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第59話 この国の冒険者の常識

 冒険者ギルドの新人研修。

 転生者である事がバレてしまわないかな、と心配に思いつつも知識を得る為に申し込んだ。

 色々と懸念はあるけど、ギルド職員との会話で色々と得る事はありそうです。

 だけど、冒険者ギルドの職員たちも、主人公の話を聞いて色々と思う処はありそうです。

 アインさん達ギルドの職員と、複数の職業を経験する事について話しをしていると、突然アインさんが黙り込む。


 転生者である事がバレタのか、と少しビビったのだけど。


 「アインどうした?」


 アインさんが考え込んで黙ってしまったのでハリーさんが声を掛けてくれた。


 「いや。変わった考えの強い冒険者が居るから矯正して欲しいと言う話だったが、これではどちらが矯正されているのやら」


 と、アインさんは困ったなと言う感じ。


 「そうだったのですか?」


 「ああ。俺らはもう手遅れだが、そう言う発想を持っていたら、もっと上に行けたのかもな」


 アインさんは過去を思い出して、少し後悔している感じかな。


 「まあ、レベル上限の問題や、転職条件が厳しい職業も多いですから、思うようには行かない部分も多いですけどね」


 そう『自分は転生者でないので、それ程多くの職業には付けないから強くなるのにも限界がある』とアピールをしておく。


 「ああ。それでもステータスは増えるし、選択肢も増やせるからな」


 と、アインさんは考え込んだままの感じなのにキッチリ返事をしてくる。


 「後は、複数のスキル上げの為にMP不足になり、結局器用貧乏と言う問題もありますけどね。

  まあ、魔回薬を効果的に使うとか、MP回復向上の錬金効果の付いた装備品を用意するとか。

  後は、MPが不足気味だと魔力回復と言ったスキルを手に入れ易いと言う事もあるとは聞いていますけど」


 そう、少知から得た知識を皆に話してみると。


 「金は掛かるが対処法はあるし、悪い事ばかりではない。

  上手くいけば強くなれると言う事か」


 と、ハリーさんが絶句気味に呟く。


 斥候系だと、もっと攻撃力が欲しくなるとか有るだろうな。


 「後は、魔法使いにもっと簡単に転職出来ると良いのですけどね。

  斥候とかも、そうですけど」


 そう俺が斥候系の力も必要だと言うと、


 「ほう。斥候の重要性を良く知っているのか」


 と、斥候系の職業である忍びのハリーさんは嬉しそうだ。


 「生きて帰りたければ、斥候系の能力は必須でしょう」


 そう俺の中では常識となっている事を言うと。


 「……。

  ひょっとして、ダイスケは持っているのか?」


 とハリーさんは驚きの表情で確認してくるけど。


 「持っていませんよ」


 そう軽く否定しておく。

  

 だけど、


 「いや。迂闊な事を聞いたな。

  と言うか、持っていなければ、1人で狩りなど出来ないか」


 と、アッサリと見破られてしまった。


 『話術スキルと詐術スキル、仕事しろ~』と言いたいけど、俺がこの3人に気を許したことが原因か。


 「はあ。手の内がどんどんバレテいきますね」


 彼らに悪意・害意が無いのは表情分析スキルで分かるので、無理に隠そうとはせず素直に落ち込む。


 「嫉妬されて罠にハメられた、か。

  確かにな」


 と、アインさんが何かを考え込みながら呟く。


 「ああ。

  隠した方が良い。

  下手をすると、転生者と同じように強制的に……」


 そうハリーさんが顔をしかめながら俺に目配せをしてくる。


 すると「おい。ハリー」と、それを止めようとするダイさん。


 その辺の話は、やっぱり秘密ではあるようだ。

 

