第80話 違い
ゴブリンとの戦闘で、危うく死にかけたクトリアとカトレイン。
主人公もショックを受けた為、もっと良い鍛え方を模索する方向に行くようです。
彼女達の作ってくれた食事を食べながらクトリアに聞いてみる。
「クトリア。
武器を変える気はないの?」
そう聞いても、クトリアは黙り込んで何も返答してくれない。
「武器に振り回されているのには気が付いているのでしょ」
「あれは、父の形見なので」
「でも、御両親も君が武器に拘って危ない目に合う事は望んでないでしょ」
そう言うと、悔しそうに黙り込んでしまった。
「せめて剣技か戦士技が手に入れば、か」
強制はできない。
この件は諦めて別の話題に。
「二人は毒を受けて、どんな感じだったの?」
「どんな感じと言われても」
とクトリアに困られるが。
「毒を受けたのが分かったのは何時?」
「なんて言うか、苦しくなり、視野が狭くなったのですけど、毒を受けているとは気が付かなくて」
と思い出しながら答えてくれるクトリア。
「意識が無くなるまで、体に何回ほど攻撃を受けたの?」
「何度も細かく切りつけられていたので……」
と、クトリアは申し訳なさそうに。
「なる程ね。最初から毒を使って、こちらを無力化する気だったのか。
それに気が付かないなんて、俺も経験不足だ」
俺がそう言うと、それは自分達も同じと気が付いたのだろう。
二人とも黙り込んでしまった。
「だからと言って、俺が火矢で倒すだけでは、君らの成長は無いし。
まあ、戦闘系の職業に就くまでは、それで良いと言う方針で行くべきか。
死んだら意味がないし」
「はい……」
と俯きながら答えるクトリア。
それに対し「でも、どうしてあんなに素早く動けるの?」
と、カトレインが悔しそうに聞いて来る。
「それは、転職を繰り返して、ステータス補正がそれなりになっているしね」
「そ、そんなに違うのですか?」
と、カトレインは俺の言葉が信じられない様だ。
「は~。これも内緒だけど、3級職の中級職も幾つか極めているんだよ。俺」
そう事実を伝えると、絶句してしまう二人。
1級職や2級職の職業で、レベル上限になれずに苦しんでいる人には嫌な情報か。
「しかも、同じ職業にも何度もなっているから、転職時に付く半永久的なステータス補正も馬鹿にならない数値になるから」
「全然違うんだ。私達と」
と、こちらを悔しそうに睨みながら言ってくるカトレイン。
「ああ。俺は君達みたいに、好きな人の子供を産むとか出来ないしね」
「そ。それは、何の慰めにも」
そうカトレインがムキになって言ってくる。
「でも、今の俺以上の強さになる事は、不可能ではないだろうね。
二人は。
まあ、最低魔法使いと斥候に転職出来る様になる必要はあるけど」
「せ。斥候系も」
と、カトレインは、俺が斥候系の力を持っていると思っていなかったようだ。
それでは魔物の索敵が出来る訳がないのだし、認識が甘すぎる気がするけど。
「努力するの、しないの?」
「します」
「します」
「なら、俺も手伝うさ」
そう言うと、クトリアの方は少しホッとした感じで。
カトレインの方は、本当だろうかと言う感じで黙り込んだ。
そんな会話をしながらの食事を終えて、今日寝る前のスキル上げのノルマをする。
寝室でのそれを終えて居間に行くと、片付けを終えてクトリアが一人残っている。
彼女の手を引いて、寝室へ。
「よかった。無事で」
と言いつつ彼女を強く抱きしめる。
その後、口づけをしてから、彼女をベッドに横たえる。
そうすると、クトリアが聞いて来た。
「ゴブリン達のとの戦闘が終わった後、私たち二人は奇麗になっていました。
あれって、生活魔法の『洗浄』ですよね?」
「ああ。バレルか。
毒が革鎧に付いていたので、仕方がなくね」
「……」
「カトレインも気が付いているの?」
「はい」
「なら、風呂を入れるのも楽になるから、一緒に入れるか」
そう半分本気の冗談を言ってみても、彼女は暗い表情のままだ。
「どうして、こんなに違うんですか?」
「それは、俺が馬鹿みたいに理不尽な目にあってきたからだけど」
突然、前の人生を終わらせられ、何も知らない異世界に転生させられた。
しかも、多くの転生者は奴隷にされて強制的に労働か戦闘と言う世界に。
それは、本当の事。
「……」
「嫌な事も無く、苦労もなく、力が手に入るとか、あるの?」
そう黙り込んだクトリアに聞いてみる。
「生まれつき希少な職業の転職条件を得ている人も居ますし、転生者は何の苦労もなく多くの職業に就けると言われています」
ああ。
そう言う認識だから転生者が無理やり奴隷にされても、この世界の人達は可哀そうだとは、理不尽だとは思わないのかもな。
そんな事も考えつつ。
「で、国の奴隷にされるのでしょ」と言っておく。
「貴方は、転生者なんですか?」
「違うよ」
「なら、どうやって?」
「もうヒントは与えてある。クトリアが自分で見つけて」
そう言うと黙り込むクトリア。
「さて、今日も出来るかな?」
「そのつもりなのですよね」
「痛くて出来ないなら、今日は添い寝だよ」
「……。治療してもらいましたから」
う~ん。添い寝だけは添い寝だけで嫌な感じなんだ。
「そうか。今日から、ある意味遠慮しないからね」
そう言うと、少し驚いた顔をするクトリア。
まあ、経験が無かったのだし、あんなモノだと思っているのか。
ならばと、キスから始める。
今日からは、性技スキルに教わり、相談しながら彼女と。
スキルによって色々とコントロールできるし、何をすればいいのか、どう開発すれば良いのか、どこが弱いのか等が分かる。
しかも、彼女の感情・認識・状態から何をしない方が良いとかまで分かるし助かる。
暗めにした魔石ランプの明かりの元で、ほんのり赤く染まった彼女の姿は、何とも言えない。
感じているのを耐えている姿も。
回復魔法が使える事はバレたので、合間で回復もしつつ彼女にも強く感じてもらう。
彼女が疲れて出来なくなるで。
これなら、朝まで一緒に居てくれるだろう。
やっぱり、性技スキルは手に入れておいて正解だった。
手探りでやる感じではなく、答えを知っている人の指導を受けながら出来る感じか。
いや。俺の望む様々な方向でも、答えを教えてくれる。
はあ。
前世でもスキルが欲しかった。
スキルに頼り過ぎるのは、良くないと思います。




