第９７話 強くなる為に考える
今日は神様からの情報提供がありました。
それをきっかけに、更に強くなるのを急ぐようです。
夕食の準備は二人に任せて、今日はスキル上げではなく考える時間をとる事にした。
今後、どうやって強くなるかを冷静に考える為だ。
今日、神様に情報提供してもらったからと充填期間を短くする方向に進むのも良いけど、充填時間が１０日から９日になる及びステータス多少の強化だけだから本当にそれを最優先で良いのか、とふと思ったので一歩引いて考える事にした。
まず考える事だけど。
依存するのが怖いと言いながら、俺は少能に依存している。
それは当然でもあるのだろうけど、他の力についても考えるべきだ。
まあ、今迄だって全く考えていなかった訳では無いけどね。
つまり、経験値増加、魔力魔法、鑑定、時空間魔法、探索系、隠れ偽る系スキルは、キッチリ鍛えている。
でも、現状のそれで良いのだろうか。
例えば、経験値増加スキルは、LV11以上となったのでLV＊３倍の経験値を取得出来るようになり、現在LV12で３６倍の成長速度なのだけどLV１３にすれば３９倍。
LV１４にすれば４２倍に、LV１５にすれば４５倍に。
更に、LV２１とすればLVの４倍になるので、８４倍の成長スピードに。
そこまでになれば、今も頑張って鍛えているレベル１０ちょっとの各種スキルは、直ぐにレベル上限を２０から３０にしなければならないくらい成長してくれそうだ。
そして、ノーマルスキルのレベル上限を２０から３０にする為に必要な職業経験値１０億を貯めるのにも、経験値増加スキルの力は大きく貢献するだろうし。
また、小知に確認した処、その効果はスキルのレベルアップだけでなくスキルの取得の為の経験値も含まれるらしい。
スキル取得の為の経験値については、少能によりスキルが取得出来るから、成長させたい各種スキルの経験値増加ほどの恩恵がある訳では無い。
だけど、使用可能回数を減らさずに何らかのスキルを取得出来るのは、大き目の利点ではある。
なので、経験値増加スキルのレベルアップは、俺が強くなる為には必須事項であり優先事項である。
その経験値増加スキルのレベルアップには、現状だと大量に魔物を倒すか、大量に物を造ると良いと言う事は分かっている。
だから、今日も森の方面に進み、巣に大量に魔物がいる魔アリや魔蜂の集団を探したと言うのもあった。
しかし、それは不確実な方法であり、今日は大量に魔物を倒せていない。
では、物の生産となるのだけど、スキルを使った生産は一度に一つが原則だ。
同じ物を造る場合は、生産スキルを起動すると表示されるメニューの中から『同じ物を造る』を選択と念じるだけでも良い様だけど、そんな作り方を延々１万回もし続けるのも大変だ。
また、薬師技の薬包紙を造る延長で大量にメモ用紙及びノート用の紙を造った場合は、経験値増加スキルの経験値の入手は０．４と少なかった。
しかし、１年は品質変化なく保存できる薬包紙を造ると、一年保存する為の魔法刻印を創り付与する為か、難易度が上がる為か、多めのMPが使用された。
結果、ただの紙を造るのに比べ５倍もの経験値増加スキルの経験値が取得できた。
ならば、これを繰り返すべきだろうと言う処で、思考も作業も止まっている。
更に言えば、他の経験値の欲しいスキルについても、多くの経験値が得られる方法を模索すると言う事も推し進めるべきだろう。
だけど、これは経験値増加スキルがレベルアップすれば、全てのスキルに付いて恩恵があるので、そちらが優先か。
となると、経験値増加スキルの成長の為に取得経験値を１時間だけ１０倍にしてくれる成長の雫を使う事も考えておいた方が良いのだろう。
今は未だ２個しか持っていないので、今後の入手状況次第ではあるが。
そこまで考えた処で経験値増加スキルの強化について検討を終え、次に思いうかんだのは少能により新たな有益なスキルを手に入れる事による強化。
