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第68話 どうすれば良いと言うのか

 寝る前に生産をした為、反省や現状把握が不十分だったようです。

 なので、まずは現状把握をしておくようです。

 朝の食事お終えてから、一度部屋に戻り、昨日の夜にするのを忘れていた現状把握をする。


 まず、魔力魔法はLV16になった。


 これで、魔力弾に続き魔力矢の多弾化が可能になった。


 誘導出来ない魔力弾ではなく、誘導機能や自動追尾機能がある魔力矢を1発から16発に出来た訳だから、火力は数倍に上がったと言えるだろう。


 と言うか、直進しかしない魔力弾だとナカナカ当てられない隠れている俺を見つけ機敏に動く様な敵に対しては、火力が十数倍に上がったのか。


 火矢、水矢を含めて考えれば、3本の魔法の矢が、18本の魔法の矢になったのだから5倍か。


 そんな細かい事は良いのだけど、一昨日行った危険な街道の北側に行くの、この力を得てからでよかったのでは、と反省だよね。


 時空間魔法も、LV16となり『転移』が可能となった。


 とは言え、転移先の目印となる刻印である『座標指定』を何処にもしていないので、転移先がない。


 なので、今は持っているだけかな。


 これからは、彼方此方へ移動して空間魔法の『座標指定』を使い転移可能な場所を増やすのも目的の一つになるだろう。


 転移に必要とされるMP次第でもあるけど、空間魔法スキルに聞いた処、大丈夫そうではある。


 と言うか、都市の近くに座標指定しておいて、街道の北側に行き危険になったら転移で帰ってくるって危機回避法も用意して、街道の北側に行くべきだったのでは。


 ……、迂闊と言うか反省しろってレベルだな。


 先を見据えた現状把握をしていなかったんだな。


 今後は、その辺も意識しよう。


 水魔法は、LV10になったので、レベル上限の開放が必要だろう。


 また、経験値増加スキルがLV11になった。


 と言うのも、昨日行った紙の大量生産により結構多めの経験値を取得したようなのだ。


 経験値増加スキルは、LV11とLV21で大きく力を上げるタイプのスキルだから、取得経験値がLV10*2倍の20倍から、LV11*3倍の33倍になった。


 これで、成長を・強くなる事を加速させられる。


 更に言うと、経験値系スキルのレベルアップの為の手段として、大量に生産すると言う手法も使える事が分かって良かった。


 でも、レベル10までなら簡単に上がったスキルも、LV12くらいからあまりレベルが上がらなくなっている。


 自分には効果の及ばない経験値増加スキルは、益々レベルが上がり辛くなるだろう。


 色々と考え準備しておくべきなのかもしれない。


 まあ、とりあえず量産スキルを取得し試して、簡単に大量生産が可能となれば、少しは成長を早く出来そうだ。


 生産なので材料を大量に用意するのが大変そうだけどね。


 後は、経験値増加スキルの成長も生産時に使われるMPの量が関係している可能性があるので、その辺もステータスウィンドウ内のスキルの経験値を見ながら検証してみないとな。


 しかし、この経験値増加のLV11越えについても街道の北側に行く前に実現しておくべき事だよな。


 まあ、これについては街道の北側での大量の魔物狩りによる成長も貢献しているし、生産でも経験値増加スキルを成長させられる事は予想できなかったのだから、しょうがないのだろうけど。


 これで様々なモノの成長が促進出来るけど、その上で更に効率の良い成長も考えるべきだろう。


 それも、目立たずに出来る。


 そんな今後の課題を考えながら、水魔法のレベル上限を開放して、少しと言うか大分明るい気持ちで冒険者ギルドへ向かった。

 

 受け取りを渡して、内容明細を見せてもらい、お金を受け取る。


 魔アリの魔石F10個、魔アリの酸袋10個、魔蜂の魔石11個、魔蜂の毒袋11個、魔トカゲの魔石F2個、魔豚の魔石F1個、魔豚の肉4個。


 全部で、75800GAUだそうだ。


 それを受け取り、今日も狩りに行こうと冒険者ギルドを出た処で、声を掛けられる。


 あの二人だ。


 「お時間をもらえませんか」


 と、今日もクトリアの方に話しかけられた。


 「良いけど、どうしたの?」


 「ここでは、ちょっと」


 そう言って来るクトリアは悲壮な顔をしている。


 ちらっとカトレインの表情も見たけど、彼女も悲壮な感じ。


 なんだろうと思いつつ付いて行くと、あまり人の居ない広場に。


 広場にある近くに人の居ない椅子に座ると、クトリアが話し始めた。


 「仲間にしてもらえませんか」


 と、俯いたまま言って来る。


 そう女性に言われると心が疼くけど。


 「断ったと思ったけど」


 今後も隠れ続ける為にそう言うと、二人とも更に悲壮な感じで黙り込んでしまう。


 「どうしたの?」と、沈黙と落ち込んだ雰囲気に耐え切れずに聞いてしまった。


 甘いな。


 「昨日、ゴブリン討伐の依頼達成報告をしたのですけど、そこで言われたんです」


 と、今日もクトリアが主として話すようだ。


 「何を?」


 「あれは、ワザと依頼を残しておいたって」


 と、辛そうに俯いたまま告げて来るので。


 「罠だった、って事?」と聞くと。


 「いえ。確認だそうです」


 そうクトリアが首を横に振りながら言って来る。


 その意味が分からず「確認?」と聞くと。


 「ゴブリンクラスなら倒せるかどうかの」


 と、更に意味の分からない説明が続く。


 なので「良く解からないのだけど?」とハッキリと聞く。


 「私達、魔物に追われているのを5度も他のパーティに助けてもらっているんです

  それも戦闘中のパーティに」


 自分達の恥を話している自覚はあるのだろう。


 増々表情が硬く暗くなるクトリア。


 なので「そうなんだ」と、出来るだけ軽めに返事をする。


 「でも、助けてもらうと言っても、ある意味他人に魔物を押し付ける行為です。

  当然、そう言った行為はダメなんだそうです」


 「ああ。それは一緒に出た講習会で聞いたよね。

  他人が戦っている獲物を横取りしない。

  魔物を押し付けて人が死ぬようなトラブルを起こさないと言った事を守る為に、色々と取り決めがあるんだってね」


 「はい。他の人が戦っている魔物を横取りしない。

  魔物を押し付けて人が死ぬような事はしない。

  それは、大前提だそうです。

  だから、戦闘中の他の冒険者のパーティに相手の承諾も得ずに近づくことはマナー違反で、相手に金貨1枚を支払うそうです」


 「ああ。それも聞いた。

  金貨まで払うのは、この都市の冒険者ギルドのローカルルールとも言っていたか」


 「私達、それを破って他のパーティに近づいて魔物を押し付けていたんです」


 「ああ。それは不味いな」


 ゲームで言うMPKモンスタープレイヤーキラー


 魔物を利用した殺人。


 まあ、彼女達は自分が死にかねないから、そう言った行為になったと言う事なのだろけど。


 「でも、迂回して逃げたのでは追いつかれそうだったんです。

  だから、どうしようもなくて」


 だとしても認められない言い訳だと分かっているのだろう。


 落ち込みながら言うクトリア。


 「勿論、彼らに押し付けて逃げた訳ではなく声をかけて近づき、「これ以上近寄るな」という相手の指示に従ってそのパーティから離れたんですけど」


 そう言いつつ、俺の様子を伺っているクトリア。


 そんな話を聞かされている俺としては、頭を抱えるしかない。


 「取り決めの例外として、Gランクの魔物しか狩れない様な弱い新人なら守ってやる必要もある、とも聞いていたんです。

  だから、私達の行為は問題にならない、許されたと思っていたのですけど。

  でも、昨日私達がゴブリンの魔石を10個納品したのを見られていて、お前たちは弱い新人にはならないって」


 と、今度は言い難そうに言うクトリア。


 彼女達にも、俺からの善意がアダになったと言う認識はあると言う事だろう。


 彼女達が弱いのは間違いないんだから『そのくらい見逃してくれよ』と思うけど……。


 確かに弱いパーティでも足さえ速ければ、魔物を押し付けてそのパーティが全滅した後、そのパーティの装備品なんかを取りに行くと言ったMPKは可能だから微妙なルールなのか。


 いや。


 パーティが全滅しなければ、そう言うMPKだと冒険者ギルドなんかにバレルから、モンスターと一緒になって人を襲い全滅させると言うパターンも有るのか。


 勿論、数日から十数日の間はステータスウィンドウに殺人者・重犯罪者と出てしまうから普通はしないと思うけど、困窮している場合にはそう言う事もあり得るから、冒険者達はそう言う事にも注意しなければならないのか。


 となると『厳しい態度を取るべきだ』ってなるか。


 そんな事を考えてクトリアを見ると、また話し始めた。


 「それで、3つのパーティに違反料を払えって言われて」


 「ああ。俺が余計な事をしたのか」


 そう言いつつ俺が『嫌な予感はしたんだよな』と頭を抱えていると。


 「いえ。どちらにしろ、限界だったんです」


 と、悔しそうに言ってくるクトリア。


 「1回分は払えましたけど、残りの4回分が払えないんです」


 「金貨4枚を払う余裕はないとは言えなかったの?」


 「5日で大銀貨5枚の依頼を達成したばかりでしたから。

  だから同じ冒険者だからしばらくは待ってやるけど、必ず払えと言われて。

  だから、もう、どうしようもなくて」


 そう悔しそうに、苦しそうに言ってくるクトリア。


 ゴブリンの魔石を10個ではなく3個にしておけば良かったのだろうか、とも思いつつ、


 「それで、俺のパーティを組みたいって話になるんだ」


 「夜、貴方に抱かれれば、仲間にしてもらえるのですよね」


 と、苦い顔をしながらクトリアは聞いて来るけど。


 「……。

  いや。

  他の理由も言ったよね。

  それとも、俺の奴隷になるつもりなの?」


 「奴隷は嫌です」


 そう即座に断言するクトリア。


 まあ、俺も奴隷になるのは嫌だから相手に強要できるとは思っていない。


 だから、既に奴隷になっている人から仲間を選ぶつもりなんだけどね。


 そう思いつつ「でも、俺も嫌なんだけどね」と伝えてみたのだけど。


 そう言っても、黙り込んでいる二人。


 本当に、この二人は崖っぷちなんだ。


 どうすれば良いと言うのか。

 自分の身の安全を重視するなら、深くかかわる人や仲間は造らない方が良い。

 善意からとは言え、主人公の行動から良くない事態を招いた様です。

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