第9話 鑑定スキルと経験値
チートスキル、少知少能による自身の強化は、何も知らない状態なのに1時間と言う時間制限があり、満足出来るものでは無いかもしれない。
しかし、それを後悔していてもしょうがないので、先に進むようです。
生き残る為に少知少能スキルの少能を57回中48回も使ったけど、色々と選択を間違えた気がするな。
でも、済んだ事だから仕方がないか。
まだ9回使える。
HP回復スキルも失敗だったって感じだけど、スキルのお陰か出血は減って来たし、痛みも減ってきた。
出血死が怖かったけど、なんとかなりそうだ。
そう言う意味だと、HP回復スキルも役立っている可能性はあるのか。
と言うか、これだけ痛いのだから、痛み耐性スキルとか取得するかも。
ステータスウィンドウのスキルの欄を確認したけど、ダメだった。
HP回復スキルは、結構経験値取得しているけどね。
と、怪我の方は問題なさそうなので、状況を確認しようと少知に聞いてみる。
「これで当面の危機は去ったのかな?」
【……】
「この場所にいる限り、魔虎の縄張りだから安全かな?」
【……】
「この場所に、後どれくらいで魔物が来るかな?」
【……】
また曖昧な質問には答えてくれなくなったな。
ああ。人が知りえる知識でないと駄目と言うのもあったか。
「この場所が魔虎の縄張りと意識されて他の魔物が来にくい期間は何時までかな?」
【雨が降る、強い風が吹く又は数日程度で魔虎の匂い等の気配が消えます】
う~ん。この質問も曖昧な事があったのだけど答えてくれた。
そう言えば『少知』スキルも、LV9になって、少し便利になった可能性もあるのか。
まあ、へこたれずに質問し続けている俺の質問の仕方が上手になったのもあるかもしれないし、この辺は真面目に考えてもしょうがないか。
「魔虎の気配があってもこの縄張りに入ってくる魔物は居るかな?」
【います】
まあ、ゾンビとかスケルトンとか弱くても意思が無さそうなのは入ってくるか。
後は、魔虎より強い魔物か。
「この近くに、魔虎より強い魔物は居るかな?」
【……】
「ここから半径10キロ圏内に、魔虎より強い魔物は居るか?」
【いません】
なら、とりあえずは大丈夫か。
落ち着いて、現状を確認する。
ステータスウィンドウを確認すると、今就いている職業である村人がレベル上限に達している。
それが原因らしく、『レベル上限に達しました。転職が可能です。転職しますか? はい/いいえ』と言う半透明のメッセージが目の前に表示された上にステータスウィンドウのログにも表示内容が載っている。
だけど転職先を考えたいので、これはそのままにしておく。
さて、次に何をするかだけど。
一応、取得したスキルについて最低限の確認をしておくか。
まずは鑑定。
異世界モノの定番のスキル。
自分の手を見ながら鑑定と念じると、ステータスウィンドウに表示される様な、名前等が表示された。
けど、ステータスウィンドウに載っているステータスの数値やスキルの経験値等といった詳細な情報は無い。
まあ、レベル9だからね。
次は目に入る風景全体を意識しながら鑑定と念じる。
うん。10個程の鑑定ウィンドウが表示され、そこに名前等が記されている。
表示されたウィンドウの数を正確に数えると自分の鑑定ウィンドウ以外は9個だ。
「同時に鑑定できる数の限度は、何が元になるの」
【鑑定スキルのLVの数値を上限とし、更に指定により限度が決まります】
「風景全体を鑑定したのに、新たに表示された数は9個だけど、何か優先順位はあるの?」
【スキル使用者の意識が向いている物、危険度の高い物、価値の高い物を優先して鑑定が行われていると言われています】
なるほどね。
ステータスウィンドウ内のスキルの欄にある『鑑定』の表示の横にあるカッコ書きが経験値のようだけど、見ると(4944/7489)となっている。
「ふ~ん。経験値は、トータルで出るんだ」
【初期設定では、そうなっています】
「変えられるんだ」
【ステータスウィンドウ内の数値を注視していただけると、詳細が表示されたり、別の表示形式が選択できたりします】
そう教わったので、鑑定スキルの経験値を注視してみると、(18/2563)とも表示される。
「え。どういう事?」と思わず口にしたのだけど、どうも少知の説明を纏めると、LV1からの総経験値で表示する方法だと(4944/7489)。
次レベルまでに必要な経験値をベースに表示する方法だと(18/2563)。
う~ん。次のレベルになるのに必要な経験値で表示すると、(18/2563)だから、10個の鑑定をして得た経験値は18か。
「ふ~ん。0.1かける10回かける18は?」
【18です】
なるほど。
経験値増加スキルで取得する経験値は18倍になっているからな。
それが分かっているのだし、暗算できるレベルの計算だから少知に聞くまでも無かったけど、と思いつつ足元の草を一つ鑑定して見ると、表示が18から19にかわる。
それと、前の鑑定ウィンドウも表示されたままで、11個の鑑定ウィンドウが表示されている。
ふ~ん、ウィンドウに消えろと命じない限り、表示されたままになるのか。
まあ、いつかは消えるんだろうけどね。
そんな事も確認しながら、もう一つ足元の草を鑑定すると、19から21に経験値が増える。
小数点以下を非表示にしていると推測すると、一つの鑑定で経験値は0.1とかか。
これなら風景を鑑定し続ければ、あっという間にLV10まで行けそうだな。
ん。という事は、鑑定スキルをLV9で取得したのは失敗だったか。
LV1にしておけば、少知少能スキルの経験値を取得できたのに。
軽く凹みながら「スキル毎に何をすれば幾つ経験値が得られるかについて少知に確認すれば正確な事が分かるかな?」と聞くと。
【一般的なスキルについては各種検証がされていますが、多くのスキルは未だ詳細は分かっていません】
はあ。効率的なレベル上げのやり方は、分かっていないのか。
まあ、ステータスウィンドウに表示される経験値は1未満が表示されないのに、取得経験値が0.1とかだから難しいか。
しかし、少知は曖昧な質問しても返答が返って来ない事が多いから、質問を考えるのが面倒になって来たな。
少知少能スキルの少知は、曖昧な質問や答えが多くなる質問には答えてくれない様なので、質問が面倒そうですね。
と言うか、PCやスマホのソフトに附属するHELPと同じ様に、用意されている質問に答える機能がメインなので、そうなるのかな。
まあ、少知には追加ダウンロードと同様に、神様からの追加情報とかも適時あるようですが。