第82話 休息日に付いて
この世界の常識を得る為に、倒した魔物の処理方法の研修を受けました。
それが午前中に終わったので、午後狩りに行こうかと二人に聞いてみるようです。
倒した魔物の処理方法の研修を終えて家に戻る途中に「今日も狩りへ行くかい?」と聞くと、二人とも行くそうだ。
家に、予備の手袋などを置いてから、今日は東門を出て東へ。
30分ほど走った後、街道をそれて南下する。
さて、どうなるか。
最初に会ったのは、魔大イノシシ。
こちらを見つけて、突っ込んできたところに火壁で牽制し、火矢で首を取りに行く。
魔大イノシシは、火壁を多重化して進行方向を塞いでも、突撃してくるタイプの様だ。
喉の方から首を取りに行くとダメージが入りやすいようなので、火矢をそう誘導してみると一撃で倒れ込み動かなくなった。
「どうする。解体してみる?」と聞くと。
二人で顔を見合わせた後、
「流石に大きすぎます」とクトリアから言われたので、そのまま格納箱に。
次は、魔蛙。
これは、何の工夫も無く火矢で倒せそうなので、倒してみた。
「これって、何が売れるのだっけ?」
と早速もらった冊子で調べてもらう。
幸いと言うか、不幸にもと言うか、肉は食べられないそうなので、そのまま格納箱に収納。
次は魔狼9匹が襲ってきたので、これは火壁で動きを妨害しながら火矢で倒す。
「研修代わりに、解体してみる?」
と聞くと。
「必要なのですか?」とカトレインの方が聞いて来た。
う~ん。解体の研修を受けたのは、俺への付き合いで納得はしていなかったのか。
「一生俺の傍にいてくれるなら必要ないだろうけど」
と言うと、二人とも解体を始める。
シクシク。
俺も解体の練習をしたいなと思いつつ7匹は格納箱に入れ、彼女達の作業を横目に周りの警戒をしていると、そろそろ帰る時間に。
帰り路は魔物に会わずに無事に都市に戻りつけた。
彼女達が食事を準備してくれている間、俺は裏庭で魔狼の解体の練習。
うん。面倒だ。
皮は奇麗に剥ぎ取れなかった。
しかも、庭が汚れるし。
生活魔法の家洗浄で奇麗に出来るけどさ。
まあ、機会があれば練習しよう。
でも、今日みたいに狩りの途中に練習するのは止めた方が良いかもな。
狩りをする時間は減るし、危険だし。
彼女達が作ってくれた食事を終えて、彼女達に提案をしてみる事に。
「明日は休息日にしよう」
そう言うと「どういう事でしょうか?」とカトレインが喧嘩腰に聞いて来る。
「正直に言って、俺が甘かった」
そう言うと、二人とも黙り込んでしまう。
「二人には、もっと強くなってもらう」
「わ、私達が足手まといと言う話ではないのですか?」
と、クトリアが苦い表情をしながら言ってくる。
「それは最初から分かっていた事だから関係ない」
そう言うと、二人とも悔しそうだ。
だから、誤解の無いように、理由の説明を続ける。
「まず、俺と違って二人は張りつめている感じがあるから、休養日も必要だと思った。
君らは君らで、人生を楽しむ日を作った方が良い」
と言うと、二人はよく理解できない様だ。
まあ、一刻も早く強くなりたいのだろう。
それ自体は、悪い事では無いのだけど。
「次に、俺も俺自身を鍛える日が欲しい」
そう言うと、
「足手まといと言う事ですよね」
と、相変わらず喧嘩腰でカトレインが言ってくる。
なので「ある意味そうだね」と言うと、悔しそうに下を向いてしまった。
でも、それは誤解なので説明を続ける。
「つまり俺が強くなれば、その分、安全に強い魔物を狩れるようになるだろう。
だから、俺を強くする事も意識しておいた方が、君達が強くなるまでの期間を早められるかもしれない」
そう言うと、二人は本当だろうか、と言う感じのようだ。
まあ、俺が信頼されていないのだからしょうがないだろう。
普通、数日でそんなに強くなるなんて事は通常無いか。
いや。
火魔法スキルがLV16になれば火矢が多弾頭化する。
そうなると、魔物に対する攻撃力が全然変わってくるから、彼女達に確認されたらそう説明する方向で行こう。
「次に、君らの指導方法だけど。指導書を集めて、それに従って君らを鍛えようと思っている」
そう言うと「えっ」と何故か驚いている二人。
「魔法使い、斥候は、転職条件が厳しいからね。
騎士なんかもそうか。
だから、そう言う職業に就く為の指導書、スキルを得るための指導書を探してこようと思う」
そう二人に提案してみたのだけど。
二人に休息日について提案してみました。
更に今後の指導の為の指導書に付いても。
指導書、手引書、教科書、参考書。
最初、手引書としていたのを訂正しているのですが、それぞれ微妙に違うようですね。




