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第44話 奴隷とエリクサーと万草の値段

 冒険者ギルドで倒した魔物の一部を売り、180万円相当である18万GAUを手に入れたので、将来従者とする予定の奴隷について確認しに行きました。

 そこで定番の曲者店主に出会い、奴隷について色々と確認する様です。

 「失礼ですが、今出せるとしたら、ご予算は御幾ら位ですか?」


 と、奴隷商の店主と名乗ったムスクに聞かれる。


 曲者っぽいので、話術・詐術・表情分析スキルに教わりながら対応だ。


 「15~20万GAUくらいだね」


 「そうですか。

  それならば、ご用意できますが」


 安。


 ああ。


 もう直ぐ寿命が来そうな人とか、キツメの労働契約くらいの1級奴隷とかだと、そのくらいも有るのか。


 そんな事も考えながら、こちらの要望を言っておく。


 「ああ。

  俺が欲しいのは、例えば従者となり魔物との戦闘も夜の相手もしてもらえる奴隷だから、難しいでしょ」


 と、先ずは値段が高いかな、と思った夜の相手もしてくれる女性の奴隷についての要望を言ってみる。


 「ああ。そう言う事ですか。

  2級か3級奴隷で、心身ともに健康で五体満足である必要がありますから、確かに難しいですね」


 「ちなみに、幾らぐらいになる?」


 「ピンからキリまでですね。

  夜の相手となると、年齢と容姿が関わってくるため、天井知らずに高くなりますから」


 「やっぱり、そうか。

  ちなみに、男性で従者となり戦ってくれる奴隷だとどのくらいかな?」


 「残念ながら、男性でも戦うとなると値段はその能力に応じ天井知らずに高くなります」


 「ああ。

  やっぱり、命がけだからか」


 「そうですね。

  主人に対し、同性である戦闘奴隷だと、純粋な戦闘奴隷と私どもの方では判断させていただいています。

  と言うのも戦う為だけの奴隷だと、戦闘に関する要求はきつくなる傾向がありますので」


 そう説明しつつ、俺が何を考えているか確認している感じだな。


 ひょっとして、俺みたいに表情分析スキルの様な相手の感情を読めるスキルでも持っているのか。


 でも、今更逃げだせないし、詐術スキルや話術スキルに頼るしかない。


 そんな事を考えている間も説明は続いている。


 「その様な要望を満たせる、命に係わる命令すら聞かなければらない3級奴隷は、どうしても求める人が多い上に損耗が激しく、一般のお客様に回せる人材となると、優秀な者はほぼいませんし。

