第95話 もう終わりだと思っていたのに
以前少知から受けた説明を更に細かく教わり、やっと主人公の認識間違いまで辿り着きました。
少知少能の充填時間は、俺が転職を繰り返しても10日より短くならない。
だから、充填時間を10日にする為にしていた、1級職及び2級職の転職を繰り返すと言った鍛え方をする優先順位は下げる事にした。
だって、それで強くなれるかと言うと、転職時の半永久的な1%のステータス加算だけしか強くなれる要素が無いから、3級職以上で強い魔物と戦い多くの職業経験値を得て4級職になったりした方が早く強くなれると考えていたから。
でもその認識について、
【でも、それは間違いだから】
と、神様から指摘されてしまった。
なので、慌ててその説明を聞くことにしたんだけど、まず前提として小知少能を鍛えるには2つの種類があると言う部分の認識をハッキリさせるだけで、結構時間をとってしまった。
まあ、細かい知識は色々と得られたけどね。
そんな風に思っている間にも、神様が少知にインストールしてくれた説明は続く。
【転職により少知少能スキルを鍛え、充填時間を10日より短縮させるのは人の枠を超える等とNGだけど、他の方法により1日まで減らせるでしょ】
「他人の感情により誘引されてくる他人の魂の力を、自分の力とする方法ですね」
【そう。その方法なら、一人の力ではなく複数の人の力を合わせる方法だから、10日より短縮しても人の枠に入ると言う理なんだ。
まあ、でも亜神の領域に近づきすぎると言う事に対する緩和策で、最短でも1日と言う制限も残るけどね】
色々と面倒な制限があるんだな、と思っていると。
【微量なら兎も角、大きな魂の力をリアルタイムで自由に行使できるなんて事は、神にしか許されていない事だから】
と、その理由も説明してくれる。
【話を元に戻すと、君は魂の力を集める部分についてスキルの仕様としては1990日短縮できる程鍛えられるのに、195日しか短縮・鍛えてないんだ。現状】
ああ。転職には極微量だけどステータスが半永久的に上がると言う利点があったから、充填時間が10日なっても追加で転職していたから、200日分程度は短縮できているんだ。
【だから、その部分をもっと鍛えると、今君の傍に居る二人の女性から誘引されている魂の力でも、1日短縮できるから】
「えっ」
……、あの二人から良く思われている部分もあるんだ。
いや。今は浮かれている場合じゃない。
ちゃんと説明を受けておかないと。
と、必死になって二人の事は横に置いておいて話を聞き続ける事に。
【人によって魂の力は全然違うし、愛情と言った感情の形・内容も人によって違うから人によって結構変わると言う前提の上での話だけど。
一応、限界まで少知少能を鍛えた状態での目安を教えておくと、一人当たり、深い愛情で3日、軽い愛情で1日、深い信頼で1.5日、信頼で0.3日、神を奉ずる教祖に対する信仰で0.0001日、貴方への直接的で盲目的な信仰で0,1日、深い友情で0.5日。軽い友情で0.1日程度が目安。
これらは加算されるので、例えば親友なら深い友情や信頼で2日充填時間が短縮されると言った状況になる。
ただし、一人から誘引されてくる魂の力だと、全てを合わせても1日減らすのが限界と言う仕様だよ】
「1990日に対し、たった1日なんですね」
【他人の魂の力だからね。
それに、信頼といった感情なら皆のヒーローになれば数万人以上の人から得られるでしょ。
そして、そう言うヒーローになる事を誘引すると言うのも小知少能スキルを現在の形にした目的の一つだからね。
その上で少能によりヒーローの周りの人も強化していけば、人族の強化はかなり進みそうでしょ。
まあ、このスキルを創った一番の目的は、その個体の魂の力を扱う能力を上げる事を誘引する事だけどさ】
「それが、神の先兵や神へと至る道なんですか?」
と、少し前に疑問に思った事を聞いてみるのだけど。
【それで、今の君の場合は最大まで鍛えれば、彼女達2人の信頼・好意・依存で1日減らせるね】
あ。無視された。
人には言ってはならない事なのかな。
いや。安易に決めつけるのは危険だな。
俺が力を得た後、俺の魂を食べる事で神の力を強く出来るとかあってもおかしくは無い。
そんな事を考えていたが返答はなく、スキルからの話が続く。
【どう。君の間違いに気が付いてもらえたかな】
「いや。だったら、スキルの表示を『少知少能 8回(6日/10日)』を直してくださいよ。
例えば、『1990日-195日』とかも表示するとか」
【あ~、なる程ね】
「と言うか。神様、今俺とスキルを通じて話しています?」
【いや。小知に情報伝達を頼む段階で、君の言いたい事が分かったから追加で伝言を吹き込んでいるのだけどね。
了解。スキルの表示には、新しいのを追加しておくね。
じゃあ、頑張ってね~】
「ああ。軽くあしらわれてしまった」
そう言っても、スキルはもう何も返事をしてくれない。
そう思いながらステータスウィンドウを見ると『少知少能LV9/20(5441/7489) 9回(6日/10日:強化率 9.75/100.00)』と新しい表示が加わっている。
「え~と、195割る1990イコール幾らかな」
【0.0979899497487437……】
「あ。もういいよ。
わりきれない時は、小数点以下10桁くらい言った上で割り切れないって言ってくれれば良いから」
と言う事は、195割る2000が0.0975で、9.75%か。
1990日とか言っていたけど2000日にした上で百分率に訂正し『100.00/100.00』、つまり100%になるまで鍛えろと言う事なのね。
ああ。
少知少能スキルの充填時間を減らすのは、もう終わりだと思っていたのに。
また、しなければならない事が増えてしまった。
主人公が強くなる為にしなければならない事がまた増えた様です。
この知識を得た事で早く強くなれるのであれば、それはそれで主人公にとって良い事なのでしょうけど。
数話が説明会になりましたが、最低限の説明と結論だけ書いてみます。
少知少能スキルを鍛える方法としては、転職を繰り返し小知少能の充填時間を短くする方(魂の力を集める部分)を鍛えるのと、小知少能に経験値と言うエネルギーを貯め其れによりレベルを上げて実行できる力を強くする2種類がある。(レベルの上限を解放する事も『鍛える』に含めると3種だけど、ここでは含めない)
主人公の充填時間は、100日から10日になり人の枠の上限に達した様にみえるけど、他人の感情から誘引されてくる他人の魂の力により更に1日まで短縮できる。
その為には、今後も転職を繰り返し、もっと小知少能の魂の力を集める部分を鍛えた方が良い。
とは言え、現状だとどの程度鍛えているのかが分からないので、新しい表示をステータスウィンドウに追加した。
その表示を参考にしながら限界まで鍛えれば、クトリアとカトレインのプラスの感情で誘引されてくる魂の力で充填時間が10日が9日なる。
最低限の事を書いているつもりでも、この長さですね。
結論は、もっと転職を繰り返して小知少能を鍛えろって事なのですが、それだけだと意味が分からないだろうし。




