第79話 ゴブリン達との戦闘
主人公が、一方的に魔法で倒すだけの戦闘。
これでは彼女達の成長に繋がらないか、とゴブリン達を見つけ戦わせてみるようです。
俺が魔法で一方的に攻撃し魔物達を倒す狩り。
『これで良いのだろうか?』と思ったので、
「これじゃあ、君達の戦闘訓練にはならないか。
もしゴブリンが居たら、二匹を残して倒すから、戦ってみるかい?」
と、確認すると。
「はい」と、やるしかないと言う感じのクトリア。
「ええ」と、決意を秘めたようなカトレイン。
ならば、とゴブリンの居る方へ向かってみると、12匹のゴブリンが喜び勇んで襲いに来る。
周りを警戒しながら、魔法障壁を解除。
鋼鉄の戦斧で、俺の動きに付いて来られないゴブリン達の内10匹の首をはねる。
鑑定スキルはレベル16を超え、戦闘中の相手でも簡易で鑑定出来るまでに成長した。
なので、ゴブリンシャーマンやゴブリンレンジャーと言う上位種を優先して倒し、レベルの低い2匹を残し倒した。
すると、残ったゴブリンだけでなく、二人も驚いているけど。
「戦って。フォローはするから」
と逃げ出そうとするゴブリンの前に立ちはだかり、退路を防ぐと彼女達との戦闘が始まる。
クトリアは、大剣に振り回されており隙だらけ。
カトレインは、金属状の棍棒と言う感じの槌を振るうけど、身軽なゴブリンに当てられない。
ゴブリン達の短剣による攻撃を何度も受けるが、幸い俺の造った革鎧が弾いてくれているので、軽い切り傷程度だ。
急所を狙うようなそぶりが見えたら俺が問答無用で倒そう。
そう考えながら見ていたのだけど、クトリアが急に痙攣し倒れ込んだ。
そのクトリアに襲い掛かるゴブリンの頭部を戦斧で破壊。
それと同時に、何とも言えない恐怖心と怒りが襲ってくる。
そして、見た事のない情景が一瞬見える。
見た事がない奇麗な女性が消滅していく。
これは何だ。
そう一瞬混乱してしまったが、今は彼女の治療を優先すべきだと彼女を鑑定すると、状態が「麻痺毒」になっている。
刃に毒が付けられていたのか。
武器を鑑定すれば分かったのに、迂闊だった。
そう思うと同時に、カトレインも泡を吹いて倒れ込む。
それに襲い掛かるゴブリンも頭をはねた。
回復魔法のLV2で覚えられる『治療』を唱えると、どちらも一度で麻痺状態から完治する。
念のため、『回復』も掛けて傷を癒す。
俺は、再び襲って来た理由の分からない怒りと恐怖心により震えながら二人を確認すると、革鎧の変色した部分には毒が付いているようだったので、生活魔法の『洗浄』も掛け毒を取る。
周りを警戒しながら、魔法障壁を張り、彼女達に「大丈夫か」と声を掛ける。
「えっ。どうして」
と、カトレインの方が先に覚醒した。
「わ。わたし」
と、時間を空けずにクトリアも覚醒したのだけど。
「御免。迂闊だった」
俺は素直に二人に謝っていた。
「な。何が?」
とカトレインは状況が分からないようで確認してくるけど。
「ゴブリンの持っていた短剣に毒が塗ってあったみたい。
今までのゴブリンには、そう言うのは居なかったのだけど、ゴブリンシャーマンとかゴブリンレンジャーって言う上位種にそう言う事が出来る奴がいたのかもしれない」
「あ……」と、状況を理解したけど混乱した感じのクトリア。
「じゃあ。私達はどうやって」
と、カトレインの方は既に疑問を口にしている。
となると、隠すのは諦めるしかないか。
「内緒だけどね。祈願程度の回復手段しかないのに一人で狩りは出来ないよ」
「えっ」
「魔法薬……、じゃない。
回復魔法。
そ、そんな」
と、自分が魔生薬や魔法薬を飲まされた形跡がなく、魔法薬をかけられた形跡も無い事を確認したカトレイン。
そして「だ。だって神官で転職し別の職業に就くには、最低でもLV30は」
と俺に問い質してくる。
「それは転生者のレベル上限だけどね」
そう言うと、驚き絶望したと言う感じの二人。
「内緒だから、あんまり聞かないでね」
そう言うと、悔しいと悲しそうな顔に変わったか。
「今日は帰ろうか」
「えっ。でも」
と、カトレインは納得してくれない。
「俺も認識が甘すぎた。ノルマは果たしているはずだし」
そう俺が苦しそうに告げると。
「はい」と、二人とも悔しそうに引き下がってくれた。
帰り道は、魔イノシシに会ったが、俺が倒した。
家に帰るまで彼女達の体調を気にしていたが、治療が早かったからか、回復魔法が優秀なのか、彼女達には問題が無かった。
まあ、俺の精神状態は問題だけどね。
アッサリ彼女達が死にかけた。
今回は、ただの麻痺毒だったようだけど、あれが致死性の毒であるパターンだってある。
ゴブリンの上位種は初めてだった。
だけど、上位種を先に倒せば何の問題も無いと勘違いをしていた。
彼女達を前に出すのは早かった。
だけど、過保護が良いとも思えない。
どうすべきなのか。
初めて彼女達の戦闘をフォローする形にしてみましたが、失敗の様です。
彼女達が傷付けられた時に感じた恐怖心や怒りは、前世か何かのトラウマなのでしょうか。