  また、命に係わる命令なら聞かなくても良い2級奴隷は、純粋な戦闘奴隷としては使い辛く、お勧めできません。

  これは、ダイスケ様に女性の2級奴隷をお譲りする場合も同じではあるのですが、別の事で満足される方も多いので、女性の場合は要相談となります」


 ああ。


 魔物との戦いに奴隷を連れて行くと言っても、2級奴隷に無理やり命がけを命令をしても無視できるし、最悪契約が解除されるのだったかな。


 「ちなみに、今は強くないけど、鍛えれば強くなりそうな戦闘奴隷だと幾らぐらい?」


 「奴隷は商品価値を高めてからお譲りするモノですから、教育が不十分でもあまり安くはない上に売りに出される事があまりないかと」


 「なる程ね。

  ここは、真っ当なお店って話だし、それはそうか」


 「はい。

  逆に、鍛えていない・教育していない奴隷を安く売る様な奴隷商だと、色々とご注意なされた方が良いと思います」


 そう言えば、拷問で無理やり奴隷にされた人とかが売りに出される場合は、そんな感じなのか。


 しかし、自分の店が褒められたと感じた様で、嬉しそうにしている様にも見えるけど、それでもちょっと怖いかな。


 「そっか。

  まあ、安い奴隷は問題が多そうだとは思っているんだけど」


 「そうですね。

  体の部位が無かったり、精神に問題があったり、年齢が高かったり、経歴に問題が有ったり、村人のレベル上限が異常に高かったりと、何かと問題はあります」


 との発言に幾つか気になった事があったので、質問をしてみる。


 「精神に異常のある奴隷も多いのか」


 「はい。私どもの方では無理やり奴隷にする事はございませんが、そう言う奴隷を引き取り販売する事を領主から強制される事もありまして。

  そう言う奴隷は、心を病んでいるものも多く扱うのが難しいので、一般の方にはお売りするのを躊躇する部分もあります。

  勿論、奴隷の価値を高める為の治療や教育は行ったとしてもです」


 「無理やり奴隷にされた人を解放する、なんて事はしないか」


 「はい。

  奴隷契約スキルでは、どういった経緯で奴隷になったかは分かりませんから。

  本人の『無理やり奴隷にされた』と言う主張だけでは、流石に奴隷から解放する事は出来ません」


 やっぱり、奴隷制度は怖そうだ。


 そう思いつつ、この話題を続けるのも不審に思われるかと話題を別の気になった点に替える。


 「村人のレベル上限が高いのも価格が下がるんだ」


 「はい。まあ、一度も転職させられないのではと言う程に異常に高ければですが」


 「奴隷も職業村人だと安いのか」


 「若い期間を、働ける期間を長くしたいのであれば、3級職位にはしておきたいところですから。

  勿論、人族でも種族ごとに寿命は違いますから、その辺も考慮されますが」


 「なるほどね。

  ちなみに、俺の方で体の欠損とかを治療できる手段を手に入れた上で、男性の戦闘奴隷とか見た目麗しい女性で戦闘にも耐えられる奴隷と言うとどの程度の値段かな?」


 そう言うと、奴隷商の雰囲気が少し変わり、


 「それでも、値段に幅がありますから」


 と、こちらを探る感じかな。


 なので、俺の方も探る感じで、


 「貴方が、今いる奴隷でお勧めするとしたら」


 と素直に聞いておく。


 「そうですね。

  それでも大量の奴隷が発生する等して値崩れしない限り、男性奴隷でも女性奴隷でも数百万GAUは必要かと」


 「なるほどね」


 数千万円程度か、と落ち込みながら言うと。


 「治療なさる手段があるのですか?」


 と、その部分に興味を持ったようで聞いて来る。


 さりげない感じだけど、表情分析スキルは『だから会ってみた』と言う彼の意思を読み取ってくる。


 「いや。昔伝手があったのだけど、今は無いな」


 「ひょっとして、エリクサーか万草の様な物をお持ちなのですか?」


 エリクサーとは、神の治療薬と言って良いような魔法薬だ。


 設定によっては不老不死にすらなれるけど、この世界のエリクサーは欠損部位すら瞬時に治す魔法薬だ。


 下級、中級、上級とあり、その上に品質の違いがあって、それぞれ一度に治療できる程度は違ってくるようだけど。


 そして、そのエリクサーを造る為に必要な希少な薬草が万草なのだけど。


 俺は、魔虎を倒した後、その縄張りで700束分以上取得しているのだけど、実はかなり希少な薬草のようだ。


 小さい物は採取せずに残してきたので、また取りに行こうかと思っているくらいに、この辺では見かけない。


 でも、薬草師技スキルを持っているので、チャンスがあればまた採取できるはず。


 そう思いつつも手の内を明かさないように、


 「いや。でも、薬草師技は取得しているから、運が良ければと言う感じかな」


 そう言って、こちらも様子を伺ってみる。


 すると、


 「なかなか運だけでは手に入らないそうですが」


 と、向こうもこちらを探る様に聞いて来る。


 もう、探るのを隠す感じも無くなった。


 「ああ。これでも、冒険者としてもそれなりに戦えるからね」


 「なるほど。

  お持ちなら是非売っていただきたいところなのですが」


 そう商売人って感じで笑いながら言われる。


 なので、


 「体の欠損を治療して売れば、値段全然変わりそうだからね」


 と、こちらからも含みを持たせて言うと。


 「はい」と、ニッコリと笑っている。


 いや。


 曲者感が凄くて怖いんだけど。


 そう思いつつも、


 「ちなみに、ここだと万草は幾らで買い取るの?」


 と、必要な事を聞いておく。


 「50万GAU程度ですね」


 「冒険者ギルドの50倍か。

  なら、こっちに売るだろうな」


 「そうですね。是非お願いします」


 そうニッコリ笑って言われてしまう。


 「50万GAUと言うと、下級エリクサーだと足が出るだろうから、中級以上が作れる様な高レベルの魔法薬師に伝手があるのか。

  うらやましいな」


 そう牽制の意味も込めて言ってみる。


 実は、奴隷の購入を考え始めた時に、欠損部位を治療できるエリクサーの値段を少知に聞いてみた。


 すると、品質の悪い下級エリクサー(―1)が5~20万GAU。


 通常品質の下級エリクサーは、と聞くと10~100万GAUするそうだ。


 それを知っていたので、原料の一つに過ぎない万草に50万GAUも出すのは変だと思ったので、カマをかけてみたのだけど。


 「仕事柄、人との繋がりは広いですから」


 と、怖い笑みを続けながら言われてしまった。


 「そうだな。

  その為に、俺にすら会ってくれたみたいだし」


 そう牽制をしてみると。


 「いえいえ」と、苦笑いしながら否定している。


 「もし万草を採取出来たら、一束はここに売るようにするから、その時は奴隷も直接見せてくれるかな」


 「はい。喜んで」


 そう慇懃に言われても怖いよ。


 「時間と取らせて申し訳なかったね」


 「いえ。また縁がある事を期待していますから」


 と言う処を見ると、本当に万草を必要としている感じだな。


 「ああ。俺もだ」


 そう再会を願っていると伝えて奴隷商を去った。


 ふう。


 なんて言うか、一癖も二癖もある感じだったな。


 表情分析スキルを使っても、読み切れているかどうか分からない感じ。


 人も怖いな。



 次は、武器屋だ。


 昨日考察した通り、斧系の武器を手に入れる為。


 中古の鋼鉄の戦斧が良さそうなので、それを12万GAUで購入。


 手入れの仕方も聞いておく。


 ああ。あっという間に収入が消えてしまった。


 今日も狩りに行くか。

 主人公の秘密を他人に話せない従者の奴隷を手に入れるのは、当分先の様ですね。

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