第92話 その認識は間違い
クトリアとカトレインを訓練の為に家に残し、主人公は自分を鍛える為に魔物狩りに行くようです。
今日、また大き目の都市に行くか魔物狩りに行くか悩んだが、しばらくは自分を鍛えた方が良さそうだと魔物狩りに行く事に。
でも、その前に冒険者ギルドへ。
いつもの様に、途中で食材や調味料も買い足しながら、冒険者ギルドの受付で買取りを依頼し奥に入る。
大量に貯めてあるギルド売却用の魔物を一度に全部売るのも不味いだろうからと、魔鹿21匹を出して受け取りを貰う。
次は、受け取りを渡して魔大イノシシ、魔カエル、魔狼9匹の売却代金の受け取りなのだけど。
魔狼の内3匹は解体済みの物の買取を依頼したけど、値段は変わらないだろうな。
むしろ皮の剥ぎ取りが下手で値段が下がる可能性もあるけど、練習の為に解体した奴だからしょうがないだろう。
魔大イノシシの魔石Eが300GAU、魔大イノシシの肉4個が8万GAU、魔大イノシシの皮が2万GAU、魔カエルの魔石Fが100GAU、魔狼の魔石E9個が2700GAU、魔狼の皮9枚が63000GAU、魔狼の牙36個が36000GAUで、トータル202100GAU。
相変わらず、魔石の値段は安い。
魔石だけを渡せば、多分解体の手数料がかからないので多少は値段が上がるのだろうけど、それでも安そうだ。
皮や肉が取れる魔物を狩るのが間違いなさそうだ。
ちなみに、俺達が自分の手で行った皮の剥ぎ取りについては、やっぱり文句を言われた。
次からは、あんな傷だらけの状態では、もっと安い買い取りになるそうだ。
戦利品を入れておける格納箱スキルがそこそこのレベルだから、買い取り価格を下げてまで皮の剥ぎ取りをするかどうかは……。
やっぱり面倒だから剥ぎ取りは止めておくか。
別の都市に移住する等して格納箱スキルを隠す事が必要になったら、また頑張ろう。
今日は西側の門から出て、まずは西に向かう事にする。
廻りに人が居なくなったところで、全力で隠れ幻影魔法でおとりを作り走り始める。
5キロ程西に移動した後、森のある北へ向かう。
もちろん、危険な森に入る気はないが、森に近づくとそれなりの強さのそれなりの数の魔物がいる。
まあ、危険な魔物も居そうなので避けたい部分もあるのだけど、昨日街道沿いの盗賊達の話を聞いたので、早く強くなる必要性をより感じるようになったので。
そう。
対人戦は、魔物とは違う厄介さがあるはずだから、それすら跳ね返せる圧倒的な力が必要になるかもしれない。
自分達の身を護る為なら兎も角、犯罪者でもない無関係な人を殺しまわって対人戦の経験を積み重ねる、なんて事はする気が無いからね。
街道から北へ向かい、数キロ進むと探索系スキルが狩りたい魔物を感知し始める。
それを複数の魔物のグループに同時攻撃をされないように意識しながら、一つ一つ倒して行く事にする。
最初はハイオーク5匹の集団。
オークではなくハイオークとなると、進化種と言われオークよりワンランク強い存在。
オーク達はゲームだとやられキャラだけど、ハイオークともなるとDランクの魔物なので油断はしない方が良いだろう。
オークは人型の魔物であり、ちゃんと社会を形成し自分達で造った又は奪った武器防具を装備しているパターンと、そんな事は無く本能のままに生きているパターンがあった。
この世界で出会ったオークの多くは新品の鉄製の武器と皮の鎧を着ているパターンなんだけど、周りにオークの国とか無いようだから、社会は形成していないだろう。
という事は、発生時に新品の武器と防具を装備して生まれてきていると言う事を示しているのだろう。
となると、オークの上位種が、どんな武器防具を生まれながらに持っているのかが気になる処だ。
ちなみにハイオークは、オークの装備品よりワンランク上の鋼鉄製の武器と魔獣の革鎧を装備している様だと確認できた。
まあ、鋼鉄の鎧とか着ているパターンも有りそうだけどね。
そんな推測もしながら、ハイオーク達を隠れたまま多弾化している魔力矢で攻撃。
首を破壊し、戦利品処理をすると5個の魔石Dと武器防具が残る。
まあ、Dランクの魔石なら、それなりにお金になりそうだけど目を付けられるから売れないんだよな。
そう思いながら、次の獲物。
木々が数十本生えている場所に見えるけど、キラープラントとトレントが紛れている。
それも集団で。
火を使うと戦利品を傷めそうなので魔力矢と水矢で仕留める。
こちらの魔法が当たっても、一撃では仕留められず、キラープラントの方はその場で根を地面から抜いて暴れ始め少しずつ森の方へ。
トレントも同じような動作をしているけど、森の方へそれなりのスピードで逃げ出している。
なる程。
この世界では、キラープラントとトレントでは、移動の力に差があるようだ。
同じ木の姿をして、こちらを奇襲してくる魔物なのだけどね。
魔法を追加で打ち込み仕留め、これも戦利品処理をする。
トレントの魔石D2個と、トレントの材木4本、キラープラントの魔石E8個、キラープラントの材木16本が手に入った。
戦利品処理スキルに指示する事により、葉っぱとか枝とかも消滅させずに残してもらい、それも材料とする為に亜空間収納に。
お。トレントを倒した事により錬金術師がレベル上限になり転職出来るようだ。
そう言えば、錬金術師になり、錬金術師技スキルが手に入っている。
これにより、物に錬金術を施し様々な効果を付加できるようになるし、高レベルになれば希少なマジックアイテムも造れるようになるはずなのだけど。
ちなみに、錬金術による効果の付与は、良品と呼ばれる通常の物より良質の物を造りそれに付与するのが望ましいし、希少なマジックアイテムを造る為には希少な原材料を手に入れる必要もある。
何故、錬金術の効果を付与するのは良品が望ましいかと言うと、半永久的に錬金効果を付けたいのであれば、空枠と言う世界に満ちている魔力であるマナを吸収する刻印に錬金効果を付与する必要があるから。
その刻印は良品にしか出来ず、良品の程度によって1から最大10の空枠が付くらしいのだけど。
今、良品を造れる生産物って、薬師技スキルによる魔生薬や料理スキルによる料理だけなんだよね。
だけど、裁縫や木工と言う生産スキルを持っていて、多分意識して鍛えればLV11までなら簡単になれ+1の良品が造れるようになる筈。
その+1良品に錬金効果を付けて俺を強化すると言うのも強くなる方法の一つの気がしてきた。
錬金効果を付与するなら、錬金術師の職業に就いている間にやった方が良いよな。
目の前に転がる材木を見ながら、そんな事を考えると都市に戻り生産をしたくなってくる。
「う~ん。まあ、もう少能の使用可能回数が増える迄の期間は幾ら転職しても減らせないから、生産を頑張るのも良いのか」と思わず呟いたら。
【その認識は間違いです】と少知が知らせて来る。
「えっ。どういう事?」
【神様から情報提供があります。それをそのまま伝えますか?】
こんな場所で少知スキルと話しながら考え込む事は危険だ。
そう考え、「ちょっと待って」とスキルに返答し、街道の方へ急いで戻る事にした。
主人公の認識に間違いがあり、それを神様が知らせて来たようです。
致命的な認識間違いなのでしょうか。




