表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/190

第77話 筋肉痛の無い世界

 昨晩はカトレインとも一線を越えました。

 これで主人公基準だと、もう守るべき存在。

 そのカトレインが、居間のソファに倒れているようです。

 朝起きると、カトレインは、もう居ない。


 彼女も俺とイチャイチャしてくれない感じか。


 まあ、しょうがないさ。


 今の状況で彼女達が俺に対し溺愛状態とかだったら、それこそ詐欺師か何かで、後ろから刺されたり騙されたりして大切なものを取られたりしそうだし。


 顔を洗おうと居間に行くと、カトレインが長椅子に寝ていて、その横でクトリアが心配そうにしている。


 「どうしたの?」


 と、クトリアに聞いても分からないそうだ。


 神官技スキルが症状を教えてくれたけど念のために鑑定するとやっぱりMP(所持魔力)が一度0以下になった事による意識障害だそうだ。


 「何をしていたの?」とクトリアに聞くと。


 「何度か、祈願をしていたようですけど」との事。


 祈願はそれなりにMPを使うのに、痛みを取ろうとしてMPを使い過ぎたか。


 確か、祈願スキルが危ないよって教えてくれるはずなのに、MP不足になるまで祈願するとは。


 それ程、今日も狩りに行きたいと言う事なのかな。


 「どうすれば?」


 と、クトリアが困り果てた様子で聞いて来る。


 「多分、MP枯渇による意識障害だから、自然回復すると思う」


 そう鑑定結果を教えてあげると、クトリアは安心したようだ。


 その様子を確認しながら、


 「意識が戻ったら、これを飲ませるか」


  と、亜空間収納から格納箱に移動させた魔回薬を取り出す。


 「水を用意してくれる?」


 と頼んで、井戸水を沸かした飲む用の水を用意してもらう。


 「俺が見ているから、食事の準備頼める」


 と、朝食の準備を頼んだ。


 しばらくすると「あ、頭が痛い」とカトレインの意識が戻ったようだ。


 「薬飲めるかい?」


 そう言っても、薬を見たまま何も言わないカトレイン。


 悪い薬とか麻薬とかも、この世界でもあるのかな。


 そう考えていたら、薬師技スキルが【あります】と返事をくれる。


 困ったものだと思いつつ「飲めないなら口移しで飲ませるけど」と言うと。


 「自分で飲みます」と覚悟を決めた感じに。


 「それは残念だ」


 そう言いながら、魔回薬を渡して水を飲ます。


 「甘い」


 ああ。良品になると、何故か甘くなって飲みやすくなるのだっけ。


 「何を飲まされたのですか?」


 と今頃冷静になったカトレインが聞いて来るので。


 「魔回薬だけど」と教えると。


 「……。そんな高い物を」と絶句気味に。


 まあ、魔回薬の原料である魔力草は冒険者ギルドで安く買い叩かれても5000GAUとかだったかな。


 それと魔石で3回分程度しか造れなかったんだよな。


 当然、一般的には高価なのだろう。


 「でも。心配だったから」


 そう言うと、複雑そうな顔をされる。


 「どう?」


 「魔回薬を使うと、こんなに直ぐ良くなるのですね」


 「それは良かった。食事ができる様なら、クトリアが準備してくれているはずだけど」


 「そうですね。今日も狩りに行かないと駄目ですから」


 「でも、無理はしないでね」


 「……。はい」


 そう言う彼女は悔しそうだった。



 朝食を終えると、カトレインが話しかけて来る。


 「魔回薬って凄いのですね」


 「そうなの?」


 「明らかに、何時もとステータスウィンドウのMP(所持魔力量)の増え方が違います」


 「そうなんだ。

  なら、知り合いにもっと造ってもらえばよかったかな」


 「魔力草を持っているのですか?」


 と、カトレインが少し驚いた感じで俺に確認してくる。


 なので「ああ。少しならね」と控えめに言ったのだけど。


 その所為か「……。そんな貴重な物を」と、カトレインに申し訳なさそうに言われたので。


 「旅をしている途中に運よく見つけた物だからね。

  貴重でもないさ」


 そう言うと複雑そうに二人が黙り込んだので。


 「いや。貴重なものだから、もう無理はしないでね」


 と無理しない様に、と言う方に意味を込めて言い直してみた。


 「はい」と、素直に返事をしてくれるカトレイン。


 本当は、素直な良い娘なのだろう。


 「俺も祈願した方が良い?」


 「いえ。大丈夫です」


 「本当に?」とカトレインの目を見て聞いた。


 「……。一度だけお願いします」


 「ああ」


 少しは、素直になって来たかなと思いつつ、彼女を癒してもらうように祈願した。



 朝の出かける前のスキル上げと、剣技・槍技スキルに教わりながらの技術の習得を庭でしていると、朝食の片付けを終え家から出て来たクトリアが聞いて来た。


 「ひょっとして、剣技や槍技を手に入れるための訓練もしてきているのですか」


 「ああ。してきているし、今もやっているけど」


 と、既に持っている事は隠しておく。


 「剣技について教わっても良いですか?」


 「いいよ」


 と答え、亜空間収納の中で、トレントの材木から彼女の剣を模した両手持ちの剣と、片手持ちと両手持ちのどちらも出来る剣を造る。


 それのグリップに巻く為の皮もなめし、グリップに張り付けて完成させ、それを格納箱から出したように偽装して渡す。


 すると「えっ!」とクトリアが驚いている。


 あ。やり過ぎか。


 何でも持っている感じにするのも不味いかな。


 「クトリアは両手持ちの方が良いのだろう」


 と言って渡し、裏庭で訓練開始。


 まあ、俺は剣技や戦士技スキルに教わりながら。


 彼女には、剣技や戦士技スキルに教わった事を伝えながらの訓練。


 この世界は、前の世界の常識から言えば異常だ。


 大学浪人した後、体育会系のサークルに入ったら、筋肉痛が1年間続いた。


 なのに、この世界では体を鍛えても、筋肉痛にならない。


 まあ、殺し合いの世界だから、筋肉痛になる暇をつくれないのかもしれない。


 他にも、前の世界の常識からいうと異常な腕力等を持っているのに、腕は太くなっていない。


 なのに、ステータスと言う数値に応じて、腕力等が数倍に強くなっている事が異常だ。


 通常しない動きをしても、筋肉痛になる感じもないし。


 それとも、前の世界が異常で、これが複数の世界で常識なのだろうか。


 そんな事を考えながら、30分程度訓練して冒険者ギルドへ向かった。

 筋肉痛のない世界。

 さすが、緩めとはいえバトルロイヤル的な世界ということなのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