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第8話 魔虎戦と戦利品処理

 チートスキル少知少能により、色々と準備をして魔虎と戦い始めました。

 その戦闘により、お互いに手負いとなったのに逃げると言う選択肢は無さそうです。

 全力の魔弾で左目がつぶれている魔虎。


 左腕の肉を抉られ、出血している俺。


 長期戦になると、俺が不利か。


 と言うか、治療の方法を用意してなかった。


 今、少能を使って回復手段を手に入れるべきなのか。


 と、他の事に意識が行ったのを悟ったのか、魔虎が俺を押し倒す感じで飛び掛かってくる。


 幸い、今度は防御の為に『魔力壁』と咄嗟に念じる事が出来た。


 ギリギリのタイミングだけど、魔虎が魔力の壁にぶち当たり無様な感じで地面に落ちた後、苛立ちまぎれに壁を壊そうと立ち上がった。


 あ。多分弱点である腹が見えている。


 最大の力とスピードで敵に向かい腹に刺さったタイミングで爆発とイメージし、魔力矢と念じる。


 魔力の矢は地面ギリギリを飛び、既に魔力壁を破壊し体勢を立て直した奴の腹に命中後爆発。


 そっか。魔力矢は目標を追尾する事が可能だから、体勢を変えられて目標が見えていなくても指定すれば当たってくれるのか。


 ついでに、魔力矢と言う名称を省略し、『魔矢』と念じる事で魔法が打てるようにイメージして撃ち続ける。


 魔矢、魔矢、魔矢……、と腹に命中して爆発するイメージの魔矢を何度も打ち込む。


 一度イメージしたり名称を付けたりすると、それを変更したイメージで念じない限り、そのまま爆発タイプの魔力矢のままで攻撃出来ている。


 でも、奴の皮を突き破る程の攻撃力が無い。


 嫌がってはいるようだけど、それだけだ。


 いや。腹で爆発しているのだから内臓にダメージを与えているかもしれない。

 

 でも、これで勝てるのか。


 魔虎は、デカイ体なのに不相応な俊敏さだけど。


 幸い、LV9の俊敏向上スキルのお陰で、魔虎のスピードには付いて行けている。


 当たり前だけど、大きすぎて小回りは利かないみたいだし。


 でも、こちらが切り札と思っていた魔力矢も威力不足だ。


 右目とか口の中とか耳の中に魔力矢を撃ち込み爆発させればダメージになるだろうけど、相手にも弱点との意識があるので安易に攻撃しても防がれる気がする。


 後、今見えている弱点と言うと関節か。


 足や手の関節にダメージが与えられれば、奴の動きが悪くなるだろうから、試すだけの価値はある。


 右足の膝関節に狙いを定め魔力矢を撃った処で、魔虎が俺が盾にしている壊れた壁を避ける為に一気に飛び上がりながら攻撃してきた。


 すると、奴が空中に浮いた処に魔矢が左ひざに命中して爆発。


 奴はバランスを崩して空中でひっくり返りそうに。


 チャンス。


 空中で体勢を崩し暴れている奴の攻撃を躱しながら、すれ違うタイミングで剣を奴の脇腹に差し込んで思いっきり切ってみる。


 後で考えると、奴の皮は丈夫なようだったから剣が弾かれる可能性もあった。


 しかし、この時は剣技スキルの導くままに体を動かしたので、奴に刺す事が出来た。


 でも、切る途中で骨か筋か何かに引っ掛かって剣を取られてしまったが、数十センチは切り裂いた。


 奴が体制を立て直す前にと、その傷を目掛けて爆発型の魔矢を何発も打ち込む。


 体の中での爆発。


 奴も内臓は脆いだろう。


 数発打ち込んだら、大きな泣き声を上げてついに倒れ込んだ。


 気配探索が、相手を倒したことを教えてくれる。


 「はあ。何とかなったか」


 思わず呟いてしまう程、ギリギリ感が凄かったけど。



 一応魔虎の死体を警戒しながら、傷の治療の事について考える。


 いや。


 やっぱり、先に死骸の処理をしよう。


 こんなのが目の前にあり続けたら怖いしね。


 「戦利品処理」とスキル名を呟いてスキルを使ってみる。


 魔物や動物を倒した後、その体の一部を戦利品とする場合は、解体・処理をする必要がある。


 例外的に、世界に満ちている魔力であるマナ及び倒した魔物の体や生命力や魔力を使ってアイテムを世界の理が作成する場合には、解体・処理された部位なども宝箱に入っている事もあると、少知に教わっている。


