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第76話 転職先についてとカトレイン

 主人公は二人に、この世界では器用貧乏と言われる複数の職業を極めて行く事を勧めるようです。

 彼女達は、それに納得するのでしょうか。

 まだ先の話になるが、これからの予定を立てる為にクトリアに次の転職先を聞くと、戦士になりたいと言う。


 そこで他の職業になる気は無いのかと聞いてみたのだけど、クトリアはピンと来ない様なので、具体例の説明をしてみる事に。


 「木こりになれば、斧が使いこなせる木こり技は必ず手に入るし、騎士になっておけば契約スキル持ちになって将来の選択肢は広げられるだろう。

  薬草師になれば、運が良ければ薬草採取でボーナス的な収入になるし」


 そこまで言うと、クトリアも俺が言いたい事は分かった感じだけど、更に説明を続ける。


 「将来、精霊使いになりたいなら、動物使いになる必要もあるし。

  転職時に出る転職可能な職業とレベル上限を見て、他の職業を極めるかどうかも決めておいた方が良いと思うのだけど」


 と言うと、クトリアが難しそうな顔をしたので、前提条件も話しておく。


 「まあ、レベル上限がレベル20前後ならば、と補足は付くだろうけどね。

  その辺は、カトレインも同じだと思うけど」


 そう言って、カトレインの方も確認すると、彼女も難しい顔をしている。


 「と言うかカトレインがなりたい3級職の神官になると、更に転職は大変になるだろうね。

  まあ、回復職として引く手あまたにはなるだろうけどさ」


 そう、色々と少知に聞いたこの世界の実情などを言ってみたのだけど。


 「他の職業にも就いた方が良いのですか?」


 と、不思議そうに聞いて来るカトレイン。


 色々な職業を経験するのは、少なくともこの地方では推奨されていない事を彼女達も知っている様だ。


 「カトレイン次第だろうけどね。

  もし、60人のパーティに入るとかなら回復の役目で手一杯だろうけど、クトリアと2人でとなると、1人での戦闘力も必要だろうね」


 そう言うと、俺の発言の意味を理解したようで、カトレインは黙り考え込んでしまう。


 「まあ、スキルが喧嘩するから、それを上手に扱う必要はあるだろうけど。

  後は、MPの管理が今以上にきつくなるか。

  そう言えばカトレインは、一度転職しているのだから他の職業のレベル上限を知っているし事前に決めやすいんじゃないの?」


 「それが、神官を目指していたので、他の職業は覚えていなくて」


 と、申し訳なさそうに言ってくるカトレイン。


 その感じから見ると、複数の職業を鍛えて行く事に反対ではないようだ。


 「そっか。まあ二人で十分生きていける程度までは面倒見るだろうから、複数の職業を極めたいのなら、それも手伝うから、そのつもりで」


 「……、はい」


 と二人とも答えたけど、どうも新しい困難が立ちはだかる感じで混乱している様だ。



 彼女達が夕食の片付けをしている間、俺はスキル上げをして、それが一段落ついた時に居間に行く。


 夕食前に、お風呂で体を拭いたから、準備はOKのはずだ。


 お風呂は毎日炊ければ良いのだけど、井戸からバケツで水を運び、薪で五右衛門風呂の湯を沸かすのは、手間がかかる。


 彼女達が食事の準備をしている間に俺がやれば良いだけなのだけど、その時間はスキル上げに使うつもりだ。


 でも、上がったステータスのお陰で重労働って言うほどでもないだろうし、その内一緒に入りたいけど湯舟が狭いか。


 後は、魔石を使った大型の湯沸かし器か、風呂を沸かせるほどの魔石コンロがあれば、多少風呂の準備は楽になるんだけど。


 そんな事も考えながら居間に行って、待っていたカトレインの手を無言で引いて、部屋に連れ込む。


 彼女は、相変わらず俺を睨んでくる。


 心配になって表情分析スキルを使うと、嫌と言う訳ではなく、悔しいと言う感じのようだ。


 なら、大丈夫かと軽い口づけから。


 それでも、まだ俺を睨んでいる。


 「カトレインは、嫌なのかい?」


 と、答えを知っているから聞いてみる。


 「……」


 「俺は、カトレインとこんな関係になれて嬉しいよ」


 そう言っても黙っているので、彼女の感情を読みながら待ってみる。


 すると「どうして、こんなに不平等なのですか」と悔しそうに。


 「何が?」


 「貴方は、あんなに強いのに、私は……」


 「俺だって、最初から強かった訳ではないだろうね。

  物心つく前から、俺を強く育ててくれた人がいたからだけど」


 そう言っても納得していない感じ。


 「まあ、偶々才能があったと言うのは、確かに不平等かもしれないけど、そのせいで目立ち過ぎれば拷問の上、奴隷化されるかもしれないけど」


 「……」


 「これからだって、嫉妬から裏切られたり、嫌な思いもしたりするかもしれないんだよ」


 「……。

  どうしたら、貴方みたいに強くなれるの?」


 カトレインには強くなっても問題がある事は伝わらないみたいだ。


 なので、強くなっても問題がある事を認識してもらうのは先送りし、


 「子供の頃から、正しい知識で鍛え続けないと、難しいだろうね。

  まあ、今からでも、何もしないよりは良いだろうけど」


 と、これからの事を考える様に言うと。


 「どうすれば良いのですか?」


 と反応がある。


 「スキルや転職条件を得られる本、手引書みたいなのは無いのだっけ?」


 「高くて買えません」


 ああ。文明の程度から考えると、本は値段が高いか。


 「なら、まずは買えるだけの収入を得る事からかな」


 そう言うとカトレインは、


 「……。貴方は指導してくれないの?」


 と少し不安そうに聞いて来る。


 「俺は一族にとって消耗品だったのか、生き残ったら指導者としての教育が始まる予定だったのかは知らないけど、人を育成する方法はあまり知らないかな」


 と、詐術スキルが教えてくれた言い訳を言うと。


 「自分達で勉強しろと言うお金だったのね」


 と、また誤解をする。


 「違うけどね。俺の愛人に少しは良い暮らしをさせたいからだけど」


 そう言うと、少し驚いた表情をした後、俺の発言を思い出したようで、


 「……。クトリアとも話したけど、貴方の奴隷にはならないから」


 と、俺を睨みながら言って来る。


 「ああ。普通はそうだろうからね。

  でも、君らが俺の愛人になるとは思っていなかったけど、なったしね」


 そう言うと、何かを言いそうになったけど、我慢したと言う感じ。


 「なんて言うか、厳しい世界だから皆思うようには行かないみたいだし、諦めなければチャンスがあるかもしれないから」


 そう言って、苦笑しながら彼女を見つめるが、彼女からは何の返答も無かった。


 黙り込んだ彼女に、もう一度優しくキスをする。


 そして、ベッドに優しく押し倒し、もう一度キスをして準備を始める。


 はあ。


 転生してよかったのかも、と思える瞬間だ。


 こんな美人でスタイルのいい女性を。


 それが、一時しのぎ。


 一時の事だとしても。

 カトレインとも関係を持ってしまいました。

 これで、彼女達は守るべき人達に。

 彼女達を護りながら強くしていく生活が始まります。

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