能な筈。
試しに、魔力弾を2つの思考で使ってみると、今迄最大17個だったのが倍の34個もの魔力弾が宙に浮いている。
だけど、これって思考の速度は下がっているはずだから、注意は必要だ。
と言っても、俊敏と知力ステータスで思考速度は上がっているので、その辺の兼ね合いもある。
今迄この2つのステータスのお陰か、ある程度以上のステータスになって以降、魔物との戦闘途中でも余裕をもって思考出来ていたのが、それが無くなる可能性も有るのか。
そんな予測もしつつ、並列思考スキルに細々と聞くより早いかなと、鑑定スキルで並列思考スキルの詳細鑑定しその内容を確認してみると、まず二つに分けられた思考により50%と50%の速度の思考が出来るようだ。
その前提の上、レベルが1毎に1%。
LV11からレベルが1毎に2%。
LV21からは、レベルが1毎に3%。
それが二つに分けられて、思考スピードに加算される。
つまり、LV1で50.5%、LV11で61%になり、LV21で81.5。LV30で95%の思考スピードになるようだ。
また、LV11から多めにMPを消費する事で、思考速度を100%に近づける事も出来るらしい。
思考の遅さは生死にかかわるかもしれないから、最低LV11までは並列思考スキルのレベル上げも急ぐ必要がありそうか。
でも、一つの思考を常に状況の把握にまわし、一つの思考で考えたり攻撃したりするのなら、思考のスピードが下がったからと言って危険とは言いきれないか。
常設の気配探索と危機探索も、視界にレーダーマップを表示したり、スキルや探索対象を意識したりしていない時はテレビを見ながら家の外の音を何となく把握している程度の薄っすらとした把握しかしていない。
だから、片方の思考でガッツリ探索し続け、片方の思考で日常生活や軽めの戦闘をと言う事もできそうだ。
しかし、鑑定に教えてもらった思考速度だと、並列思考だからと言ってスキル上げのスピードが倍に上がるとは限らなさそうかな。
まあ、色々とやってみるしかない。
次は、量産スキルだ。
薬師技による1年保存薬包紙造りを試してみる。
いつもの様に薬師技と念じると薬師技メニューが表示され、そこから作成できる物を表示する選択をする。
その中から一年保存薬包紙を選択し、原料を亜空間収納内の草や葉を選ぶと、作成数を聞いて来る。
今までなら作成数を聞いて来る事は無かったから、これが量産スキルの力だろう。
前に100枚造った時はMPの残量に何の問題も無かったから、今度は1000枚で良いか。
いや。MP枯渇で意識を失いたくない、と思い直し作成について思い出す事に。
確か、普通の紙や薬包紙を1枚造った場合、MPが数回から十数回に一回1減っていた。
一年保存薬包紙は、MPが1減ったり減らなかったり。
今のMPをステータスウィンドウで確認するとMP1608/1608。
今回は纏めて造るので量産スキルにもMPが必要なのだろうから1000枚は不味いな。
試しに、100枚にしておこう。
と、100と念じて入力すると、どの程度のモノを造るか確認してくる。
ああ。薬師技スキルはLV11を超え、薬包紙も+1の良品が造れるのか。
ならば、MPを多めに使いより良い物を造ろうとメニュー内の+1を選択すると、スライド式のメニューバーが表示され、消費MP2.4倍から0.88倍までが選べるようだ。
消費MP1.5倍程度で良いかと、スライドさせ選択すると、作成が開始された。
う~ん。軽く目眩がしたような気がしたけど、気のせいかな。
ああ。ステータスウィンドウを確認するとMPが312も一気に減っている。
まあ、それでも十分な量残っているけど、一気に使い過ぎるのも良くないのかな。
薬包紙の作成はあまりMPを使わないと思っていたのだけど、品質の良い物を1000も一気に作るのは危険かもしれないな。
そう思いつつ、経験値増加スキルの経験値を確認してみると200増える筈が、現状で良い物を造った為か400も増えた。
それでも、LVは12のまま変わらなかったけどね。
まあ、一瞬でそんなに経験値は得られないか。
でも、これを数日繰り返せばLV16くらいまでなら直ぐに上げられるかも。
そう思いつつ量産スキルを見るとLV8になっている。
そっか。
量産スキルには、経験値増加スキルの効果が及ぶ。
量産により取得する経験値が1つに付き1だとしても100個造れば100になるのだろう。
それに更に経験値増加スキルにより36倍だから3600かと、経験値を確認するとその通り3600だ。
レベル11の1手前の11332なんて、簡単になりそうだ。
そう言えば、量産スキルは量産時に品質を下げる事を低減してくれるのだから、簡単に大量生産を可能にする以外にも品質を低下しない様にする為にもMPをそれなりに使っている可能性も有るのか。
だとすると、MPが少しヤバ目になるはずだ。
そう考え、魔回薬+1を飲む。
その合間に量産スキルのメニューを表示して『スキル設定』の内容を確認すると、初期設定が『品質を低下させないで量産する』、となっている。
量産スキルの消費MPを減らしたければ、これを『品質低下低減』にして100%以外を指定すれば良いらしい。
なお、スキルに確認すると、量産スキルのレベルが上がったら大量生産時にその品質を下げない為の消費MPは減るの事。
まあ、普通に1個1個造るより良い物が出来る様になるのならMPの消費量が増えても文句は無いのだけど、それは品質向上と言ったスキルだろう。
となると、量産スキルの消費MP自体がそれ程でもない気がしてきた。
だから、量産スキルのレベルアップによる消費MPの低減は、大した事ないだろうな。
まあ、大量に同じ物を造ってみれば分かるか。
そう考え、また同じ品質の物を同じ数の100個造る。
先程は、MPが312減ったが、今度は306減った。
予想通り、量産スキルのレベルアップによる量産時品質低下を下げる為の消費MPを減らす効果は大したモノではないのか。
それともLV11とかLV21を超えると、もっと量産スキルの消費MPが減る効果が出るのか。
それは置いておいて、同じ物を200枚作りMPが枯渇気味に。
まあ、魔回薬+1を飲んでMPの回復量を上げているから大丈夫だろう。
後は、回復状況を見ながら、合間に亜空間収納内で作るスキル上げを魔回薬+1の効果があるうちに繰り返しておくか。
そう考えていると、朝食だとの声が掛かったので、忘れないうちにと職業経験値200万を使い、量産スキルと並列思考のレベル上限をLV10からLV20に開放し、朝食に行く事に。
量産スキルを取得したのは、正解だったようです。
これで経験値増加スキルのレベルアップを促進出来れば、更に成長速度を早められるでしょう。