 しかし、それは強い魔物を倒した場合に稀に起こる現象。


 なので、通常は魔物を倒した者が、肉や皮や牙等の剥ぎ取りをする必要がある。


 他にも、魔物にはその魔物の力や魔力の塊ともいえる魔石が心臓等の位置にある。


 魔石は、柔らかめの石程度の強度の黒っぽい透明な宝石の様なモノ。


 それには魔物の強さのランクに応じ高い魔力が込められているため利用価値が高く必ず買い取ってもらえる品なので、それを取り出し持ち帰る必要がある。


 まあ、魔物を倒してお金が発生すると言う世界の理でも良い気がするけど、魔石は燃料にもなるこの世界の資源らしい。


 つまり、魔物はこの世界の資源と言う側面も持たされていて、この世界の一翼を担う重要なエネルギーである魔力を蓄えた資源である魔石がある状態で魔物は生まれて来る又は発生すると言う事らしい。


 そんな事を、少知に教わった。


 しかし、目の前の魔虎なんて中型のトラックより大きいし、魔石を取ったり有用な部分を剥ぎ取ったりする事は当然大変な作業となるのだが、戦利品処理スキルは販売できる様な有用な部位だけを残し処理をしてくれるスキル。


 そう戦利品処理スキルの内容を少知スキルに聞いたので、俺はそれも取得した。


 ああ。それを聞いた時に、宝箱の事や魔物の持つ魔石がこの世界のエネルギー源になるって聞いたのだったか。


 そんな事は、魔虎を倒した後で聞けばよかったんだけどね。


 確認したい事がイッパイあり過ぎて、忘れそうだったから、その場で聞いたんだよな。


 まあ、それは猶予時間の使い方として失敗だったけど、生き残れたから良いか。


 で、戦利品処理スキルだけど、不要な部位を消滅させる等する為、当然結構な量のMPを消費するので、その意味では注意しなければならないスキルだそうだ。


 だけど、俺は魔力節減・魔力倍化・魔力回復といった魔力系のスキルを3つも持っているから大丈夫だろう。


 村人LV1からLV10になったしね。


 と言う事で、既に戦利品を処理する為のスキルは持っているので、そのスキルを使ってみると魔虎の牙4本、魔虎の皮、魔虎の肝、魔石(Cランク)が地面の上に。


 魔力矢の爆発で折れたかもと思っていた鉄の剣も無事の様なので回収。


 それらを「亜空間収納」と唱え、時空間魔法の『亜空間収納』に入れる。


 うん。時空間魔法系の力も便利だ。


 後は、出血で軽く目眩がしてきたので、取るかどうか迷ったHP回復スキルをLV1で取得。


 あれ?


 出血は減らないし、傷も治らない。


 ……。


 ああ。HP回復スキルはノーマルスキルだから、再生とかそんな感じじゃないのか。


 慌てて、傷より心臓に近い方の腕を肩掛けタイプのバックの紐で縛り様子を見ると、流石に回復速度が少しは速くなっているのか、血はしばらくすると止まり始めた。


 はあ。何とかなったけど。


 冷静になったので気が付いたけど、ひょっとして、


 「『少能』に魔虎を倒せと願っていたら、倒せたのかな?」


 【倒せました】


 ……。


 その方が、少知少能スキルのレベルアップにまわす力を増やせた気がする……。

 主人公にとって魔虎戦の前にあった猶予一時間は、短すぎた様ですね。

 ベターな選択が出来ている事を祈ります。

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