その方向性で色々と考え、少知に聞いたんだけど。
量産スキルは、大量に同じ物を作る時に役立つスキルだ。
例えば、薬研で薬を造る時は、魔石と薬草を１個ずつ使い２～４回分の魔生薬を造るのが通例。
これを魔石や薬草の量を倍に増やし一度に４～８回分造ろうとすると、品質が下がる。
これを下がらない様に補正してくれるのが量産スキルだ。
しかし、それだけでは無く、紙なら『１００』枚作製と数値を入れる事により、同じものを大量に一度念ずるだけで作れるようになる。
これは、経験値増加スキルの経験値取得の為にはぜひ手に入れたい能力だ。
まあ、大量の原材料と大量のMPが必要になるだろうけど、その辺は作成数の調整でなんとかなる。
また、大量に必要となる原材料は毎日意識して準備すれば良いし、生産に大量に必要となるMPは魔力節減、魔力回復、魔力倍化のスキルがLV11に達し、ワンランク力が上がった感じなのでMPが不足する心配はかなり減っている。
そして、それでもダメなら魔回薬を飲むと言う方法もある。
つまり、量産スキルを手に入れて、大量の物を造り、経験値増加スキルをレベルアップさせると言うのが俺の強化に必要ではないか。
しかも、短時間に大量に造れる事から、１時間しか効果が無い成長の雫を使った経験値増加スキルの経験値取得にも大いに役立ちそう。
そう考えたので、それを実行すべきかどうか、俺がイメージした通りになるか幾つか少知に確認したのだけど、やはり思った通り成長を早く出来そうだ。
そして、もう一つ気になっているのが並列思考スキル。
二つの思考を同時に使用できるスキルだ。
これにより、全力で接近戦をしながら全力の魔法攻撃が出来たり、今迄は同時に１つしか使えない魔法を２つ同時に使用したりできるのではないかと少知に聞いた。
それは可能。
ただし、思考の速度が遅くなる。
しかし、レベルアップにより少しずつ１つの思考の時の速度に近づくとの返事だった。
俺は、同時に複数の事を行う事が苦手。
前世でしたジョイスティックでゲームのキャラを２つ同時に操作する程度の事も、酷いモノだった。
この世界での俺は、各種ステータスアップにより前世より能力は上がっている感じだけど、複数の事を同時に行う能力については、向上した感じが無い。
具体的に言えば、接近戦をしている途中、周りへの警戒がどうしてもおろそかになっている気がするのだ。
なので、並列思考を得れば、全力で攻撃しながら全力で避けたり、倍する攻撃力や攻撃手段を得られたりする。
と言う事で入手したい。
でも、それだけではない。
同時に２つのスキルの経験値取得が可能となる筈なのだ。
例えば、一つの思考で時空間魔法の『収納』を繰り返しながら、もう一つの思考で魔力魔法の『魔力弾』の発生とキャンセルを繰り返せば、倍するスキルの成長を期待できるのではないか。
まあ普通の人の場合は、MPを膨大な量消費しMP不足となる為、そうはならない。
しかし、既に確認した通り、魔力系スキルの魔力回復、魔力節減、魔力倍化がLV11に達し、回復量増加、使用量減少、所持魔力の最大量増加は、それなりに強力なモノになって来ている。
しかも、転職によるステータス加算はMPの量も増やしてくれている。
なので、潤沢にスキル上げにMPを消費できる。
そこで、このタイミングで並列思考を取得するのも良いかなと言う判断になりそうなのだ。
更に言えば、成長の雫を使った時間制限のあるスキルのレベル上げにも貢献する可能性があるし。
少知少能スキルの使用可能回数を１０回程度にしてそれをキープしながら、少能を使い自分を強化していく。
これに拘るより、最低３回をキープして、強くなるのを急ぐべき。
そう決断する時が来たのかもしれない。
主人公は、今現在９回ある使用可能回数を何回か使用し、強くなる事を急ぐようです。
