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第57話 暴かれて行く力

 冒険者ギルドで一泊二日の新人研修を受ける事にし、今日受けるようです。

 さて、トラブル無しに終える事は出来るのでしょうか。

 宿での朝食を終え、少し早めに冒険者ギルドへ。


 受付で『研修の依頼を出したのですが』と言うと、俺が来るのを待っていたのか受付の後ろの部屋から職員3人が出来た。


 受付嬢に軽く確認したかと思うと、


 「君が問題のダイスケ君か」


 と声をかけて来る。


 問題なんだ、俺。


 「そうだと思いますけど」


 「ああ。今日と明日、君を指導するアインと言う。

  この二人が、補助として付き合ってくれるダイとハリーだ」


 鑑定によると全員50歳を過ぎた男性だ。


 前の世界でも上司クラスの年齢かな。


 もっとも、この世界ではステータスが高くなると若い期間が延びる為、全員若そうに見える。


 「依頼を受けてもらってありがとうございます。かな?」


 相手の雰囲気が少し変なので、疑問形で言ってしまう俺。


 「そうだな。

  では、さっそく始めようか」


 と、そんな俺の戸惑いは何ら考慮されず、直ぐにギルドの外へ。


 「なんだよ。

  有料研修を受けるなんて、あいつボンボンか」


 と、言う声も聞こえてきたけど普通は有料研修を受けないのか。


 外へ出て、まずは市の商店街の方へ向かっているようだけど。


 「最初に、泊まりで移動する場合の最低限の装備を確認する。

  お金は持っているか」


 と、先ほどの自己紹介の通り指導はアインが主として行う感じで俺に質問してくる。


 「はい、多少は」


 「なら、足りない物は買ってもらおう。

  後は、今日の研修を君用にするか、一般用にするかと言うのもある」


 そう事務的な感じから、少し俺を探るような感じに変わってくる。


 「俺用と言うと?」


 「君は、荷物に関して有利だろ。

  それをどうするかだ」


 ふ~ん、持っているスキルについては隠してくれているんだなと思いつつ、


 「一般用でお願いします」


 と言うと。


 「それで良いのか?」


 と、少し不思議そうに聞かれる。


 その様子に、格納箱くらいなら普通に使っても問題ないのかなと思いつつも、


 「ええ。それ程容量に余裕がある訳じゃないので、無しの狩りも経験しておくべきでしょう」


 と、格納箱を隠す為の練習及び頼らない練習をする為に、無しを選択した。


 「分かった。

  となると、まずは水か」


 ああ、しまった。


 生活魔法の水作成があるから、水筒すらもっていないよ。


 慌てて亜空間収納の中の牛の皮を裁縫スキルで水筒(水袋)に加工して、それに生活魔法で作った水を入れて木工スキルで造った栓をする。


 亜空間収納内で作業が出来ないとアウトだったな。


 俺が生産に集中し、少しボーっとした感じになったのを不審げに見ていたアインが、


 「水はどれだけ持っているんだ」


 と聞いて来たので。


 周りを確認して家の間の物陰に入り、そこで格納箱スキルを起動し黒い箱を出し、そこに手を突っ込んで亜空間収納から今作ったばかりの革の水筒を3つほど出し3人の元に帰る。


 「それでは足りないだろうな。

  と言うか、君も君の革鎧も奇麗だから、生活魔法持ちだと思ったのだけど」


 「ああ。奇麗なカッコをしていると、バレルんですね」


 そう思わず落ち込みながら言うと。


 「いや。俺は生活魔法持ちの奴と一緒に冒険した事があるから知っているが、知らない人は気が付かないだろう」


 「そうですか。

  今後は気を付けます」


 「君は力を隠したいのか?」


 と、探るような感じで聞いて来る。


 「ええ。下手をすると嫉妬で危害を加えられたり、罠にはめられたりしますからね」


 そう詐術スキルが教えくれた言い訳を言っておく。


 「ああ。だから一人で活動しているのだったか」


 と、アインさんは納得した感じ。


 「ええ」


 「冒険者ギルドの人間には、基本的に守秘義務があるから大丈夫と言いたいところだけど、情報はどこから漏れるか分からないから、そのつもりでいた方が良い」


 と、結構やばい情報をアインさんが教えてくれる。


 その事に軽くショックを受けていると、


 「君は、食料はどうしている?」


 と、会話を先に進められる。


 「基本は、宿の食事ですね。

  日帰りの狩り以外はしないようにしているので。

  後、昼は採取した果物を食べています」


 「でも、それでは危険だろう?」


 「はい。木々が数本生えている程度の処にも危険な魔物は居ますし」


 「ああ。一本に木にだって、強めの魔物がいる事もあるから。

  だから、携帯食を持って行くのが普通だ」


 「一泊二日と言う事は、6食くらいですか?」


 と、ざっと計算して言うと。


 「ああ。昼、夜、夜食、朝、昼、予備で6食だな。

  水は季節にもよるが、この水筒だと、多分2~3倍は必要かな」


 と革の水筒の一つを俺から取り上げて重さで量を図ったようだ。


 「はい」


 「後は武器だけど、やっぱり壊れた時の予備はあった方が良い」


 と、今度は俺の背負っている鋼鉄の戦斧を見ながら言って来る。


 「そうですね。

  迂闊でした」


 そう素直に謝ると。


 「いや。君は魔法も使うのだろう」


 と、ギルドに提出した資料は読んでいたみたいで、火魔法持ちだと知っている様だ。

 

 「はい。と言うか武器の調達費用が馬鹿にならないので、今は魔法主体ですけど」


 「そう言う事か。

  今は、薬草師なのだろう」


 「いえ。もう転職して木こりです」


 「まじか」と、アインさんは結構驚いた感じ。


 う~ん。


 不味かったかなと思いつつ、話を先に進めて誤魔化す事に。


 「はい。だから少しずつ斧の戦い方を練習しているので、今は戦斧を装備しているのですけど」


 「なるほど。

  話の通り、とんでもない奴だな。

  その辺の話は、研修を受けながら聞かせてもらおう」


 後は、携帯食料、ロープ、魔石灯、魔石コンロ、大き目のリックサック等を買い、リックサックに物を入れる。


 他にも、格納箱から出したように見せながら亜空間収納に入れてあった布団代わりにも雨具にもなるローブ等の備品をリックサックに入れて準備を終え、都市の外へ出て行く事に。


 う~ん。たったこれだけで、色々と注意不足を気付かされてしまったな。


 2日間でどうなる事やら。

 主人公は、力を隠すつもりだったようですが、キッチリばれています。

 やはり、常識が無いのは致命的ですよね。

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