第85話 都市間の移動
現在拠点にしている都市から、指導書を買いに大き目の都市へと移動する事に。
無事、移動を終える事が出来るでしょうか。
スキルや転職条件を得る為の指導書を探しに大き目の都市へ行こう、と走り続けている。
全力で走ると、隠れ偽る系のスキルが解除されてしまうので、そうならない程度の力で。
勿論、ただ移動するだけでなく、魔物狩りやスキル上げも。
実は、今日から自分の鍛え方を変えることにした。
理由は、彼女達を強くする為。
勿論、俺自身も強くなった結果、そうなるのだけど。
昨晩、彼女達を強くする方法として少能が使えないか、スキル上げをしながら少知に聞いてみた。
俺が彼女達に色々と教え訓練を指導する事で彼女達がスキルを取得出来るのだから、『人族で可能な事を実現できる力』である小能により、彼女達にスキルを付与する事が出来るのでは、と思ったからだ。
その質問に対する返答だけど、少知少能スキルがLV11になれば、他人にLV1のスキル及び2級職の転職条件の幾つかを付与できるとの返事があった。
LV21になれば、LV1のユニーク(特別な)スキルと4級職までの幾つかの転職条件。
LV30になればLV1のアルティメット(究極の)スキルや5級職までの転職条件の幾つかも他人に付与できるとも。
つまり、少能を使う事により彼女達の転職条件を満たしたり、簡単に死ぬ事にならない為のスキルを取得させたりできる。
でも、俺自身にスキルを身に付けさせる場合より、スキルのレベルが低くなってしまっている。
他人に付与する為にどうしても力のロスが多くなるからかな、と勝手に推測したが、『人族で可能な事を実現できる力』と言いつつも、レベルが有りそれに応じて俺自身に対しても出来る事が変わって行く仕様なのだから、小知少能の力が強くならなければ実現できない事の一つなのだろう。
その辺は兎も角、彼女達にスキルや転職条件を与える事が可能なのはありがたい事だ。
まあ、実際には現状付与できるレベルでないし、付与するにしても彼女達に少知小能スキルの存在がばれない形でそれが出来るかどうかは、まだ聞いてもいない。
だって、それを今聞いた処で、今すぐそれを行う為には、俺の寿命を奉納する供物少能を使う以外ないから。
勿論、彼女達には好意を持っているから死んでほしくないし、出来れば幸せになってもらいたい、と思っている。
だけど、所詮俺の元から去る事の無い奴隷とはならないであろう彼女達の為に、自分の寿命を奉納する供物少能を使い少知少能スキルのレベルアップを行う、はすべきではないだろう。
なら転職を繰り返し、少知少能スキルを強化して少知少能の使用可能回数の増加に必要な期間を10日に。
つまり、使用可能回数を可能な限り迅速に増やして少能を少知少能スキルの経験値取得に使いレベル11以上にする事を目標とするのが間違いないのでは。
となると、今やっている3級職の職業を一通り極めるではなく、1級職と2級職を何度も繰り返し転職して今現在61日ある使用可能回数が増える為に必要な期間を10日にしてみよう、となった。
なので、お金稼ぎの為の魔物狩りだけでなく、1級職と2級職を何度も繰り返し転職する為の魔物も倒そう、と予定を立てた。
まあ、お金稼ぎ用の魔物で、転職も出来ればなお良いんだけどね。
気配探索は半径10キロ圏内、危機探索を半径3キロ圏内にし、秘匿、無い事に偽装、隠形等をして走り続けると、居ましたよ。
魔牛の群れ。
隠れたまま接近し、61匹の群れを火魔法の火矢で首辺りを破壊。
認識できない敵からの攻撃に動揺しているうちに半分程度倒し、逃げ出した魔牛は追いかけて全て倒す。
最初の戦利品は、いつもの冒険者ギルドへ売る様に火矢で倒して出来るだけ血抜きをする為に首のあたりを戦斧で更に切ってから亜空間収納。
この戦闘だけで狩人としてレベル上限になったので、転職だ。
これからどうするかだけど、1級職の村人に転職後、2級職の戦士から10の職業の全部に転職し、また1級職になり、2級職の職業を全て一通り転職と言うのを繰り返そうと思っている。
幸い経験値は、ゲームの様に戦闘終了後に入るのではなく、戦闘中でも1匹倒すごとに入る。
なので『転職しますか。はい/いいえ』のメッセージが出るごとに、戦闘中でも転職出来るのであれば、貯めきれなかった経験値を無駄にする事は少ないし、転職もスムーズに出来る。
なので、現在俺は今回の魔牛との戦闘中に、狩人から村人になり、更に戦士となっている。
これなら思ったより早く使用可能回数が増える日数を減らせる。
だけど、1級職や2級職の職業のステータスは低いから、油断は禁物。
そう思いつつ、更に都市に向かっていると、また魔牛の群れを見つける。
次からは、これから行く都市で俺自身を偽装の上で売る用として魔力矢で首を破壊。
魔力魔法は魔力矢が多弾頭化するLV16を超えLV17になっており、同時にレベルの数だけ魔力矢を撃てるお陰で作業としては楽になった。
これを戦利品処理し、料理人技で滅菌・熟成・保存用の魔力による腐敗防止処置をしてから、肉を亜空間収納ではなく格納箱に入れる。
戦利品処理では、意識しておくか初期設定を変更していないと足毎に肉が切り分けられるので1頭当たり4個の肉の塊になる。
その為、格納箱があっという間にいっぱいになった。
これなら切り分けないで戦利品にすべきだったかなと思いつつ都市へ走る。
最初に辿り着いたのはイーサン町。
町の近くに4か所ほど空間魔法の『座標指定』を撃ち込んで先に進む。
町だと、人口が少なく、大量にモノを売ると目立つし、それが出来る商店も無さそうだしね。
そう考え、町を迂回して走り続けると、次はハイリッヒ市に到着。
ここにも座標指定を4か所ほど。
正直、この都市には入るかどうか迷ったけど、今回の目的地にとりあえず行く事にした。
そこから、今回の目的である大き目の都市、ニクロス市へと。
到着するまでに、更に魔牛の群れや魔豚、魔鹿、魔イノシシ、魔熊、魔アリをたおした。
魔熊も、多弾頭化した魔力矢を戦利品を傷めない為に首を狙うと17発の魔力矢が一度に首を攻撃する。
職業を2級職にしてステータスが下がったけど、転職時のステータス加算や魔力魔法のレベルが17もあるおかげで、簡単に勝負がついた。
火魔法も水魔法も誘導及び追尾タイプの魔法が多弾頭化するLV16以上を目指すべきだと、戦闘時に出来るだけ使いレベルを上げる事にした。
今回の移動中の戦果は、魔角大牛Cランクが一匹、魔大牛Dランクが12匹、魔牛Eランクが288匹、魔大豚Eランクが11匹、魔豚Fランクが44匹、魔大熊Cランクが2匹、魔熊Dランクが9匹、魔鹿Fランクが12匹、魔イノシシFランクが8匹、魔アリFランクが512匹だ。
このうち、戦利品処理スキルを使用していない魔牛60頭、魔鹿43頭は、いつものギルドでそのまま販売するようにとっておき、他はMPの残量を気にしながら戦利品処理をし、肉に料理スキルを使い熟成・滅菌・保存処理を行っておく。
そう言えば戦利品処理をした時に残らなかったので、この世界の魔牛の牛タンは無いのだなとか、豚足も食べられないのか、等と今更考えながら。
都市間の移動で、大量の魔牛を狩れたようです。
売ればいくらになるのでしょう。




