第71話 今なら
主人公は、仲間兼愛人を迎え入れる為に、自分自身の強化と、必要になるだろうと思った物の入手に行ってきました。
目的の物は手に入れられましたが、彼女達は主人公の愛人となる事に納得しているのでしょうか。
少し早かったが、待ち合わせ場所に行くと大きめの荷物を持った二人が居る。
ああ。
お通夜みたいだ。
そんなに嫌ならと思うけど、多分どうしようもないんだろうな。
二人の元に行くと、金貨16枚を返してきた。
「今日は、何をしていたの?」
「門の使用料を払うお金も無いから、掃除の依頼を受けていました」
と代表してクトリアが教えてくれる。
「服とかは買わなかったんだ」
そう言っても、二人とも黙ったままだ。
「俺の為に綺麗になってはくれないんだね」
そう嫌味になるかなと思いつつ言ってしまうと。
「掃除の依頼は、終われば井戸が無料で使えるから、そこで奇麗にしています」
と、相変わらず黙り込んだままのカトレインを横にクトリアが教えてくれる。
「ああ。そちらについては気を使ってくれいるんだ」
そう言うと、少しホホを赤くして俯いた感じの二人。
このままの雰囲気は不味いかもと「で、迷惑料は払ったの?」と聞くと。
「いえ。冒険者ギルドは覗いたけど、居なかったので」
と、今回も黙り込むカトレインを横に、クトリアが会話するようだ。
「そっか。それで今日から宿をどうする?」
「どうすると言うと?」
クトリアは質問の意味が分からないと言う感じで聞いて来る。
「宿屋にするか、家を借りるか。
家を借りるなら、家事は分担するか君達がやってくれるか」
「家事が必要なら、私達がします」
クトリアがカトレインとアイコンタクトをして断言してくれる。
「そう。でも今日はこの時間だから、宿にした方が良いか」
「はい」
「なら、宿を探すか」
少知に、安全で、衛生的で、防音がしっかりしていて、3人で一晩1~2万G程度の宿と聞くと、5件程教えてくれる。
一番近くの宿へ行き、3人で止まれる部屋。
出来れば、2部屋寝室が欲しいと言うと、1万5千Gの別棟の部屋を借りられた。
日本円で一泊15万円だと、安めのスイートルームクラスだけど、それ程良い訳では無い。
と言うか、空き家を貸している感じか。
まあ、風呂が建屋の中についているのだから、多分良い家なんだろうけど。
だとしても、一晩で15万円とか凄いな。
なので、二人はビックリしていのかなと思ったけど、普通か。
今は貧乏だけど、前はお嬢様だったのかもしれない。
宿を決めて、早めの夕食を取り、冒険者ギルドへ。
一回の受付と併設してある酒場兼食堂へ行く。
そこで二人に問題のパーティを聞く。
「彼女達が迷惑を掛けたのは、君たちかな?」と声を掛ける。
「ああ。違反料か」
「そうだ。彼女達とパーティを組むことになったから、先に払っておこうと思って」
「なるほど。うちは1回だ」
「助けてもらって助かった」
そう伝え金貨一枚を渡し、軽く頭を下げる。
彼女達がはめられた可能性もあるが、してはいけない行為をしたのは事実だからキッチリと礼は尽くす。
そして、他の2つのパーティにも同様に支払いに行く。
「これで、違反料の支払いは終わりか?」
「はい」
その返事を聞いて、宿に戻る事に。
その後、宿が準備してくれていた風呂に入り、今は1人寝室に入り、亜空間収納内の植物を使い大量に麻の糸を造り、それで大小のタオルを100枚ほど織った。
後は、何がいるだろう。
ティッシュペーパーや濡れティッシュのようなものは無い。
シャワーは当然ないけど、まあ同じ建屋内に風呂があるから良いだろう。
水桶みたいなのはあるし、お湯を汲んでおいた方が良いのかな。
シャワーの普及していないこの世界だと、タオルで拭いて寝るって言うのが普通かもしれないし。
生活魔法持ちだとバラスのなら洗浄で簡単にきれいに出来るんだけどね。
と、寝るための準備を色々としていた。
後は、明日狩りに行くのだとしたら彼女達の防具だな。
裁縫スキルが彼女達のサイズを覚えているから、いきなり造れるのだけど。
いきなりサイズぴったりの防具渡されると、引くかもしれない。
でも、彼女達の命には代えられないと、魔熊の皮で彼女達の革鎧を造っていく。
クトリアは前衛だから全身タイプを、カトレインは後衛タイプだから軽装タイプを作ってあげる。
裁縫スキルにより亜空間収納内の植物や鉱物から染料を取り出し色を付ける事も、魔力を直接染料とする事も、革を変質させて色を付ける事もできるらしい。
なので、植物由来の染料を更に魔力とスキルで変質させクトリアの革鎧を青色に。
カトレインの革鎧をオレンジ色に。
それを終えて居間に戻ると、二人は喋りもせずに、相変わらずお通夜状態。
「今なら止められるけど?」
そう最後の確認を。
今更の気もしますが、最後の確認を。