 「しかし」と、ハリーさんがダイさんと口論になりそうだったので。


 「ええ、その辺の話も聞いた事あるので、大丈夫ですよ」と、間に入っておく。


 「ああ。だから隠そうとしているのか」


 と、納得いった感じで確認してくるアインさん。


 「ええ。だから同じ場所に長くは居られないでしょうね」


 「……。

  だったら、何故研修を受けた」


 と怒り気味でアインさんが聞いて来る。


 「死にたくないからですけどね。

  故郷を出るまでは訓練ばかりだったせいで、俺の知識は偏っていそうなので」


 そう困ったもんだと言う感じで言うと。


 「そんな感じだな」


 と、呆れた感じで追認してくるハリーさん。


 う~ん。


 やっぱり、もっと知識・常識を得てからの方が良かったのかな。


 「まあ、落ち着いたら移動しますよ」


 そう気持ちを切り替えながら言うと。


 「俺達は情報を漏らす事は無いと思うが、既に格納箱持ち、火魔法持ちとギルドにはバレテいるからな」


 と、苦い顔をして言ってくるアインさん。


 ギルドも信用できないと言う事か。


 「情報が洩れる事もあるんですか?」


 そう聞くと、黙り込んだアインさんの代わりにハリーさんが。


 「俺達は、この国の王都にも居た事もあるんだ。

  そこで色々と嫌な目にも合ったから、国の為に何かをしてやろうとは思わない。

  情報を売れば、良い金にはなりそうだけどな」


 と教えてくれる。


 「は~。やっぱり、そんな感じなのですね」


 そう落ち込みながら言うと。


 「ああ。気を付けろ」


 と、冗談ではない事を知らせる為か、ハリーさんはきびしい表情をしたまま言ってくる。


 俺が落ち込んでいると「とりあえず、ここで野営にするか」と、アインさんが話題を変えてくれる。


 「しかし、魔物に会いませんでしたけど」と俺が一応の確認をすると。


 「基本を教えると言う話だからな。街道及び街の周りから離れてはダメと言うのが基本だ」


 と、一応と言う感じで教えてくれるダイさん。


 「なるほど。

  という程の事でもない常識ですよね」


 と、俺が一応確認すると。


 「後は、複数人で、常に全ての方向に気を付ける」


 そうダイさんが監視をすると言う感じで体を動かしながら説明してくれる。


 「でないと、魔鷹の様な奴に奇襲されて死ぬ」


 と、更に追加の情報を教えてくれるハリーさん。


 「最近多かったらしいですね」


 と、ギルドの受付嬢から聞いた話を確認すると。


 「ああ。しかも、魔狼も異常発生したらしい。

  だから高レベルの俺達が研修に参加したのだけど、まさか君が倒しているとはね」


 そう、何故かあきれ顔でアインさんが俺の戦果を指摘してくる。


 「俺が倒したのは50匹くらいだと思いますけど」


 そう実数より少なめの数を言っておいたのだけど。


 「あいつらは、鼻や耳が良くて遠くからでも早い足を使って襲ってくる。

  そんな魔物だから、都市の近くに50匹も発生したら、異常発生なんだけどな」


 と、ハリーさんまであきれ顔で指摘してくる。


 そして「ひょっとして、魔鷹も倒しているのか?」


 話している途中にふと思いついた感じでハリーさんが追加で聞いて来る。


 「死骸が危険そうな場所に落ちて回収出来なかったのも含めたら、6匹くらいかな」


 と、こちらも少な目に言っておく。


 なのに「は~。何の研修なんだろう」とため息交じりのアインさん。


 「いえ。だから常識が無いので」


 「まあ、そうだろうけどさ」


 と、何故か怒り気味のアインさん。


 なので「夜は明かり無しですよね」と話題を変えてみる。


 「ああ。魔物が大量に目指してくることになるからな。

  しかし、それ以前に探索系や察知系、暗視と言ったスキルを持った人が複数いないと野営は絶対にしては駄目だけどな。

  まあ、夜に戦闘になった時用の明かりの準備は覚えておくと言い。

  例えば、明かりをつけても周りに見つかり難い開けた地形の選び方とか、魔石ランプの設置の仕方だな」


 と、アインさんの気持ちが切り替わった感じで説明してくれたので。


 「そう言う事の詳細を教えてもらうと言う事で」


 そう言って、野営のやり方の基礎を教わる事に。


 はあ。


 色々とバレてしまった感じだけど、俺が転生者だという事だけは、ばれない様にしないと。

 3人から知識や常識が得られそうですね。

 本来なら、もっと話術スキルや詐術スキルを使い、情報が漏れないようにすべきなのでしょうけど、表情分析スキルを使った結果、心をある程度許してしまったようですね。

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