第96話 二人の好意?
少知少能スキルの充填時間を短くする事は、まだ可能。
と言うか、強くなる為に、まだまだ鍛えなければならないと神様に教えられました。
神様が、俺の認識間違いを指摘してくれた。
それ自体は感謝すべき事なのだけど、また鍛えるべき事・すべき事が増えたな。
まあ、より早く強くなれる事に気が付いたのだから、これで良いのか。
というか、彼女達からのプラスの感情により誘引されてくる魂の力で1日充填時間が短くなるなんて。
最大まで鍛えれば、らしいけど。
やっぱり、性技スキルさんの力は大きいのだろうか。
いや。色々と気を使っているのが、良かったのだろうけど。
彼女達、あまり同年代の異性に優しくされると言う事が無かった感じだし。
でも、人に好意を持たれていると分かるのは嬉しい事だな。
しかも、肉体関係もある女性だし。
まあ、スキルが魂の力を分別し良い感情の分だけ利用してくれているが、実際はかなり嫌われていると言うパターンもありそうだけど。
……。
そう。
落ち込んだり浮かれたりしている場合ではない。
俺に好意を持ってくれているかもしれない彼女達は、簡単に死にかけた。
失いたくなければ、俺が強くなる。
それだけでは無く彼女達が生き残れるように彼女達を強くする必要がある。
その為に、何をすべきなのか。
その為の新しい知識は得たのだから、とりあえず今は狩りに行こう。
その前に転職か。
錬金術師から鍛冶師に転職すれば、3級職も一通りなった事になる。
もっとも、3級職で得たスキルを十分鍛えられている訳では無いので、一通りなった実感は無いし、それで力を得ている実感も無いが、一区切りになる。
正直、今日聞いた情報から、村人に転職し1級職と2級職を何度も繰り返し転職すると言う鍛え方をしようかどうか迷った。
だけど、Cランク以上の魔物を倒し宝箱を得て、成長の雫と言ったマジックアイテムを手に入れるのも必須事項なので、強めの魔物と戦う為にまだ就いていない3級職の鍛冶師を選んだ。
こんな風に、優先順位を決め強くなる事は生き残っていく為には必要だろう。
もっと頭を使わないと。
そう思いつつ鍛冶師に転職し、もう一度狩りに向かう事にした。
朝と同様に西へ5キロ程進み、そこから北の森の方角へ。
もちろん、森に入る気はないが。
南に行くより強めの魔物がいるので、こちらに進めば直ぐに転職に必要な経験値が得られるし、宝箱を得られる可能性が高いだろうと言う計算からだ。
全力で隠れたまま、魔法障壁を強化し、幻影は出さずに進む。
木々が十数本生えている場所に魔蜘蛛が居たので、それを長距離から火矢で倒す。
戦利品の魔蜘蛛の魔石E、魔蜘蛛の糸1400メートル分を得、その木々の安全を確認後、木を切ったり、下草を刈ったりして生産の為の原料を採取したりすることに。
勿論、食料として果物の確保も。
昔殺されかけた魔カマキリの様に隠れて奇襲してくる存在を気にしながら、鋼鉄の戦斧による『大木斬』で果樹以外の木を伐り、水矢で下草を刈り取り亜空間収納へ。
すると、木を切った音に反応したのか、魔蛇2匹が来たので多弾化している火弾で倒す。
他にも、ハイオーク7匹、魔熊3頭が音を確認しに来た感じだった。
斧で木を切る音がする場所には人族が居るからそれを襲う、と言う学習でもしているのだろうか。
強めの魔物がいる北側で、音を立てて木を切るなんて馬鹿な事をしたのかもしれない。
ハイオークも魔熊もキッチリ倒して戦利品にしてから、都市に帰る事にした。
戦利品は、魔蛇の魔石E2個、ハイオークの魔石D7個、鋼鉄の槍3本、鋼鉄の剣2本、鋼鉄の槌2本、魔獣の革鎧7セット、魔熊の魔石D3個、魔熊の皮3枚。材木12本、下草数十キロ。果物数十キロ。
また、ハイオークや魔熊なんて倒したから、鍛冶師としてレベルが上限に達した。
だけど、直ぐに転職するのも、と気になったスキルのレベル上限を開放する事に。
錬金術師技、鍛冶師技、付与師技、表情分析スキルのレベル上限を20に。
うん。
今日も強くなれたし、強くなる為の知識も得られた。
残念ながら、目的の一つであった宝箱は入手できなかったけどね。
借家に戻ると、まだ二人はスキルを得る為の訓練と写本をしていた。
まあ、この世界の人はあまり字を書かないみたいだから、字を書くのには時間がかかるのかも。
……。
ああ。
この二人からの好意から導かれる魂の力で、充填時間が1日減る。
その程度には慕われているんだ。
そんな事を考えながら二人を見ていると、訓練や写本を終えた二人が、怪訝そうな顔をして俺を見ている。
ああ。気持ち悪い顔していたかも。
「どうかされたのですか?」とクトリアの方が聞いて来たので。
「ああ。今日は魔法のレベルが上がったり、レベル上限の開放が出来たりしたのをふと思い出したんだ」
と、気持ち悪がられない様な事を言っておく。
嘘ではないしね、と思いつつ誤魔化しの発言を続ける。
「もう少し頑張れば、戦闘力をもう一段上げられるかもしれない」
「そんなに違うのですか?」と今度はカトレインが不思議そうに聞いて来る。
「ああ。火弾はLV11で多弾頭化するし、火矢もLV16で多弾頭化するからね。
そこまで行けば、攻撃力は全然違ってくる。
まあ、内緒だけどね」
そう言うと二人で顔を見合わせて困惑している。
ああ。素直に喜んでいいのか微妙なのかな。
まだまだ慕われている訳では無い。
そう思っておいた方が良さそうかな。
クトリアとカトレインの好意に基づき誘引されてくる二人の魂の力で、充填時間を1日減らせるかもしれない。
でも、好意だけでなく、実際は複雑な感じなのでしょう。




