第63話 街道の北側
転生者は、強制的に奴隷にされる。
その事実を改めて感じた主人公は、少しでも早く強くなりたい。
そう考え、今までは行っていない危険だと言われている街道の北側へ魔物を狩りに行くようです。
無い事に偽装、秘匿、隠形、魔力障壁、身体強化等をして、東西に伸びている街道の北側に向かう。
今日は戦いに専念する為、果物や草等の確保は行わない事に。
風景を鑑定しながら進んでいると、鑑定結果に変化が出る。
ああ。
木の魔物、トレントだ。
LV10の気配探索・危機探索・察知には感知されないけど、LV14の鑑定からは逃れられなかったか。
地道なレベル上げは、やっぱり必要だな。
いや、察知は向こうがこちらに気が付いていないと反応しないのか。
別の探索系のスキルが欲しい処だ。
いや、今持っている探索系を出来るだけ早く鍛えるべきなのか
そんな事を考えながら、刃状にした魔力矢を根元に打ち込んでみるが、切れ目が入った程度。
攻撃された事に気が付いて暴れ始め、足である根を地面から抜いて移動まで始めた。
慌てて、根元に魔矢を数発打ち込むと、切られた木の様に倒れ込む。
近づいて、戦利品処理をして空間収納に回収。
戦利品は、トレントの材木4本、トレントの魔石D。
ああ。
魔石がDと言う事は、これも売れない奴か。
でも、木工で何かを作るには、材木は必要だし、よかったのかな。
大きな木だった割に角材が4本と言うのも寂しかったけど、まあ、こんなものか。
そう言えば、戦利品処理をすると消え去った葉っぱとか枝とかは、裁縫とか木工に使えたかもしれない。
次からは、戦利品処理で枝とか葉っぱとか皮とかも消滅させないように指示するか、そのまま亜空間収納に入れる様にしよう。
そこから、先に進むと草むらに魔豚がいる。
サクッと魔力矢で首を破壊して戦利品処理をすると、魔豚の魔石F、魔豚の肉4個、と肉が取れた。
違う種類の肉も嬉しいし、多分高く売れるんだろう。
しかし、やっぱり街道の北側は危険な感じ。
移動中にある木々の生えている場所には魔蜘蛛、魔カマキリ、魔蜂等が必ずいる。
魔トカゲも大量、魔アリの巣も見つけた。
今の処、強過ぎる魔物は居ないけど、魔物の密度は高い感じだ。
そのおかげで、職業経験値は得られるんだけどね。
なので、途中で5つのスキルのレベル上限を外す事も忘れず行った。
おっかなびっくり状態で進んでいるからだろうか。
結局、14時まで北を目指したが、森の外苑が感知できる所までたどり着けなかった。
まあ、山脈は見えているんだけどね。
幸い、隠れている俺を見つけられる魔物は居なくて狩り放題だったけど、やはり北側は怖い感じだ。
最終的な討伐数は、トレント4匹、魔豚8匹、魔蜘蛛6匹、魔大蜘蛛2匹、魔カマキリ7匹、魔大カマキリ3匹、魔女王バチ4匹、魔蜂411匹、魔トカゲ15匹、魔大トカゲ5匹、魔アリ1255匹。
今までと桁違いの数になった。
弱い魔物は、数で補っているのだろうか。
魔アリは一か所に複数の巣があった。
魔蜂も一つの巣当たりの数が多い感じだ。
おかげで、職業経験値はいっぱい手に入った。
魔アリ10匹、魔蜂11匹、魔トカゲ2匹、魔豚1匹を冒険者ギルドで売るようにして、後は戦利品処理をする事に。
トレントの魔石D4個、トレントの材木16本、魔豚の魔石F7個、魔豚の肉28個、魔蜘蛛の魔石E6個、魔蜘蛛の糸3200メートル、魔大蜘蛛の魔石D2個、魔大蜘蛛の糸4200メートル、魔カマキリの魔石E7個、魔カマキリの鎌14本、魔大カマキリの魔石D3個、魔大カマキリの鎌6本、魔女王バチの魔石D4個、魔蜂の魔石400個、魔蜂の毒袋400個、魔蜂の蜂蜜50キロ、魔蜂の蜜蝋30キロ、魔トカゲの魔石F13個、魔トカゲの皮13枚、魔大トカゲの魔石E5個、魔アリの魔石F1245個、魔アリの酸袋821個。
とまあ、こんな感じになる筈だったのだけど。
前にも確認したが、戦利品処理もMPを結構使う。
なので、大量に倒した魔アリと魔蜂の戦利品処理は出来なかった。
MP不足も致命的な事態になる原因になりそうだから。
なので、寝る前とかに亜空間収納内でする事に決めて狩りをし続けたのだけど、当然大量の魔物を倒すのに大量の魔法を使ったので、それは別の意味でも正解だった様だ。
その狩りを終えて比較的安全である街道に戻り、今日の戦果を確認しながら今日の北へ向かいながらの狩りを思い出す。
半径10キロに探索範囲を広げての移動だったのだけど、魔物だらけ。
1級職や2級職程度では対処できないような魔物がこれ程大量に居たのでは、人族はどう生きて行けばいいのか。
何となく湯鬱な気持ちで、都市に向かって進み始めた。
都市から十数キロ離れただけで、これだけの魔物が存在する。
これで人族は生きて行けるのだろうか、と湯鬱になったようですね。
実際は、魔物の発生元であるマナの薄い場所に市町村が造られているので、異常事態でもない限り、それ程の魔物は都市近くには来ない筈なのですが。
主人公は、まだその辺を実感していないのでしょう。




